鍼灸治療で体質改善、8年目にして妊娠!
今まで気付けなかった“かくれ不調”。
治療を病院任せにしてきたことを反省し、 自分の体と向き合う大切さを痛感しました。
仕事をしながら治療に取り組むも、 長年、採卵すらままならなかったサチさん。
体質改善に挑むと、みるみるうちに体の変化が。 そして念願の妊娠に至ります。
元気なのに、健康なのに どうして妊娠できないの?
「私が不妊症だなんて、ウソで しょ?」。
初めてクリニックを訪れてから赤ちゃんを授かるまでに、まさか8年もかかるとは、思いもよりませんでした。
サチさん( 38 歳)が結婚したのは 23 歳の時。
6歳年上のご主人とは、大好きなサッカーを通じて出会いました。
それも“観る”のではなく、サッカーサークルのチームの一員として!
これまで大病もせず、生理も順調、生理痛も鎮痛剤ですぐに治まる程度。
子どもの頃から食が細く、痩せてはいましたが、健康にも体力にも、自信があったと言います。
「仕事も楽しく、若かったので、子づくりはまだ先でいい、何なら子どもはいなくてもいいとさえ思っていました。
でも、私の年齢が 30 歳に差しかかった時、夫が子どもを欲しがっているのに気付いて」
20 代で一度自然妊娠しました が、6週目で流産。
それでも、不妊治療専門の病院に行けばすぐに授かるだろうと、楽観的に考えていました。
それが、人工授精へとステップアップしても赤ちゃんができない──。
「私はこんなに元気なのに、なぜ?」と、初めて不安がよぎったのはその頃でした。
不妊の原因は不明。
卵子は未成熟で排卵されてしまい、顕微授精に進んでも採卵さえ難しく、精子の運動性も思わしくないとのことでした。
その後、治療を始めて6年目にして、初めて胚盤胞移植にまでたどり着くことができ、やっとサチさんのお腹の中に小さな命の灯がともります。
しかし、喜びも束の間、8週目には流産してしまいます。
「ショックは受けましたが、“まったく妊娠しない体”ではないということが証明されて、次こそは!と、気持ちを切り替えました」
“仕事は辞めないほうがいい” そのアドバイスに感謝!
ところがその矢先、サチさんは、通っていたクリニックから転院をすすめられます。
「とても良くしてくださったクリニックだったのですが、休診日が多く、診療時間も短かったので、仕事をしながら通うのには不都合が多かったんです。
“仕事は大事、辞めてはダメ。
だから、仕事をしながら通える病院に転院したほうがいい”との看護師さんの助言を受けて、転院に踏み切りました」
一瞬、「見捨てられたのかな?」 という思いも頭をよぎりましたが、今ではそのアドバイスをありがたく思っているというサチさん。
「もし仕事を辞めて不妊治療に専念していたら、もっと気が滅入っていたことでしょう。
スケジュール調整は大変でしたが、メインの仕事を軸に、都合をつけて治療をする、というルーティンができてしまえば、あとはそれに従うだけでした」
それでも、毎月の採卵はやはり苦痛がともないました。
それよりもさらにつらかったのは「“今回も採卵できませんでした。
しばらく休みましょうか”と言われ、何もできない期間が多くあったこと。
頑張りたいのに頑張れない、このもどかしさが一番つらかった」とサチさん。
仕事のスランプと重なった時は、ネガティブな感情にかられ、「仕事でも不妊治療でも成果を出せず、私は何をやってもダメなんだ」と、つい弱音が口をついてしまったこともあったそう。
そんな時、「不妊治療もそんな気持ちでやっているのか?
だとしたら、一生懸命治療してくださっている先生方に失礼だぞ!」と、上司の一喝が!
「正直、この言葉で目が覚めました。
“どうせ今月の採卵もダメだよね”と、“ダメ”が当たり前で、弱気になっていたんですね。
病院任せで、実は自分自身は何の努力もしていないことに気付かされました。
だから、体に良いと思われること、妊娠の手助けになりそうなことは、何でも、できるだけやってみよう!と。
そうして、トライしてみたことの一つが、鍼灸でした」
偶然手にした小冊子に載っていた鍼灸院の広告には、“不妊治療・不妊症で疲れた心身を癒して、妊娠しやすいカラダに整えます”との文言がありました。
「少しでも体質改善に役立てば!」という気持ちで、サチさんは通い始めます。
さらに、不育症治療の実績のある大学病院にも通い始め、仕事、不妊治療に加えて、不育症治療、鍼灸と、気持ちも新たに、サチさんの“できるだけのことをする”日々が始まります。
鍼灸治療との運命の出会い 体質改善で成熟卵が!
鍼灸院を訪れたのは一昨年の春、転院して初めての胚盤胞移植をする、2週間前でした。その時の鍼灸師の言葉は、サチさんにとってはとても衝撃的でした。
「“こんなに硬いお腹に卵を戻すつもり?”と言われたのが、ずっと耳に残っていて──」
その2週間後の胚盤胞移植は、 成功はしたものの、胎児の心音は、またも8週目で聞こえなくなりました。
不育症治療の病院での診断は、原因は“子宮内血栓によるもの”。
その時、サチさんは鍼灸院で言われたことを思い出しました。
“お腹が硬いって、血栓のことだったの?”と考え、鍼灸の力を信じて通うことに。
「週に1度通ううちに“自分の体が変わっていく”のを体感したんです。
まず、食べることが楽しくなりました。
それまで食にはまったく興味を持てなかったのですが、“ご飯って、白米って、なんておいしいんだろう!”と生まれて初めて思えるようになったんです」
それからは「おいしい!」という言葉を口にすることが増え、それにともなって肌のハリやツヤも増し、食の大切さを思い知るようになりました。
さらにある日、隣で寝ていたご主人からの、“足、温かくなったね”との言葉にも驚かされます。
「え、私の足って冷たかったの?」と。
冷え性の自覚すらなく、いかに自分の体を思いやれていなかったかを猛省した瞬間でもありました。
「鍼灸は、私には合っていたのでしょう。
それからは採卵もスムーズになり、良い成熟卵が採れるようになりました」
そして昨年の夏、鍼灸と不育症治療を始めて1年、不妊治療を始めてから実に8年、3回目の胚盤胞移植に挑戦。
今、サチさんのお腹の子は、順調にすくすくと育っています。
それでもまだ、妊娠したことを周囲の人に打ち明けられずにいるとか。
「これまで3回の妊娠に大喜びし、3回の流産に落胆してきました。
私たち夫婦だけでなく、周囲の人もがっかりさせてきたから、今は週を重ねることだけで頭がいっぱい。
本当の喜びは、無事に出産するまでお預けですね」
不安の残るサチさんですが、今回の胚盤胞移植に際しては、複数の卵子が採れたことも大きな心の支えになったそう。
「これまでの治療を知る培養士さんが、“奇跡!”と(笑)。
薬を服用せずに、胚盤胞移植を待つ間に成熟卵が2個も採れたんです。
それらが凍結保存されていることで、気持ちに余裕が持てたことも確か。
でも、これは奇跡ではなく、鍼灸によって体質改善された結果だと私は思います。
不妊治療は、“まずは母体の真の健康から”と痛感しています」