初めてでもよくわかる!
秋山先生の不妊治療ABC
赤ちゃんがなかなかできないけれど、もしかして不妊症? でも、不妊症ってどうしたらいいの?
そんな声にお応えして、 不妊治療専門・秋山レディースクリニックの秋山芳晃先生が 不妊治療の基本の ABC をお伝えしていきます。
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秋山 芳晃 先生 東京慈恵会医科大学卒業。東京慈恵会医科大学附属病院、国立 大蔵病院に勤務後、父親が営んでいた産科医院を継ぎ、不妊専門 病院として新たに開業。O型・やぎ座。ご家庭では小学生の娘さんの パパで、愛犬家でもある先生。最近の心配事は、チワワのすずちゃん (12歳)の病状。取材日は、子宮蓄膿症の手術を終えたすずちゃん の退院日でもあり、満面の笑顔!「これから、家族みんなで迎えに行き ます。子宮の病気とはいえ、相手は犬なので……何もしてあげられな いのがもどかしかったですね」と、不妊治療の名医も獣医に敬意!
ななさん(会社員・ 34 歳) Q.基礎体温を測り、自己流タイミングで2回チャレンジしてみました が、妊娠せず。まだ2回ではありま すが、1日おきにしたので、どこか でタイミングが合うのでは? どち らかに何か問題があって自然には妊娠できないのかと思ってしまいま す。不妊治療を考えていますが、経 済的、精神的、肉体的に大変だと聞 いてなかなか踏み切れません。どの くらい頑張ってから治療を始めるの がいいでしょうか?
目次
先パイの声!
投稿者: さくらさん 不妊治療と考えずに、検査をする気持ち で行かれてはいかがでしょうか? 子宮 がんや子宮内膜症じゃないかなど、気楽 に行ってもよいと思います。私は4周期 目で病院デビューしました。今はタイミン グ2周期目です。先生は「まだ若いから ~」と積極的ではないですが、ホルモン 検査でちょっと高い数値があり、治療す るほどじゃないが妊娠の妨げの可能性 があるので、薬を飲んでます。
不妊症は2年を目安に 生活習慣の改善も大切
まず、「不妊症」とはどういう状態をいうのかをお話ししましょう。
避妊せずに、通常の性生活を送った場合、1年以内に 80 %、2年以内に 90 %が妊娠に至るとされているので、日本では2年以上妊娠が成立しない状態を「不妊症」と定義しています。
これは国によって基準に違いがあり、欧米では1年以上で「不妊症」とされます。
しかし、〝妊娠しにくさ〟というのは女性の 年齢に大きく関係していて、 25 ~ 29 歳では9%、 30 ~ 34 歳で 15 %、さらに 35 ~ 39 歳で 30 %、40 ~ 44 歳で 64 %と、年齢を重ねて卵巣機能が低下するほどに不妊率は高くなり、妊娠しにくくなるというデータがあります。
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したがって、 35 歳以上の女性が妊娠を望む場合は不妊症の定義にとらわれず、早めに受診されることをおすすめします。
2人、3人と複数のお子さんを持ちたいという方は特に、できるだけ早く治療を始めるに越したことはありません。
また生理不順や生理痛のある方も、念のため早めに受診なさることをおすすめします。
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ご質問者のななさんは 34 歳。
タイミング療 法もまだ2回目とのことですから、もう少し様子をみてもいいかもしれません。
30 代前半でご夫婦ともに異常がなくても、1回の排卵で妊娠できる確率は 15 ~ 20 %。
1~2回のチャレンジで妊娠しなかったからといって、焦る必要はないでしょう。
半年間、6回ほどを目安にタイミング療法を続けてみてください。
ただ、その間に、妊娠の妨げとなる疾患などがないか、婦人科検診を受けるとよいでしょう。
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早期発見、早期治療ができれば、不妊治療にもすみやかに進めます。
また、妊婦、特に妊娠初期の女性が風疹にかかると、胎児が風疹ウイルスに感染し、心臓の奇形、聴覚障害などといった障害をもった赤ちゃんが生まれる可能性があります。
風疹にかかった経験のある方でも、念のため抗体を調べ、必要なら予防接種も済ませておきましょう。
風疹の予防接種を受ける場合は、その後2カ月間は避妊が必要なので、注意が必要です。
そして、クリニックに行く前に、見直してい ただきたいのは生活習慣です。
食事や運動などを改善することで、妊娠しやすくなることも期待できます。
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特に、肥満女性は不妊症のリスクが2倍となり、妊娠しても胎児や母体に起こる合併症のリスクが高まることがわかっています。
生理が止まるような無謀なダイエットはもってのほかですが、妊娠を望まれるのならば、若くてまだ時間的な余裕のあるうちに、できるだけ健康的に適正体重に近づける努力をしていただければと思います。
また、喫煙が卵巣機能に悪影響を与えるのも明らかです。
喫煙習慣のある女性が 45 歳未満で閉経する確率は、非喫煙者の2倍というデータもあります。
妊娠中の喫煙も胎児に悪影響なので、ぜひ今のうちに禁煙しましょう。
まずはカウンセラーに相談35 歳以上なら早めに受診を
不妊症に対してご心配があれば、検診の機会なども利用して、まずは婦人科を受診し相談してみましょう。
不妊治療に力を入れている施設であればなおよいと思います。
当院では、初めての患者さんは不妊カウンセラーがお話を伺います。
そのうえで、検査や治療を行うべきか、治療するとしたらどのように進めていくかなどを、ご説明・ご提案しています。
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費用などについても遠慮なくご質問してください。
最近では、こういった専門カウンセラーが常駐するクリニックも増えていますので、治療前にまずは相談して、ご夫婦ともに納得したうえで治療を始められるとよいでしょう。
男性側が不妊の原因であるケースもあるので、ぜひご夫婦で不妊治療に向き合ってください。
初診までに基礎体温を記録 常用薬もリストアップを!
治療を始めると決めたら、初診時には基礎体温表をご用意いただけると助かります。
あまり重視しない医師もいますが、排卵やそれにともなう状況を判断する手助けになります。
基礎体温は、少なくとも2カ月間は記入し、できれば専用の用紙を使ってグラフにしてください。
専用の用紙は、ほとんどの不妊治療クリニックで無料配布していますし、インターネットでも無料でダウンロードできます。
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グラフにすることで、ご自身の基礎体温の変化を目で見て知ることができます。
体温だけでなく、性交や月経、月経痛の有無、おりものの状態や量、体調や服用した薬などもメモしておくとよいでしょう。
しかしながら体温はいろいろな条件で変動することもありますので、基礎体温の変動だけで何かを診断するということは困難です。
基礎体温はあくまで補助的な材料の一つと考えてください。
また、これまでに婦人科検診や子宮がんの検査を受けたことがある方、他のクリニックで不妊治療を受けたことがある方は、その内容がわかるものをぜひご持参ください。
初診時には、問診票に病歴も記入していただきますが、不妊症以外で現在治療中の病気がある方は必ずお申し出ください。
甲状腺疾患などがあると、造影剤を使用する検査が体の負担となることもあるので注意が必要です。
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かかりつけ医にも、不妊治療を始めてもいいか、あらかじめ相談しておきましょう。
常用している薬があれば、処方箋か薬そのものをお持ちください。
病院で処方された薬だけでなく、市販の胃腸薬や鎮痛剤、ビタミン剤といったサプリメント類まで、担当医には知らせておくとよいでしょう。
不妊治療には関係しないと思われる薬でも、検査結果などに微細に影響することがありますから。
不妊治療は、時には長引くこともあります。
痛みをともなう検査や治療などもあり、焦ったり憂鬱な気持ちになることもあるでしょうが、あまり思いつめずに、リラックスして取り組んでいただければと思います。
インターネット上には、根拠のないものを含めあらゆる情報が飛び交い、勉強熱心な方ほど振り回されがちです。
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もし、治療中に少しでも疑問に思うことや、わからないことなどがあれば、遠慮せずに担当医に質問してください。
インターネット検索するよりも、ずっと確かな情報が得られるはずですから。
治療を始める前の心得!
適正体重の維持、禁煙など生活習慣を見直そう
少なくとも、2カ月間の基礎体温をグラフに
婦人科検診・風疹予防接種を初診前に済ませて!