生理の量や日数が減ってくると妊娠に影響がある?

40代を過ぎたら経血の量や生理の日数が減ってきた……。 具体的に妊娠にどんな影響を及ぼすのか、 吉田レディースクリニックの吉田先生に伺いました。

吉田 仁秋 先生 獨協医科大学卒業。東北大学医学部産婦 人科学教室入局、不妊・体外受精チーム 研究室へ。米国マイアミ大学留学後、竹 田総合病院産婦人科部長、東北公済病院 医長を経て、吉田レディースクリニック開 設。結果が出ても出なくても、最終的に 患者さんが満足して治療を終えていただけ るように、同院では治療のほかにもサプリ メントや漢方などさまざまな方法を積極的 に取り入れている。

ドクターアドバイス

◎ FSH8以上はプレ更年期
◎ ホルモン補充周期で受精卵を戻す
◎ サプリや漢方など、できることにトライを
ティーさん(専業主婦・40)Q.最近めっきり、生理の量、日数が減りました。年齢的 にしかたがないのかもしれませんが、妊娠の可能性が 下がりつつある事実を思い知ってしまい、つらいです。 来月、凍結胚盤胞を移植する予定ですが、生理の量 や日数が減ったことが移植に悪影響を及ぼすことはあ るのでしょうか? ちなみに2カ月前の血液検査では ※  FSH値は7~9くらいでした。

年齢と経血の量

40代に入ると、生理に変化が起こるようになるのでしょうか。
吉田先生 そうですね。
変化のしかたには個人差があるので、その表れ方はいろいろです。
ハルクさんのように経血が減ったり、生理の間隔が長くなったり短くなったりと、周期が乱れてくる場合も。
まだ更年期ではありませんが、だんだん体が閉経に向かい始めた、いわゆるプレ更年期という状態になっていきます。
経血量に関して言えば、逆に、 40代になって増えてきたという方もいらっしゃいます。
子宮筋腫子宮内膜症になると経血の量が増えることがあるのですが、それらの疾病は年齢が上がっていくと発症する頻度も高くなってくるので、経血量が多いというのも注意が必要ですね。
また、経血量が減少する原因として、年齢のほかに排卵誘発剤の影響も考えられます。
クロミッドⓇなどの薬を長く服用すると、子宮内膜が薄くなって経血量も減ってしまうことがあります。

更年期とホルモン値

ハルクさんは完全な更年期ではなく、まだ不妊治療を続けられる状態ということですね。
吉田先生 更年期かどうかはホルモンの値を調べればわかります。
FSHの値が 15 以上になり、それとともにLHの値も上がってきたら、もう閉経間近の状態といえるのではないでしょうか。
ハルクさんのFSHの値は7〜9とのこと。
8以上だとプレ更年期の状態になり始めていると思いますが、 42 歳という年齢にしては悪くない数値だと思います。
受精卵も胚盤胞まで育っていますから、治療によってはまだ妊娠される可能性は残っていると思います。

経血量が減る意味

経血量が少なくても大きな問題はありませんか?
吉田先生 極端に量が少なかったり、周期が大きく乱れている場合でなければ、排卵を誘発したり、卵子を採ることに関してはそれほど大きな影響はないと思いますが、受精卵をうまく着床させるためには工夫が必要になってくるかもしれません。
月経の時に出る血液は子宮内膜がはがれて溶け出したものなので、経血が少ないということは子宮内膜が薄くなっている可能性が考えられます。
子宮内膜は簡単にいえば受精卵を受け入れるベッドのようなものですから、それが薄いと着床が難しくなってしまうのです。

原則、ホルモン補充周期

では、具体的にはどのような工夫をしていけばいいでしょうか。
吉田先生 子宮内膜の状態が着床に適しているかどうかを超音波でみて、もし薄いようであれば、しっかり厚くしてから受精卵を戻す。
胚盤胞を凍結されているのでしたら、自然周期ではなく、ホルモン補充周期で戻されたほうがいいかと思います。
当院では以前、自然周期で戻す方法をとっていましたが、それではなかなかうまく着床されない方もいらっしゃいました。
そこでホルモン補充周期で戻すようにしたところ、妊娠率がぐんと上がったんです。
この結果から、今は原則、ホルモン補充周期で戻すようにしています。
ホルモン補充周期では、エストロゲンの貼り薬と E2 の飲み薬を使って子宮内膜を厚くしていきます。
それでも改善しない場合はHMG製剤の注射もします。
内膜が8㎜くらいまで厚くなることを目指したいのですが、どうしても厚くならないという場合は、バイアグラⓇの座薬を使ったり、ビタミンCやEの薬を2〜3カ月くらい飲んでいただきます。

子宮内膜を厚くする

バイアグラⓇは、男性のEDの治療などで使う薬ですか?
吉田先生 はい。
それを座薬にしたもので、子宮内の血流がよくなることを期待して使います。
効果は人によりますが、なかには子宮内膜によい影響をもたらし、妊娠に至った方もいらっしゃいます。
残念ながら現状では、子宮内膜を厚くするための絶対的な治療はありません。
しかし、だからこそ、いろいろな方法を試してみる価値はあると思います。
血流をよくして毛細血管を増やし、子宮内膜をフカフカのベッドにするために、サプリメントや漢方、運動など、治療以外でもぜひトライしていただきたい。
ハルクさんもせっかく胚盤胞ができたのですから、手を尽くしてベストな子宮内膜の状態で戻していただきたいですね。

40代の不妊治療

40 代で不妊治療を続けている方に先生から何かメッセージをお願いします。

吉田先生 根気よく治療を続けていただくこと。
一度うまくいかなかったからといって、落ち込んでしまわないように。
「もう無理かも」と考えることがストレスになり、それが生理を止めたり、乱れさせることもあります。
 40 歳を過ぎると自然妊娠の確率は5%以下とかなり厳しくなってくるのは事実です。
極端かもしれませんが、「ダメでもともと」くらいの開き直った気持ちで構えられたほうがいいのではないでしょうか。
くじけずに忍耐強く治療に臨まれることが大切だと思います。
※ホルモン補充周期(胚移植法):ホルモン製剤を投与して自然排卵を抑え、子宮内膜を受精卵の着床に適した状態に調整して、胚移植をすること。通常、GnRHアナログと、飲み薬や貼り薬(パッチ剤)、軟膏、腟座 薬などでエストロゲンを補充し、子宮内膜が10mm以上になったところでプロゲステロンを投与する。妊娠した場合、プロゲステロンを一定期間(6~8週)投与する。自然周期胚移植法と比べ、移植日を特定しやすく、 妊娠率も高いといわれている。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。