人生はもっと長い目で見るべきものです

田村秀子先生の 心の 玉手箱 Vol.19

周囲にはなかなか 理解されにくい 2人目不妊の悩み。

どのような気持ちで 治療に向き合えばよいか、 田村先生に伺いました。

田村 秀子 先生 京都府立医科大学卒業。同大学院修了後、京都第一 赤十字病院に勤務。1991年、自ら不妊治療をして双 子を出産したのを機に、義父の経営する田村産婦人科 医院に勤め、1995年に不妊部門の現クリニックを開 設。繊細な感性を秘めた、おおらかな人柄が魅力の先 生は、A型・みずがめ座。生殖医療はもちろん、産婦人 科医として、女性の力になるための活動に幅広く携わっ ている先生。近年は医師の立場から、性犯罪・性暴力 被害のワンストップ支援センターの設立にも協力されて います。
匿名さん(主婦・30歳) Q.1人目を23歳で自然妊娠しました。 今、子どもは6歳になり、2人目を希望し始めたの が2歳半からです。人工授精6回など、不妊治療 を1年前までしていましたが、結果が出ず、今は自 然に任せている状態です。不妊の原因は、私の多嚢胞性卵巣症候群子宮内膜症、主人の精子の 状態が良くないということですが、今また治療を再 開するか悩んでいます。2人目不妊の方、治療をし ていますか? 治療はいつまでと決めていますか? 周りと比較してストレスを感じたり、つらくなったり しませんか? 私の周りにはもう一人っ子がほぼい ません。毎日ママ友と顔を合わせるので、2人目の 話題になったり、自分のモチベーションによっては とてもつらくなってしまったりします。同じように孤 独感を感じる方はどのような気持ちで毎日を過ごし ていますか?

匿名さんの投稿に 寄せられたコメントです!

たくままん(会社員・33 歳) 私も1人目は自然妊娠で、子どもはもう7歳になってしまいま した。私は4歳差がよかったので、3歳くらいから子づくりして いますが、妊娠できずに今は体外受精にステップアップしてい ます。1人目がすぐにできているので、周りもまさか不妊だと 思わずにいろいろ言ってくるし。たまにかなり落ち込んでメゲ そうになりますが、どうしても諦められないので頑張っていま す。いつまで治療するかも決めていません。今週末に凍結して ある胚盤胞を移植予定です。うまくいくかはわからないけど、 後悔したくないので、今できることを頑張りたいと思います。
まり(主婦・30 歳) 1人目は24歳で出産、26歳すぎから2人目を欲しいと思って います。私も人工授精を6回しましたが、結果が出ませんでし た。体外受精にステップアップ、3回流産に終わっています。不育症の検査を受けたところ、異常なしとのことで完全に行き詰 まってしまいました。30歳いっぱいで治療はやめる予定です。 周りからいろいろ言われるのは聞き流せるようになってきま したが、たまにめちゃくちゃ落ち込みます。ママ友と一緒に過 ごす時間が苦痛になった時期があって、派遣で働いていた時期 もあります。

妊娠して当たり前? 2人目はやっぱり 他人と比べてしまう

2人目不妊で多いのは、ご本人が「一度妊娠したのだから、次も妊娠できて当たり前」と思っていることです。
だけど、周囲のママ友たちには次々と2人目の子どもが生まれ、「まだできないの~?」などと無神経に聞かれて耐えられなくなる、というケース。
2人目というのは、やっぱり他の家と比べてしまいがちです。
子どもがいない「0」と、子どもが1人いる「1」の差って、やはり大きいですよね。
すでに子どもがいるママたちのコミュニティに属していると、どうしても子どもが2人、3人いて当たり前のような会話になるし、一度、自分がそういう価値観を持ってしまうと「うらやましい」「私たちのところにはどうして来てくれないの?」という気持ちにもなるでしょう。
でも、私が言いたいのは、人生、もっと長い目で見たほうがいいよということ。
今、子どもができないといけないワケじゃないし、すでに1人いるんだから、自信を持ってほしいですよね。
我が子の寝顔を見て、「この子は私たちのところへ来てくれたんだもの。次も絶対うまくいくんだわ!」と、自信を持つべき。
自信を持てば、卵巣も動き出します!

2人目不妊の治療で 一番大事なのは 期限を切らないこと

1人目を苦労して妊娠なさった方は、同じ2人目不妊でも、どうせできるまでに時間がかかると思うせいか、焦っていない。
そうすると案外、ポンとできたりするものです。
2人目不妊で大事なことは、治療は何回までとか、上の子と何歳差までとか、子どもをつくることに期限を切ってしまわないこと。
7歳違い、8歳違いでは、両方とも一人っ子みたいになっちゃう、などという話があるようですが、断じてそんなことはないと思います。
育て方によるものでしょう。
私の経験では、 10 歳違いで2人目を産んだあるお母さんから、「お兄ちゃんがとっても乱暴な子で手を焼いていたのですが、 10 歳違いの弟ができて、すごく優しいいい子になりました」とお聞きしたのが印象深いですね。
「3歳違いがいいんです」という方に「どうしてですか?」と聞くと「受験が一度ですむので」と言う方もいますね(笑)。
その反対に、受験が重ならないように4歳差がいいなとか、1人目が小学校に入る前に2人目を、とか。そういう言い方をなさる方が多いのですが、そんなに思い通りにはいきません。

治療を通して 我が子を見る目も 変わってくるはず

私が、2人目不妊の治療で来られる患者さんによくお話しするのは、「子どもに対して『よく私たちのところに来てくれた』と思う気持ちを大事にしてね」ということ。
たとえば、何の苦労もなく2人、3人と次々と生まれたら、子どものありがたみってなかなかわからないでしょう?   「子を持って知る親の 恩」というけれども、「親になって知る子の恩」もあると思います。
そういうことがわかると、やっぱり人間としての厚みも出てくるんじゃないかしら。
我が子を見る目も変わってくるでしょう。
そして、結果が出なかったとしても、無理には治療をやめようとしないこと。
期限を決めたりして、無理に治療を諦めると、その後、また再開したくなって、治療をしていなかった時間が惜しまれるからです。
婦と1人目の子どもの3人の生活でいいと、心から思えるようになった時、初めて自然にフェードアウトすればいいのですから。

秀子の格言

「治療は何回までとか、 上の子と何歳差とか、 気にしないで。 人生はもっと長い目で 見るべきものです」

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。