人生設計を考えるためにも卵巣予備能を知ってほしい

浅田レディースクリニック主催 「不妊症・AMHセミナー」女性には若いうちから妊娠や出産についての正しい知識を 得てほしいと考えている浅田レディースクリニックの浅田先生。 「不妊症・AMHセミナー」と題して、広く一般の女性に向けて、 毎月セミナーを開催されています。 今回は、2月21日に三重県の四日市市文化会館で 開催された様子を取材しました。

浅田 義正 先生 名古屋大学医学部卒業。1993年、 米国初の体外受精専門施設に留学 し、主に顕微授精を研究。帰国後、 日本初の精巣精子を用いた顕微授 精による妊娠例を報告。2004 年、 浅田レディースクリニック開院。 2006 年、生殖医療専門医認定。 2010 年、浅田レディース名古屋駅 前クリニック開院。

精子は年をとらないが 卵子は老化する!

去る2月 21 日、四日市市文化会館(三重県四日市市)で開催された、浅田レディースクリニック主催の「不妊症・AMHセミナー」を取材させていただきました。

会場には圧倒的に女性が多いものの、会社帰りと思われるご主人も一緒に参加されているご夫婦も。

いずれも真剣な表情で、先生の言葉を聞き逃すまいと熱心にメモを取る姿が目立ちます。

この日のセミナーのタイトルは「赤ちゃんと出会えるために卵巣予備能を知る」。

「卵巣予備能」という少し耳慣れない言葉を聞いて緊張ぎみの参加者を前に、「今日は卵の話をしたいと思います」
と、先生は穏やかに語り始めました。

「男女の性差の違いとは、すなわち生殖器官である精巣と卵巣の違いです。

精巣は精子をつくり出す場所ですが、卵巣は卵子をつくるのではなく、保存するための器官なのです」

先生は「胎生期から閉経までの卵数の推移のグラフ」を指し示しながら、わかりやすく解説します。

「胎生期に母体内で形成された700万個の原始卵胞は、女性が生まれると同時に200万個にまで減り、思春期を迎える頃には 10 万〜 30 万個に、その後は1カ月におよそ1000個ずつ、1日にすると 30 〜 40 個の卵が消失していくといわれています。

35 歳ではすでにわずか1〜2%しか残っていない状態です」

精子は精巣で3カ月かかって新しい細胞がつくり出されるけれど、卵子は卵巣という〝工場の倉庫〞にストックされているだけ。

そして加齢の結果、卵子は老化して機能が低下する一方、という事実に、参加者の方々は少なからず衝撃を受けた様子でした。

浅田先生は、自分の卵巣に卵がどれくらい残っているか、すなわち自分自身の「卵巣予備能」を知るAMH検査が、不妊治療においてとても重要だと考えています。

「AMHと年齢は相関しません。年齢ではなく、個人差のほうが圧倒的に多いのです。

ですから、何歳までに結婚・出産というのではなく、卵巣予備能を知るにはAMHの値を知ることが重要です。

私は『 20 歳になったら子宮頸がん検査、 30歳になったら未婚・既婚を問わずAMH検査』という具合に、誰でも受けられる検査にするべきだと考えています」

そもそも、AMHって?

成長過程の卵胞から分泌されるAMHには、原始卵胞から発育する「前胞状卵胞数」が反映されていると考えられています。

そのため、原始細胞があとどれくらい残っているか、つまり卵巣予備能を知るための評価指標として、近年注目されています。

「卵巣予備能がどれくらいかを知ることができるのがメリット。

FSHの基礎値が上がってからではもう遅いということが多い」という浅田先生。

AMHの測定は、先生が治療において特に重視されているホルモン検査です。

女性の晩婚化が 不妊の大きな要因に

最近は、アンチエイジングで女性がいつまでも若々しく、美しく活躍することができる時代。

しかし、その一方で、「見た目が若くても、卵巣や卵、卵細胞はアンチエイジングできないことを女性には知ってほしい」と浅田先生は強調します。

その背景として、日本の社会情勢の変化による現代女性の晩婚化、それにともなう女性の出産時期の遅れ、「晩産化」が不妊の大きな要因と指摘します。

たとえば、1985年頃の日本女性の出産に関するデータでは、6〜7割の女性が 20 代で出産していました。

ところが、近年は 20 代で出産する女性の割合は3〜4割にまで減少しています。

女性は22 〜 23 歳が最も妊娠しやすく、年齢とともに妊娠率が下がり、染色体異常によって、妊娠しても流産する確率が高くなります。

また、 35 歳以上だと死産の確率も高くなってしまうとのこと。

150年くらい前までは 50 人に1人くらいの高い割合で、お産の時に命を落とす妊婦がいました。

高齢になるにつれて妊娠しにくくなり、流産率が上がるのは、生物学的に母体を守るための仕組みでもあるそうです。

「あまり知られていない事実ですが、 40歳で妊娠したとしても、その半数の赤ちゃんは流産してしまうのです」というお話も衝撃的でした。

キャリアアップのために、結婚や出産を後回しにしてきた女性も多いはず。

だからこそ、先生は時間を大切にしてほしいといいます。

「避妊をやめたからといって、すぐに妊娠できるとは限らない。

女性は結婚や出産をいつにするのか、仕事との優先順位をどうするのかなど、キャリアプランのなかで出産をいつのタイミングにするのか真剣に考えていただきたい。

自分のAMHの値を知ることで、積極的に人生設計をしてほしいですね」

ご自身の卵についての正しい知識を持って出産計画を立ててほしいという、先生の熱意が伝わってくる内容でした。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。