年齢と卵子の質の関係
女性の年齢が高くなると、早くステップアップしなくては、と焦る方も多いようですが。
蔵本先生 確かに、妊娠率に最も影響するのは女性の年齢です。
女性は、生まれた時には約200万個の原始卵胞を持っていますが、徐々に減少し、 37 歳以降はさらに急減します。
数だけではなく、加齢とともに卵質も低下しはじめます。
どんな不妊治療を行っても、高齢になればなるほど妊娠率は確実に低下します。
実際に患者さんから卵子がどれくらい採れそうか、卵巣がどれくらい機能しているのかを調べるために、当院ではまず検査の段階で、①月経初期(2〜3日目)の小卵胞数、②血中のAMH値、③月経初期のFSH値をみます。
この結果、AMHが 10 以下、FSHが 10以上続くという状況であれば、卵巣機能が低下しつつあるため、ステップアップを早めるようにすすめています。
ステップアップの基準
先生の病院でのステップアップを教えてください。
蔵本先生 まずは、さまざまな検査を行い、データを蓄積すると同時に、異常があれば治療をします。
その時点でステップアップが必要ならその理由についても説明し、次の段階に進みますが、いきなり体外受精というのはないですね。
タイミング法の場合は3〜5周期は行っています。
タイミング法で妊娠される方は3回目までで 77 %、5回目までで 93 %ですが、これも 35 歳以上ならば少し早めます。
これで妊娠に至らなければ、人工授精を3〜5回行います。
当院のデータでは人工授精で妊娠される方は2回目までで 68 %、4回目までで 93 %。
しかし、これも 40 代ではぐんと下がるため、2〜3回で次のステップに進むことを提案します。
男性因子のステップアップ
男性側に原因がある場合はどうでしょう?
蔵本先生 精子の数が少ない、運動率がよくない、奇形率が高いなど、精子の状態が悪いと受精率が低下することが予想されるので、ステップアップを早めていきます。
これが私の考えるステップアップの基準ですが、あくまでも患者さんの同意あってのこと。