PCOSの排卵誘発法について

41歳でPCOSですがどんな排卵誘発法を選択すればいいですか?

北村 誠司 先生 慶應義塾大学医学部卒業。1989年からIVFおよび内視鏡手術に従事。 子宮鏡下手術による胚移植の改善や、腹腔鏡下手術による子宮筋腫、内 膜症の解消・改善を積極的に図ると同時に、妊娠困難症例に対しても新し い治療を取り入れて対応。本院(荻窪病院)泌尿器科の男性不妊専門医 の協力により、TESE-ICSIや逆行性射精など、男性不妊の治療体制も整 えている。AB型・いて座。患者さんには優しく、スタッフには厳しいという先 生。まずは仕事に臨む姿勢からビシッと指導するという昔気質の硬派な一面 もあるそう。
えりぽんさん(40歳)からの相談 Q. 今まで2回採卵した時はアンタゴニスト法で行い、1回目/7個採卵→1個桑実胚を移植し陰性、1個胚盤胞凍結、2回目/12個採卵→2個胚盤胞凍結、という結果でした。 今は子宮内膜増殖症の治療でお休み中。再開できる時には41歳となるため、年齢的に 焦りがあり、また、過去2回の採卵で凍結できた胚が少なかったので、次の採卵は誘発方 法を変えてみたいという気持ちがあります。 OHSSのリスクを納得してロング法を行い、少しでも卵子を多く育てるべきか、採卵や凍 結までいかないかもしれないけれど低刺激にしてみるか、またアンタゴニスト法でトライ するか悩んでいます。

PCOSとアンタゴニスト法

これまでの2回の採卵では、アンタゴニスト法で排卵誘発を行ったということですが。
北村先生 1回目に7個、2回目に12 個の卵子が採れていらっしゃいますね。
えりぽんさんは自己排卵がなく、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)と診断されていらっしゃるようですから、それを考えると、アンタゴニスト法でこのくらいの数が採れるのは妥当ではないかと思います。
個数としてはよく採れているとい う印象ですが、採れた卵の内容はどうだったのでしょうか。
一度移植されて結果は陰性、また、なかなか凍結できるものがなかったということですから、質に問題があるということも考えられます。

PCOSとAMH

1年前にAMHの検査をされて、その時は 20 代の数値といわれたそうです。年齢の割に高いということですが、これは排卵誘発法を選ぶ時に影響しますか。
北村先生 PCOSの方は、小さな卵胞がたくさんあるということですから、AMHの値が高くなる場合が多いんですね。
えりぽんさんはご年齢が 40 歳。
卵巣年齢がお若いというより、おそらくPCOSということで高値になっていると考えられます。
ご心配されているように、AMH が高値、5・ 00 以上になるとOHSS(卵巣過剰刺激症候群)になるリスクが高まるので、それを下げるためには刺激の低い排卵誘発法を選択するのも1つだと思います。

ロング法の採用ケース

ロング法はどうですか。
北村先生 AHMの値がそれほど高くないという場合は、ロング法も候補の1つになると思います。
当院では、AMHが 1.5 〜5くらいの値で あれば第一選択としてアンタゴニスト法を、もしそれでいい卵子ができなかったり、妊娠につながらない場合は、次の選択としてロング法をご提案しています。
アンタゴニスト法でうまくいかなかった方が、ロング法を試していい卵ができるケースも時々見られます。

採卵数と妊娠率

40 歳という年齢を考えたら、より卵子の数を多く採る方法を選択するほうがいいのでしょうか。
北村先生 確かにご年齢を考えたら、そのような方向性もあるかと思います。
しかし、卵子をたくさん採ったからといって妊娠率も高まるということは一概にいえません。
40代でPCOSの場合、卵子の数は多く採れる方は結構いらっしゃるのですが、年齢や子宮内膜の状態が関与しているのか、着床までなかなかたどり着けない場合が多いんですね。
結局、ある程度質の良い卵でないと妊娠には結びつかないので、数にこだわりすぎることもないかと思います。
OHSSのリスクを避けたう えで、卵子の数もある程度確保したいということであれば、次はアンタゴニスト法よりややマイルドなクロミッド ® +HMGなど中間的な方法をとられてもいいかと思います。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。