排卵誘発の方法が 合っていないのでは ないでしょうか?

藤野 祐司 先生 大阪市立大学医学部卒業。米国留学、同大学医学部婦人科学教室講 師を経て、1997年にクリニックを開業。現在、同大学で非常勤講師も務 める。B型・おとめ座。海外の学会に出席する際に、先生が楽しみにして いるのが美術館めぐり。「ゴッホやルノアールなどの名画を鑑賞すると、すご くいい刺激になりますね」。気に入った絵に出合うと時間が経つのも忘れ てしまうのだとか。
でんでんさん(40歳)からの相談 Q.1人目は治療6年目に、顕微授精の凍結胚移植で、38歳の時に出産。現在、同じ不妊 専門クリニックで2人目の治療中です。子宮卵管造影検査では片方の卵管が通っておら ず、反対側は ※ 管水腫と言われ、体外受精からのスタートとなりました。排卵誘発法を当 初のショート法からロング法に切り替えたものの結果が出ず、アンタゴニスト法を経て、 「やはりあなたはロング法が合っているようだ」と言われ、再度ロング法に。いつも8~ 15個の採卵数があり、受精して胚盤胞(2AA、3AA)もできるのですが、今度は「あな たの場合、採卵数は多いがサプリメントを服用しても変性卵が多い。低刺激に変えてみ ましょう」と言われました。排卵誘発法が合っていないのでしょうか。それとも合わなく なってきたのでしょうか? 低刺激にして見込みはあると思われますか?

卵管因子の可能性

排卵誘発法について、ロング法やアンタゴニスト法の後、主治医から低刺激法を提案されて戸惑いを感じていらっしゃるようです。
藤野先生 気になったのが、子宮卵管造影検査で卵管の詰まりや卵管水腫を指摘されていらっしゃる点です。
40 代ということで、もちろん年齢は大きな不妊の要因ではあるのですが、それを抜きにしても卵管にも問題がある可能性が高いと思います。
あとは卵巣の刺激の方法をどうされるかで すが、1人目のお子さまを同じクリニックで授かったということですし、おそらく今までの排卵誘発法に関するデータ、ノウハウは、今のクリニックの先生が一番お持ちでいらっしゃるはず。
現在の主治医にご相談されるのがベストだと思いますね。
今までの経過を見ても、ロング法、ショート法、アンタゴニスト法を何度か試されていますが、ロング法が一番合っているような気がします。
採卵時の数というよりは、採れる卵子のなかでも成熟卵の数が一番多いようにお見受けしました。
15 個中 12 個など、割合にしてだいたい 70 ~ 80%は成熟卵になっていますね。

加齢と共に低下するもの

誘発法が合わなくなってきた可能性は?
藤野先生 高齢化すれば卵巣の反応は少しずつ低下してくるものです。
いくらロング法が合っているとはいえ、妊娠率、あるいは受精率、分割率、胚盤胞に到達する率が徐々に低下してくる可能性は十分あるでしょう。
ただし、ロング法による刺激は、次の移植まで2~3カ月あけないといけないので、もしもう一度やるのなら、主治医のおっしゃるように低刺激でやってみて、次回にロング法という選択肢が無難なのではないでしょうか。

卵管水腫と移植

移植の方法については?
藤野先生 卵管水腫がある場合は、移植の時に着床を妨げるマイナス要因となります。
受精卵を早い時期に子宮へ戻すと、受精卵が卵管の中を行ったり来たりすることがあるので、子宮外妊娠のリスクが高まります。
それを食い止めるためにも、私は胚盤胞移植を続けて実施していくのがいいと思います。
さらに、卵管水腫は水腫の内容液が子宮に 流れ込んで、着床障害の原因になる可能性もあります。
それを何らかの形で取り除いたほうがいいでしょう。
1つは手術で水腫を取ってしまう方法。
ただ、そうなると身体的な負担や時間的なロスがありますので、特に高齢であまり時間に余裕がない場合、胚移植の前日や当日に、採卵と同じように経腟的に穿刺して水腫の中の内容液を吸い出すという処置でもかまわないと思います。
水腫の内容液が子宮の中に逆流すると、卵細胞がダメージを受け、胚の発育に悪い影響があるといわれています。
内容液を吸い出すだけであれば、採卵と同じような感覚で受けられる簡単な処置ですのでおすすめします。
胚盤胞移植に際しては、卵管水腫の対策に ついて相談されて、あとは主治医の先生にお任せしてみてはいかがでしょう。
※卵管水腫:腟から侵入したクラミジア、淋菌、大腸菌などにより卵管が炎症を起こし、卵管粘膜が癒着したり卵管腔が閉塞し、その中に分泌液が溜まった状態。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。