移植の時期について

顕微授精で12回移植し陽性は3回のみ。どんな移植法がいい?

田中 雄大 先生 慶應義塾大学医学部卒業。日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学 会生殖医療専門医。大和市立病院産婦人科勤務、内視鏡手術の専門 病院を目指した矢崎病院婦人科での勤務などを経て、2009年、矢崎病院 に不妊治療専門の湘南IVFクリニックを開設。その後、2012年にメディカ ルパーク湘南を開設。聖マリアンナ医科大学非常勤講師。B型・かに座。 7月に読売新聞の記事で、内視鏡の手術件数が神奈川県で2位と取り上 げられました。9月には本誌とコラボした書籍も完成。「この本が今の治療 の状況を判断する材料になってくれれば嬉しいです」と先生。
ナラさん(37歳)からの相談 Q. 体外受精を始めて6年目。私は軽いPCO、主人は精索静脈瘤で手術済みです。 採卵はこれまでにアンタゴニスト法8回、クロミッド®のみ1回、ショート法1回、ロング 法3回で、合計13回終えました。最初から受精障害と言われ、ずっと顕微授精をしてい ます。移植は、採卵周期で10回、凍結胚で2回行い、陽性が出たのは採卵周期で3回。 ①2日目初期胚→11週流産、②5BB胚盤胞→化学流産、③二段階胚移植子宮外妊娠となりました。胚盤胞になる確率は少しずつ上がっているのですが、Aがつくのは稀 です。 今後の方法として、胚盤胞を凍結、融解胚移植する場合に4日目に前倒しして移植する のはどうでしょうか。それより、初期胚を凍結し2~3日目に移植するか二段階胚移植 のほうがいいでしょうか。現在、14回目の採卵に向けてサプリメントを取り入れ準備中 です。そろそろいい結果が欲しいと思っています。

移植の方法あれこれ

移植 12 回で陽性3回とのことですが、どのような移植法がいいのでしょうか。
田中先生 採卵 13 回、移植 12 回というのはそうとうな治療回数です。
何度も移植してもうまくいかない場合は、治療に変化をつける必要があると思います。
ナラさんのご指摘のように、5日目の凍結胚盤胞を4日目に移植する方法は、一つの選択肢としてあると思います。
これは徐々に行っている施設もあり、実際昨年の受精着床学会のなかで「妊娠率が上がった」という報告がありました。
ただし、まだ一般に普及した方法ではなく、絶対的な方法とはいえないので注意が必要です。
次に、初期胚を凍結して2~3日目に移植 する方法ですが、これは逆だと思います。
初期胚だといい受精卵かどうかわからないものを移植することになりますから、移植の回数だけが増えてしまい、結果的に妊娠に至らないという可能性があります。
ここまで反復してうまくいっていないので、グレードのいいものだけに徹底して、良好胚盤胞だけを移植することを優先したほうがいいと思います。
3番目の二段階胚移植法は、ありうる選択 肢だと思います。
ただし、二段階胚移植は、先に移植する受精卵を前振りのようにして、受精卵が来るぞと知らせて子宮内膜を活性化しておき、2~3日後に本命の胚盤胞を移植するという方法です。
前振りの初期胚は、2~3日後に挿入されたチューブで傷がつくかもしれません。
最初の受精卵が多少犠牲になるので、わざわざ初期胚をそのために凍結するというのは、抵抗がある治療の方法にならないでしょうか。

顕微と体外受精を同時に

先生ならどう治療されますか?
田中先生 ご主人は精索静脈瘤で手術をされて、精子の所見が少し上がっているのではないかと思います。
思いきって顕微授精ではなく、かけ合わせ(体外受精)でやるというのも大事な選択だと思います。
顕微授精のほうが流産率が上がることはよく知られた事実です。
無理やり授精をしても途中でダメになる卵なら、受精しなければそれはもうしょうがないという考え方で、かけ合わせを優先するというのも一つの考え方だと思います。
また、ナラさんは採卵周期での移植が圧倒 的に多いですが、排卵誘発の刺激をすると子宮の状態が悪くなっている可能性があるので、受精卵を一旦凍結し、翌周期以降に、子宮が万全な状態で移植するべきだと思います。
新鮮胚移植をしないということが大きなポイントになるのでは。
凍結も初期胚ではなく、胚盤胞にこだわるべきだと思います。
PCOの方は卵子が採れやすいので、妊娠 しやすい印象があります。
卵子の質がいつも悪いという方でも、急にいい卵子が採れることがあります。
ナラさんもなるべく手を加えずにかけ合わせで受精させ、その周期に戻さずに胚盤胞まで培養して、良好胚盤胞だけを凍結して移植するという、一番スタンダードな治療法にこだわったほうがいいと思います。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。