LHのみが低いのですがこのような症例でも妊娠は可能ですか?

渋井 幸裕 先生 東邦大学医学部卒業。医学博士。 東邦大学大森病院で体外受精グ ループにて研究、診察に従事する。 2003年、キネマアートクリニック 開院。現在、東邦大学大森病院 客員講師。日本生殖医療心理カウ ンセリング学会幹事長、日本女性 心身医学会幹事。O型・おひつじ 座。「セカンドオピニオンとは前の 医師の診断を否定することではな く、自分の考えや方針を述べるこ と」が渋井先生の信条。毎回、 寄せられた投稿をじっくり読み込 み、真摯にそして慎重に対応する。
カピバラさん(32歳)からの投稿 Q.一度自然妊娠するも、約8週で流産。その後、半年間不妊 治療を受けました。月経周期は38~43日、LH-RHテス トの結果はLH0.6、FSH4.2、PRL5.9。LHの値のみが 低く、不妊の原因は下垂体機能不全のためと思われます。 注射による誘発剤でタイミング法を3回行いましたが結果 が出ず、OHSSを起こしてしまいました。担当医に「100% LH製剤を使いたい」と伝えたところ、「存在しないので投 与できない」と言われてしまって……。こんな症例でも妊娠 の望みはありますか? 現在は治療をお休みしています。

LHが低い?

カピバラさんのLH(黄体形成ホルモン)の値はかなり低い数値と言えるでしょうか。
渋井先生 カピバラさんが書いているのはおそらく基礎値だと思われます。
さらに負荷試験を受けて、その後の反応を調べてみないと、本当に下垂体機能不全かどうか正確な判断はできないと思います。
基礎値でみても確かにLH値は低く、下垂体機能の低下を起こしているかもしれませんが、遅いなりにちゃんと月経周期があるわけですから、どこかで排卵はされていると思います。
残念ながら流産という結果になりましたが、実際に一度妊娠もされていますよね。

下垂体機能の低下

下垂体機能不全ではなく、下垂体機能低下の可能性があるということですね。カピバラさんは100%の製剤でLHを補いたいと思われたようですが……。
渋井先生 担当医の先生がおっしゃるように、現在、国内では100%のリコンビナントLH製剤は販売されていません。
外国では使われることもあるようですが、とても高価なものなんですね。
この薬の使用は現時点では現実的でありませんし、カピバラさんはそこまでしなければいけない症例ではないように思われるのですが……。
では、今後、どのような治療をしていけばいいのでしょうか。
渋井先生 月経周期が 38 〜 43 日と少し遅めではありますが、20 〜 43 日など幅広い周期でなく、 40 日前後という逆に安定した周期です。
ですから、平均的な 30 日前後の周期にこだわらず、ご自分がそのようなサイクルの排卵だと思ってみてはいかがでしょうか。
ゆっくり構えていくのなら、それに合わせてタイミングをとってしばらく様子をみるというのも一つの方法だと思います。

下垂体機能と誘発法

現在、注射で排卵誘発を行っているということに関してはどう思われますか?
渋井先生 本当に下垂体機能不全で、自力でのLHの分泌がない方に対しては当然強めの刺激は必要になってくると思います。
カピバラさんは遅いなりに排卵されているようですし、注射による刺激でOHSSという副作用も引き起こされているので、もう少しマイルドな誘発法でもいいのかもしれません。
当院で排卵誘発をする場合は、まずクロミフェンなどの軽い内服薬で月経周期が安定するかみていくと思います。
不安に思われているようですが、このような症例でも妊娠の可能性は十分あります。
希望を持って治療に臨んでいただきたいですね。

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