初めての人工授精で激しい腹痛を感じ治療が不安です

堀川 隆 先生  琉球大学医学部卒業。国立国際医療センター、国立成育医療センター 不妊診療科勤務を経て、2009 年12月より高崎 ARTクリニック院長 に就任。国際医療センター勤務時より内視鏡手術・生殖補助医療に従 事。成育医療センターでは難治性不妊治療・加齢と不妊についての研 究に取り組む。B 型・みずがめ座。震災後、医師としての使命感をより 強く持つようになったという堀川先生。「遠い所から頑張って通ってこら れる患者さんのためにも、来年も全力投球の姿勢で診療に臨みたい」。
Kinさん(33歳)からの投稿 Q.タイミング療法を2 年続けても子どもを授からないので、夫に精液検査を受 けてもらったところ、精子濃度と運動量が平均最低値の10 分の1でした。先 生から「自然妊娠は難しく、体外受精に進むレベル」と言われたのですが、そ の産婦人科は体外受精は行っていないので、とりあえず人工授精に挑戦。人工 授精は初めてでしたが、施術中とても痛く、寝ていられないほどの激しい腹痛 が30 分ほど続きました。こんなに痛いものなのでしょうか。このまま人工授 精を続けて妊娠の可能性はあるのか、体外受精に進んだらもっと体への負担 が大きくなるのか、不安や疑問でいっぱいです……。

精液所見による治療選択

精液を検査したところ、精子濃度が200万個/ mL 、精子運動率が5%という結果だったそうです。この数値をどう思われますか。
堀川先生 200万個/ mL の5%ということは 10 万個。2 mL 採れているので、動いている精子は 20 万個ということになりますが、やはりこれはかなり少ない数値だと思います。
人工授精が適用になるのは100万〜1000万個程度と施設によって幅がありますが、一般的には動いている精子の数が500万個くらいまでと考えられているようです。
 20 万個であれば顕微授精が必要になるレベルではないかと思いますが、1回の精液検査では正確な判断はできません。
精子は、ストレスなどで極端に状態が悪くなることもあるので、もし1回しか検査をしていないのなら、再検査をされたほうがいいと思います。

精液の処理について

とりあえず人工授精に挑戦されたようですが、その時、強い痛みを感じられたようです。そのようなことはよくあるのでしょうか。
堀川先生 稀 に多少の痛みを感じる方もいるようですが、これほどの苦痛はないはずです。
もしかしたら、精液を処理しないで注入してしまったのではないでしょうか。
確かに先生が処理された様子はなく、持って行った精液をすぐ注入されたようです。
堀川先生 一般的には、人工授精をする前は精液を洗浄・濃縮します。
なぜかというと、原精液の中には雑菌や死んだ精子などの不純物がたくさん入っているからです。
精液中の精子ではない部分には、子宮を収縮させるホルモンも含まれています。
それらを除かずに子宮内に注入してしまうと、痛みや感染を引き起こすことがあります。
また、子宮内には多くの液体が入らないので、濃縮して 0.5 mL 程度に減らして注入しないと、やはり痛みの原因となってしまいます。

専門施設の強み

Kinさんが通院されている病院は、不妊治療の経験が少ない施設だったのかもしれませんね。
堀川先生 そうですね。
タイミング療法を2年続けた後に初めて精液検査を行ったという点にも少し疑問を感じます。
精液所見からみても、もう少し高度な不妊治療を受けられる施設に転院されたほうがいいかもしれません。
体外受精への不安や疑問も、経験豊富な専門病院できちんと説明を受けてご夫婦で理解を深めれば、解消できるのではないかと思います。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。