移植法や受精法を変えてもなかなか結果が出ません。排卵誘発法を変えるべき?

山下 直樹 先生  金沢大学医学部卒業。同大学大学院外科系、第一病理学教室専修 生修了後、金沢赤十字病院産婦人科医局に入局。同院産婦人科副 部長、部長を務めた後、1998 年より加藤レディスクリニック勤務。 その間、藤野婦人科クリニック副院長を経て、2009 年に不妊治療 専門施設・山下湘南夢クリニックを開設。O 型・てんびん座。「心穏 やかに、最先端の不妊治療を、最高水準の技術で提供する」という のが診療理念。院内の雰囲気づくりにもこだわり、海が近い湘南ら しいリゾートホテル風のインテリアが患者さんの心を和ませる。
りんごさん(39歳)からの投稿 Q.34歳の時に人工授精4回目で第1子を妊娠・出産。37歳から2人目不妊で 通院しています。人工授精を10回するも陰性。38歳から体外受精をしていま す。これまで採卵3回、移植6回。移植は8分割で2回、新鮮胚盤胞で3回、 凍結胚盤胞で1回です。新鮮胚盤胞移植で一度、胎嚢確認後に流産していま すが、不育症の検査は異常なしでした。3回の採卵ではロング法で毎回10 個 前後卵子が採れて、4個の胚盤胞ができたこともありました。現在、2個移植 した段階で、流産と陰性です。体外受精、顕微授精、複数回胚移植といろいろ 試しましたが成功しません。誘発法を変えれば卵子の質は変わりますか?

治療歴から考察する

りんごさんはさまざまな治療に挑戦していますが、なかなか結果が出ません。どこに問題があるのでしょうか。
山下先生  34 歳の時、人工授精4回目に妊娠されていらっしゃいますね。
5回に1回くらいの割合だったかもしれませんが、少なくともこの時は受精能力や卵子をピックアップする力があったということですね。
その後、人工授精では結果が出ず、体外受精に進まれて、1回目の採卵時に体外受精半分、顕微授精半分でトライしたけれど、体外受精のほうは受精をしなかったということです。
このような治療歴を見ると、受精能力やピックアップ障害があるのかないのか、どちらともとれる状態で、何が原因か正確に診断するのは難しいところですが、卵巣能力に関しては少し低下が見られるように思われます。

卵巣機能と誘発法

どんなところからそう思われたのですか?
山下先生 ロング法による卵巣刺激で9個程度採卵できるということですが、この方法で9個というのはそんなに多くはないんですね。
それは、卵巣の能力が落ちてきていることを示しています。
世界的に見てロング法は主たる卵巣刺激法で、採れる卵子の数も多く、質もいいと考えられていますが、年齢が上がり、卵巣の能力が落ちてきた場合はそれが逆効果になることもあります。
このような方にロング法のような強い刺激を加えると、FSH値が上がってしまうんですね。
もともと卵子の質があまりよくない時に非生理的な形でFSHを上げると、さらに質が下がってしまうことがあります。

キメ細やかな治療が大事

他の刺激法に変えてみたほうがいいのでしょうか。
山下先生 低刺激にして卵巣に負担をかけない治療にすれば、もっと質のよい卵子が採れる可能性があります。
当院でも、ロング法でうまくいかなかった方が来院され、低刺激法に変えて1回で結果を出されたケースが多くあります。
試してみる価値のある選択肢ではないでしょうか。
また、結果を出せるか出せないかは、治療自体のクオリティの高さ、きめ細かさも大きく影響するのではないかと思います。
採卵や受精させる時期を的確に見極め、好機を逃さないことが大切です。
当院では休診日であっても、その日が採卵に最も適した日であれば、実施するようにしています。
そのような積み重ねが、いい結果につながってくるのではないかと思っています。
>全記事がドクター編集!

全記事がドクター編集!

不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。