信頼できる医師や仲間たちに支えられて たくさんの人との巡り合いで訪れた幸せ。
5 年間の治療は長かったけれど、 今がいいタイミングだったと思えます。
治療がうまくいかない時も生活に楽しみを見つけ、 前に進んできたトモさんとクニコさん。
素敵な人たちとの出会いで心も体も健康になり、 自分たちが描く理想の家族に近づいています。
始めた治療をすぐにやめ 漢方で体質改善
病院で検査技師として働いて いたトモさん( 34 歳)と、別の 部署で事務職をしていたクニコ さん( 33 歳)。
休日出勤で一緒 になった時に話をすると意気投 合し、お付き合いするようにな りました。
3 年間の交際を経て、 トモさんが転職のため引っ越し をすると、追いかけるようにク ニコさんも退職。
27 ~ 28 歳で結 婚した二人は、子どもは 30 歳ま でにできればいいと考えていま した。
2 年経っても妊娠しなかった ため、「一度診てもらったほう がいいかな」と、不妊治療の本 を出していた自宅近くの内科・産婦人科を開業している先生の ところに行ってみることに。
不 妊について知識があまりなかっ た二人は、話を詳しく聞きた かったのですが、先生は顔も見 ずに早口で話すだけ。
簡単な血 液検査をしてタイミング法をや ることになりましたが、先生 との相性があまり良くないと感 じたのと、超音波検査を受ける ために尿を溜めていくのが大変 で、結局そこは 2 ~ 3 回通院し ただけでやめました。
クニコさんは学生時代から冷 えを感じることが多く、夏場で もエアコンですぐに冷えてしま うため、カーディガンが手放せ ませんでした。
「この冷え体質 のために妊娠できないのかもし れないと思ったクニコさんは、以前、知人が漢方を飲んで妊娠 できたという話を思い出し、ま ず漢方で体を整えようと思いま した。
ネットで探した漢方薬局 に行き、基礎体温表を見せ、問 診・舌診を受けたところ、やは り冷えを改善したほうがいいと のこと。
薬を処方してもらい、 半年間飲み続けました。
不妊専門クリニックで 治療を再スタート
漢方で体質を改善しながら、 二人は子づくりを続けてきま したが妊娠はしませんでした。
クニコさんが 30 歳になった時、 「テレビやネットからの情報だ けでなく、専門の先生に話を 聞いたほうがいいのではないかと二人で話し合い、不妊専 門クリニックに通い始めるこ とにしました。
クニコさんは採血と卵管造影 検査を受けましたが、特に問題 なし。
一方、トモさんの精液検 査で精子の運動率が低いという ことがわかり、人工授精をする ことになりました。
しかし、排 卵誘発の注射が合わなかったの か、ストレスのためなのか、ク ニコさんは体調を崩してしまい ます。
「体が冷え切って全身がだる く、何もやる気が起きなくなっ てしまったんです。
病院の待ち 時間が長いのもつらかった」
同じ時期、トモさんも精子の 運動率が低い原因を男性専門の クリニックで調べてもらいましたが、特に何も見つからず悩ん でいました。
漢方を何回か飲ん でみても、精子の状態は変わら なかったそうです。
人工授精に 3 回挑戦したあ と、二人で話し合い、しばら く治療をお休みすることにし ました。
引っ越しを機に 次々といい出会いが
治療を休んでいる間、二人は 環境を変えようと、引っ越しを 計画します。
新しい住居はマン ションの 3 階で、部屋からは見 晴らしの良い開放感のある景 色が望めます。
気分転換に旅行 にも行きました。
動物と自然が 大好きだという二人の旅行先 は、いつも山や海の方面になる そう。
その中でも屋久島は、島に入った時から癒されたとい います。
動物が大好きなクニコさん は、動物病院での事務の仕事 を始めました。
「彼女はムツゴ ロウさんに憧れているので、動 物病院の仕事は本当に楽しそう にやっていましたね」とトモさ ん。
また学生時代やっていたソ フトボールを、トモさんの知人 のチームでやらせてもらうこと に。
未経験のトモさんも一緒に 始めました。運動することで体 力がつき体調も良くなっていき ました。
1 年後、心も体も十分に休 養できた二人は同じクリニッ クで治療を再開。
しかし人工 授精ではうまく行かず、体外 受精を勧められます。
クリニッ クの診療体制から、そこで体 外受精をすることに抵抗を感じていたクニコさんは、イン ターネットで見つけ何か惹か れるものがあった漢方の病院 に行ってみることに。
その漢方病院の医師は穏やか な人で、話をするだけで癒され ました。
そこで鍼灸を勧めら れ、受けてみるといい感触があ りました。
その鍼灸師自身も妊 活中で、今後自分も治療に専念 するからと、その人の師匠のよ うな鍼灸師を紹介してくれまし た。
その師匠もまた不妊治療を 受けた経験がある人でした。
不 妊に関する知識も豊富で、何で も親身になって相談に乗ってく れたといいます。
その鍼灸師の ところに行くたびに心身ともに いい方向に変わっていくのを感 じました。
鍼灸を始めて半年後、 鍼灸師が勧めてくれた不妊クリ ニックに行ってみることにしま した。
転院して体外受精2 回目の移植で妊娠!
新しいクリニックで最初に子 宮にポリープが見つかったので すぐに切除し、いよいよ体外受 精を始めることに。
最初は自然 周期で採卵しましたが、いい卵 が採れず、半年後から卵胞を育 てる薬を飲み始めました。
誘発 の最後に注射もしましたが、以 前とは違い体質も変わっていた のか大丈夫だったそうです。
「薬でもしまた体調が悪くなっ ても、鍼灸の先生が助けてくれるという安心感がありました」
数回の採卵を行い、受精卵を 5 ~ 6 個つくることができ ました。
そしていよいよ移植。今年 1 月に行った一回目の移植は、着 床しそうな数値だったものの残 念な結果でしたが、落ち込むこ とはありませんでした。
「 1 回目は体外受精の練習と 割り切りました。
2 月に沖縄 で姉の結婚式も控えていたの で、着床していても飛行機に 乗る不安があったと思います。
一度経験したおかげで、 2 回 目の 3 月の移植の時はまった く緊張しませんでした。
移植 までの約 3 時間の待ち時間に、 ガス会社のショールームで無 料のミストサウナを浴び、体 を温めました(笑)」
それも良かったのか 1 週間 後の判定は陽性。
しかし二人 は「一喜一憂しないよう、冷 静に行こう」と思っていたそ うです。
心拍確認ができた時、 「動いてる…」とようやく新し い命が宿った幸せを噛みしめ ました。
今は鍼灸を続けなが ら体調管理をし 11 月の出産を 心待ちにしています。
「引っ越しをしたことで流れが いい方に変わりました。
5 年間 の治療は浮き沈みもありました が、今がいいタイミングだった と思えます。
治療期間があった からこそ、たくさんのいい人た ちにも巡り合えたのだと思いま すね」(お二人)
子宝地図を作って 夢に一歩一歩近づく
リビングの壁に写真やコメン トが貼られた大きなボードがあ ります。
それは「こうなってい きたい」と思い描く未来のイ メージの写真やコメントを貼っ た「子宝地図」。
常に見ていると、 現実がそのイメージに近づいて いくというものです。
知っては いたけれど今まで作ってこな かった子宝地図を、今年に入っ て二人で作りました。
かわいい 赤ちゃんやファミリーカーの写 真、「つわりも軽くてすみます」 などのコメントを貼ると、不思 議なことにそれがどんどん現実 になっていきました。
地図の中には「我が家にもっ と笑顔が増えます」とも書き込 んであります。
その願いはまさ に今、実現に向かっています。