重複子宮、チョコレート嚢腫、子宮筋腫があります。そんな私でも 妊娠できますか?

高橋 克彦 先生  慶應義塾大学医学部卒業。インターン時代に立ち 会ったお産に感激し、産婦人科医を目指す。1990 年に日本初の体外受精専門外来クリニック、高橋産 婦人科を開業。後に広島HARTクリニックと改名。 2000年、東京HARTクリニック開設。「日本初」 の実績を次々と打ち立て、日本の不妊治療界をリー ドする。自他共に認める地元・広島カープの熱狂的 ファンで、ご多忙ななかでもシーズン中は地元開催 の試合はスタジアムに観戦に行きます。「今年は中日 と横浜の監督が変わったので嬉しい」とのこと。
tikoさん(39歳)Q.平成 22年 3月から受診。MRIで重複子宮、チョコレート嚢腫子宮内膜症、 右側子宮多発性筋腫(最大 3.5㎝)と診断されました。半年間、タイミング療 法を行い、その後ロング法にて採卵し体外受精を行いましたが、着床しませんで した。今後はクロミッドⓇで排卵誘発し、採卵をして左側の子宮へ戻す予定です。 上記のような症状があるため、先生に「大変な人ね」と言われたことがあり、そ の一言が不安をあおっています。このような症例でも、妊娠できた例はたくさん あるのでしょうか? また、よい治療法などはありますか?

子宮内膜症、重複子宮の治療

tikoさんのような重複子宮、チョコレート嚢腫、子宮筋腫の方の場合、先生はどう考えられますか?
高橋先生 そうですね、妊娠はかなり難しい状況ではあると思います。
その理由は、 39 歳という年齢と、やはり子宮内膜症やチョコレート嚢腫の症状があり、その吸引手術をされていることです。
これらは体外受精の治療をしても、一番妊娠率の低い症例の1つなのです。
まず、子宮内膜症の場合の妊娠率が低いというのが挙げられるのですが、内膜症の手術を受けていると卵巣の予備能力が低くなっていることが多く、さらに良質の卵子が採卵できる確率も低いと考えられます。
また、チョコレート嚢腫も併発しており、子宮腺筋症という問題も出てくると、着床にも影響を及ぼして着床率も低くなることになります。
ただし、重複子宮については、必ずしも不妊の原因になるとは言えません。
実際に自然妊娠でも重複子宮の方で妊娠されている方は結構いらっしゃいます。
検査して初めてわかるという方もいるので。
むしろ、子宮内膜症やチョコレート嚢腫、子宮腺筋症が不妊の原因になり、主治医の先生が言われている通り、かなり厳しい状況といえます。
先生ならどんな治療をすすめますか。アドバイスをお願いします。
高橋先生 クロミッドⓇで排卵誘発し、採卵すると書かれていますが、私なら多量のHMG製剤を投与して、排卵数を上げます。
副作用も懸念されると思いますが、tikoさんの場合は2回の採卵で、採卵できず反応が悪いことなども踏まえて、副作用はあまり心配することはないと思います。
この方のように重症であればあるほど、治療に徹するべきだと考えます。
妊娠を望むのであるならば、この治療を進め、できるだけ多く採卵して胚盤胞までいくかどうかをみます。
もし、胚盤胞までいかなければ、tikoさんが妊娠する可能性はほぼゼロといえるでしょう。
しかしながら1個でも胚盤胞まで到達すれば、子宮へは戻さずに凍結し、程度にもよりますがアゴニスト製剤を使って3カ月間くらいは無月経、要するに生理を止めた状態にします。
そうすることで、子宮内膜症や筋腫の影響を最小限にとどめます。
そしてその後、ホルモン療法で子宮内膜の状態を整えてから胚盤胞を移植します。
子宮内膜症は毎月悪くなることはあってもよくはなりません。
年齢も考慮すると、時間との闘いだと思います。
そして、この1年が勝負だと私は考えます。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。