LHの値が高いと卵子の質が悪くなるのでしょうか。いい誘発法はありますか?

LH値が高く、多嚢胞性卵巣ぎみの場合、 卵子の質が悪くなるのでしょうか? LH値と治療法について福田先生に伺いました。

福田 勝 先生  順天堂大学医学部・同大学院修了。米国カリフォ ルニア大学産婦人科学教室留学後、順天堂大学 医学部産婦人科学教室講師を経て、1993 年福田 ウイメンズクリニック開院。「患者さんの意向に応 えるのがプライベートクリニック」という考えは開 院当時から変わらない。取材の度に「近況に変化 はないです」という福田先生。毎日鎌倉から通勤し、 100人以上の患者さんを診て……と、18 年間仕 事人間をキープ。それこそ、すごいことです!
ルナルナさん(会社員・36歳)からの投稿 Q.もともとの生理周期は35~45日、初診のホルモン検査では[Day9]でLH:19.3、 FSH:13.8、で小さな卵胞がパラパラ見え、PCOぎみと言われました。成功報酬でフェ マーラⓇ→1個空胞を経て、前周期の値は[Day2]E2:47、LH:14.0、FSH:10.1[、Day6] E2:285、LH:27.5、[Day11]E2:849、LH:25.4でした。Day3からセロフェンⓇ1錠(8 日間)、Day8、Day11にゴナールエフⓇ75で、Day13に5個採卵。3個受精したうち 1個を新鮮胚で移植、2個は培養途中で分割が止まってしまいました。判定はまだで すが、期待はできません。LHが高いと卵子の質が悪くなるのでしょうか。アンタゴニ スト法に興味がありますが、いい排卵誘発法はありますか?

ホルモン値とPCOS

ルナルナさんはLH(黄体形成ホルモン)が高値でPCO(多嚢胞性卵巣)ぎみと診断されたようですが、やはりその傾向は見られますか?
福田先生 月経の異常があり、超音波で小さな卵胞がたくさん見られる、FSHの基礎値が高く、LHの値がFSHの値よりも高い。
これらの所見は、日本のPCOSの診断基準をある程度満たしています。
前周期のDay2の値からみても、やはりルナルナさんは多嚢胞性卵巣タイプだと考えられますね。

卵質とLHの関係

採卵しても空胞だったり、受精をしてもフラグメンテーションが多く成長しないなど、卵子の質が悪いのはLHが高いことが原因ではと思われているようですが……。
福田先生 LHは基礎値で7以上であれば高値と考えられているので、ルナルナさんの値は確かに高いと言えます。
それが卵子の質に影響しているということは否定できませんが、LHが直接の悪影響になっているということではないんです。
LHは脳下垂体前葉から分泌されるホルモンです。
多嚢胞性卵巣タイプの病態としてLHの異常分泌が見られるのですが、LHが過剰に出るとアンドロゲン(男性ホルモン)の分泌が亢進されます。
アンドロゲンの活性化が高まると、卵胞の発育が抑制されてしまったり、白膜(卵巣の皮)が厚くなって硬化してしまう。
また、アンドロゲンの分泌が増えるとエストロゲンの1つであるエストロン(E1)の分泌も増え、これが脳にフィードバックして、やはり卵胞の発育を抑制してしまいます。
LHが高いとこのようにホルモンの分泌に不調和が起こり、卵胞、ひいては卵子の質にも悪影響を与えてしまうということなんですね。
 誘発法については、現在、セロフェンⓇを飲んで排卵誘発をされているということ。
クロミフェン療法ということで、これは決して間違っていないと思いますが、多嚢胞性卵巣タイプの場合、反応しない方もいます。
反応させるためにHMG製剤の注射などを使うと卵巣過剰刺激症候群のリスクが出てくるので、HMG療法の場合,注意が必要です。

誘発法の選択

さんはアンタゴニスト法に興味があるようですが……。
福田先生 GnRHアンタゴニストを使う排卵誘発法というのは、卵胞をつくっていって、その卵胞がある程度大きくなった時点で早い排卵を防ぐために抑えていく、という考え方の誘発法です。
それよりも僕はGnRHアゴニスト製剤を使った方法のほうがいいのではと思います。
GnRHアゴニスト製剤を使った方法の1つにロング法がありますが、これは前の周期の排卵直後からGnRHアゴニスト製剤で下垂体を抑制していく方法です。
HMG注射のスタートラインではLHやFSHの値も下がっているので、いい状態で卵胞を発育させることができるのではないでしょうか。
※フラグメンテーション:受精卵が不規則な細胞分裂を生じて起こる、細胞の破片のようなもの。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。