卵巣機能不全でしょうか?

卵巣機能低下で 卵胞が育ちません 治療法はありますか?

神谷 博文 先生 札幌医科大学卒業。同大学産婦人科学講座、第一病理学講座に入局 後、斗南病院にて産婦人科科長を10年間務める。1998年、神谷レディー スクリニックを開業。昨年1月にクリニックを移転し、電子カルテの導入や 施設・設備の充実、スタッフの増員を図った。
ユウさん(40歳)からの相談 Q.38歳から不妊治療を始めました。最初の1年目はタイミング法、人工授精を1回ずつし ています。AMH値は0.16ng/mLと低く、FSH値は20mlU/mLくらいの高値です。 なかなか排卵誘発までいかず、いっても卵胞が育たず、体外受精に進みたくても進めな い状況です。そして、リセットをくり返しています。排卵誘発は、クロミッド®などの誘発剤 を服用する方法しか試したことはありません。通院中のクリニックの先生に尋ねても、卵 胞が育つタイミングを待つよりほかに治療法はないと言われています。 ここ半年は、生理が来なかったり、月経量も極端に減っています。DHEAなどのサプリ を服用したり、お灸やウォーキングなどで健康に気を付けていますが、この状況で試せ る治療法はまだありますか? 年齢的にも状況的にも試せることは何でもしてみたいと 思っています。

卵巣機能不全

ユウさんは、卵巣機能不全ではないかと心配されていますが。
神谷先生 AMH値が0・ 16ng / mL 、FSH (卵胞刺激ホルモン)値が 20mlU / mL という状 態は、卵巣予備能低下症といっても過言ではありません。
卵巣機能不全とは、卵巣内の発育卵胞が1000個以下に枯渇している、いわゆる閉経の状態ですが、この数値はそれにかなり近い状況ではないかと思います。
卵巣予備能は、卵巣の中の卵子の数と質に 関係しますが、数はAMH値に比例します。
ユウさんの場合は0・ 16ng / mL と低く、卵巣 の状態は 40 歳という実年齢よりも4~5歳上に相当するのではないでしょうか。
卵子の質は年齢が影響しますが、FSH値も関係し、高値になると卵子の受精能力が低くなったり、異常受精をしやすかったり、妊娠しても流産しやすいということが起こります。
最近は、ユウさんのような状態の方が多く 不妊治療を受けています。
医療者が考える継続妊娠可能な年齢と、患者さんの考える治療継続希望年齢とのずれがあるのが現況です。
まずは、ご自分の卵巣の状態を知り、妊娠・出産の可能性はあるのか、あれば何%くらいなのか、他に治療法はあるのかを主治医に相談することが大切です。

FSHをコントロール

ユウさんの場合、どのような治療方法が有効でしょうか?
神谷先生  40 歳という年齢を考えると、誘発方法によっては良質な卵子が獲得できて、出産できる可能性はあるかもしれません。
FSHは卵子を発育させるホルモンですが、 20 ~40mlU / mL 以上になると卵胞の発育が停止します。
そこで、FSH値を卵子の発育に適した濃度にコントロールしながら卵子を育てる方法をとります。
もともと高値の場合は、ユウさんの主治医 の先生のように、卵胞ホルモン、黄体ホルモンでリセットして、 10mlU / mL 以下に下げてか ら排卵誘発を行いますが、クロミッド ® を服用しすぎるとFSHが上昇するケースもありますから、クロミッド ® の服用をやめて、プレマリン ® やジュリナ ® などの卵胞ホルモン薬だけで様子をみる方法を試すのもいいでしょう。
今後、しておくといいことは何でしょうか。
神谷先生 つらいことですが、年齢を考えると、治療を半年~1年続けてみて状況が変わらなければ、治療を卒業する時期について考えることも大切です。
卵巣機能は 32 歳からゆるやかに低下し、 37 歳から老化が始まり、 40 歳からは急激に卵巣機能が低下します。
体外受精の妊娠継続率は43 歳で2%、 44 歳で1%。
流産の確率も加齢にともなって上昇します。
当院では、 48 歳で妊娠・出産した例がありますが、それは稀なケース。主治医のほか、不妊カウンセラーや体外受精コーディネーターのサポートも受けながら、何歳まで治療を続けるのかをご夫婦で十分に話し合っておくといいでしょう。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。