43歳でも不育症検査を受けたほうがいいでしょうか?どんな検査をするのですか?

39歳と41歳の時に流産を経験。 不育症の検査は必要? どんな検査をするの? 蔵本ウイメンズクリニックの蔵本先生に伺いました。

蔵本 武志 先生 久留米大学医学部卒業、山口大学大学院修了。 山口県立中央病院産婦人科副部長、済生会下 関総合病院産婦人科部長を経て、1990 年オー ストラリア・PIVETメディカルセンターへ留学。 帰国後、1995 年蔵本ウイメンズクリニック開院。 O 型・おうし座。今年 2月から導入した電子カ ルテシステムや自動予約システム、自動支払機に より、患者さんの待ち時間を大幅に短縮。春か らは新しいスタッフも増え、より充実した医療体 制が組まれている。
まりさん(43歳)Q.39 歳の時に人工授精で妊娠しましたが、8週で稽留流産。41歳から体外受精を行い、5回目の移植で妊娠しましたが、心拍確認後10 週で不全流産しました。 不妊治療の医師からは不育症検査ができると言われましたが、地元の総合病 院では「原因がわかっても打つ手がなく、高齢だからしかたがない」と言われて 検査をすすめられませんでした。私なりに不育症検査について調べましたが、あ まりよく理解できません。高齢でも不育症検査を受ける意味はありますか? また、どのような検査があるのでしょうか。ちなみに、不妊治療で一通りの検査 を受けましたが不妊原因は不明でした。

卵質の低下と流産

まりさんは2回流産していますが、2回で不育症と断定できるものですか?
蔵本先生 一般的に、妊娠された方の約 15 %が流産し、流産や死産を2回以上くり返す場合は不育症といわれています。
2回だと反復流産、3回以上くり返す場合は習慣流産となります。
年齢が高くなると卵子の質がどうしても低下してしまうので、受精・妊娠しても出産まで至らずに流産してしまう確率が高くなります。

染色体異常の割合

不育症の原因は何でしょうか?
蔵本先生 流産の原因で一番多いのが受精卵の染色体異常であり、流産原因のおよそ7割近くを占めるといわれています。
それから、胎盤で血栓が生じるケースも考えられます。
抗リン脂質抗体症候群ですと、末梢の細い血管に小さな血栓が生じやすく、妊娠初期の胎盤に小さな血栓がたくさんできて、胎児への血行が悪くなり流産してしまいます。
習慣流産の方の3〜 15 %は、この抗リン脂質抗体症候群です。
また、血液を固まらせる凝固系の異常も血栓を招き、流産の原因になることがあるといわれています。
さらに子宮奇形も原因に挙げられます。
まりさんの場合は、どのケースが考えられますか?
蔵本先生 はっきりとはいえませんが、年齢や体外受精の回数から見て、おそらく胚の染色体異常の可能性が高いと思われます。
人間の染色体は23 組計 46 本で成り立っています。
しかし、この数に異常があると流産を引き起こすことがあります。
また、流産をくり返す方の2〜4%程度にご夫婦どちらかの染色体の構造異常があります。
しかし、親が染色体の構造異常の保因者であっても半数以上の方は出産が可能です。

血液検査からはじめよう

不育症の検査はどのようなものですか? 受けるべきか迷っていらっしゃいますが。
蔵本先生 検査はやはり受けたほうがいいです。
まりさんの場合、胚の染色体異常が疑われますが、それは流産直後に流産した胎児を検査しないと断定できません。
まずは抗リン脂質抗体症候群や血液凝固系かどうか、血液検査をしてみるのがいいでしょう。
次のステップへの判断材料として、血液検査を受けてみることをおすすめします。
もし、抗リン脂質抗体症候群が原因の場合は、血栓予防に低用量アスピリンを服用したり、ヘパリンの在宅自己注射を行います。
血液の凝固系異常が流産の原因である場合も、低用量アスピリンなどの投与を行います。
次に、ご夫婦の染色体を調べてみてはいかがでしょうか。
ただし、染色体異常に対する治療は特にありません。
まれに染色体が別の染色体にくっつくなどの構造異常が見られますが、その場合は着床前診断による体外受精を行うことがあります。
※保因者:遺伝子疾患の原因となる遺伝子を持っているが、発症していない人。
※着床前診断:受精卵診断ともいう。受精卵が子宮で着床して妊娠が成立する前に、その遺伝子や染色体を解析する。細胞分裂の 段階で遺伝子や染色体を検査し、診断が確定した受精卵だけを子宮に戻す。ただし、日本ではまだ実施できる症例や施設が限られている。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。