ドクターアドバイス
治療の一環として 費用対効果も考え 自分に合ったものを 見定めてください
メインは治療である
サプリメントについて、先生の基本的な考え方を聞かせてください。
石原先生 サプリメントはあくまでもサプリメントで、薬ではありません。
当然ながら、不妊治療において、主体となり得るものではなく、まずはメインである本来の治療をきちんと受けることが重要です。
ですから、サプリメントを摂取することばかりに気をとられすぎないようにしていただきたいと思います。
「不妊にいいと聞いた」とか、「何かにそう書いてあったから」といって、飲んでみたくなる気持ちはわかりますが、あれもこれも……というようなことは避けてほしいですね。
サプリメントのなかにはとても高額なものもあり、場合によっては月々の医療費よりも高い金額を支払うというようなことにもなりかねませんので。
適切な量を摂取する
先生から患者さんにサプリメントをすすめることはありますか?
石原先生 作用がある程度把握できているサプリメントについては、おすすめすることもあります。
例を挙げると、副腎由来ホルモンのDHEAですね。
これは、ホルモンを補充して卵巣の機能を高める働きがあるといわれています。
当院では、早発閉経の方や、1回目の体外受精でよい結果を得ることができなかった患者さんに、このサプリメントを提案しています。
年齢でいえば、早発閉経の場合を除き、 30 代以降の方が対象になります。
DHEAを摂取することで卵子の質を高められるという効果が期待できますが、副作用が出る場合もあります。
たとえば、男性ホルモン的に作用してしまうと、肌があぶらっぽくなったり、ニキビができたり、体毛が濃くなったりします。
まれに不眠に悩まされる人もいます。
そういった副作用が出ない範囲で使うということにも注意が必要です。
また、もう一つの例として、葉酸が挙げられますが、これは不妊の方だけではなく、妊娠を考えていらっしゃる方が摂取するといいサプリメントだと思います。
葉酸には、胎児の神経管の先天奇形を軽減させる効能があるとされています。
前回の出産で胎児に異常があったという場合には、次の出産に備えてしっかり葉酸を摂りましょうと、こちらから治療のためにすすめることがあります。
ただし、一般の方が妊娠前から予防のために飲む場合と、治療として用いる場合では、摂取量が異なります。
その点も正しく認識して、適切な量を摂ることが大切です。
治療を助ける一つの手段
単純に摂取すればよいというものではない、ということですね。
石原先生 当院では、実際に学会や論文の成績を参考に、効果や副作用を見極めて、患者さんにサプリメントを提供していますが、医学上、効能が実証されたサプリメントは、不妊の領域ではまだまだ少ないのが現状です。
必ずしも万人に効くものではないことを理解し、費用対効果も考慮しながら、自分に合うもの、自分にとって必要なものを見定めて、治療を助ける一つの手段として取り入れていくことができればいいですね。