胚盤胞まで育ててホルモン補充周期

宮崎 和典 先生 大阪医科大学医学部卒業。学生時代の新 生児医療への興味がきっかけとなり、体外 受精や不妊治療の世界を志す。同大学産科 婦人科講師を経て、1992年に不妊症、不 育症治療専門クリニック、宮崎レディースク リニック開業。開業当初より泌尿器科の専 門医による男性不妊外来を開設する。A型・ しし座。最近、院長室に面した中庭でカナ リアと文鳥を飼い始めた先生。文鳥はいつ もカップルで仲良く木の枝にとまっているの で、それを見てスタッフの皆さんが羨ましが っているのだとか。

ドクターアドバイス

胚盤胞まで育てて ホルモン補充周期の 移植で戻します

胚盤胞移植が基本

着床率を上げるために、先生はまず何を重要視されますか?

宮崎先生 一人ひとりに合う方法を探していくことになると思いますが、基本的には受精卵を胚盤胞まで培養することが重要だと考えています。

特に年齢の高い患者さんの場合は、得られる受精卵の数が少なく、胚盤胞まで育つ確率も低くなりますので、初期胚のうちに戻すケースも多いことでしょう。

しかし、受精3日目の胚を何度か移植しても着床しない場合などは、移植そのものがキャンセルになるリスクを覚悟したうえで、思いきって胚盤胞による移植に切り替えたほうがいいと思います。

次に色々な移植を試す

胚盤胞まで培養してから移植することで、着床率アップが見込めるのですね。

宮崎先生 はい。

私は、着床率を上げるには、胚盤胞まで育ててから胚をいったん凍結し、ホルモン補充周期で子宮のコンディションを整えた後に移植するというのが最も理想的だと考えます。

それでもよい結果が得られない場合は、卵巣刺激法を変えていく必要があると思います。

たとえば、クロミフェンやHMG製剤など、薬による刺激を行っても卵巣がなかなか反応しない患者さんの場合は、自然周期を試してみるというのも一つの方法です。

自然周期のメリットは、薬を使わないので体への負担が少ないこと。

麻酔の必要がない、そして、連続して毎周期でも採卵や移植ができることなどです。

これは、一度にできる受精卵の数は少ないかもしれませんが、加齢で卵巣の反応が思わしくないような患者さんには有効です。

移植回数を増やすことで、妊娠への可能性を高めることができますので。

ひとつの移植法に拘らない

自然周期とホルモン補充周期によって着床率に違いはありますか?

宮崎先生 自然周期でも、きちんとタイミングが合えば着床率は変わらないと思います。

タイミングの問題ではないでしょうか。

要するに、どんどん変化する子宮の様子をとらえていかなければなりませんからね。

「移植にはこの日しかないだろう」という時に、ホルモン補充周期なら1日くらい遅らせることは可能だけれど、自然周期だとどうしてもタイミングを合わせるのが難しいのです。

胚盤胞まで育てた段階で、その人がホルモン補充による採卵だったのか、自然周期の採卵だったのかで、その後のステップも変わります。

自然周期ならそのまま移植してもいいのですが、ホルモン補充周期だと、凍結保存して移植するという選択肢になりますね。

また、受精卵がたくさんあって1個ずつ戻す場合も、ホルモン補充周期の次の周期は自然周期で移植してみるとか、着床や妊娠率を高めるために、選択肢はいろいろ用意します。

また、凍結胚盤胞が4〜5個あるような場合は、グレードの高い、見た目のよいものから順に戻します。

もちろん、着床率がよいと思われるものから戻していくのですが、最後に移植したグレードの低い受精卵が妊娠につながるということもよくあります。

最初の治療が変わると、次の流れも枝分かれして変わっていきますし、胚のグレードや、自然周期、ホルモン補充周期のいずれがよいかで判断はできません。

一つの方法にこだわらないことが大切だと思います。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。