子宮卵管造影検査で卵巣に造影剤が拡散しないのは?【医師監修】

【医師監修】伊藤 哲 先生  順天堂大学医学部、同大学院修了。順天堂大学医学部 産婦人科学講師、国際親善総合病院産婦人科医長を経 て、1999 年あいウイメンズクリニック開院。日本生殖医 学会生殖医療専門医。O型・おひつじ座。ゴルフもしない、 お酒もほとんど飲まないという先生の趣味は、時代小説 を読むこと。特に好きな作家は池波正太郎で、代表作『鬼 平犯科帳』はもう何度も読み返しているそうです。
みか5さん(35歳) Q.先日、子宮卵管造影検査を受けました。卵管と子宮に問題はなかったの ですが、卵巣のところで造影剤が拡散していませんでした。インターネッ トで調べてみたら卵管のことはよく書いてありましたが、卵巣で造影剤が まったく拡散していない場合、どういった病状が考えられるのか載ってい ませんでした。子宮卵管造影検査でわかることは卵管の癒着だけなので しょうか。同時期に行った超音波検査では、卵巣の大きさには問題がな いといわれました。1カ月後に不妊専門病院に行くことになっていますが、 不安と焦りから眠れなくなってしまいました。

正しく把握しよう

卵巣のところで造影剤が拡散していないというのは、どのような状態であると考えられますか。
伊藤先生 先生は「卵巣」とおっしゃられたのでしょうか。
そもそも子宮卵管造影検査とは、卵管の通過性や長さ、卵管の水腫や狭窄の有無、子宮の内腔の形や状態を調べる検査です。
卵管に造影剤を注入してレントゲンを撮るのですが、その際、卵巣が映るということはありません。
先生がご指摘されたのは卵巣ではなく、おそらく、卵巣に近い部分にある卵管采に造影剤が溜まっていたということだと思います。

子宮卵管造影検査は重要

溜まっていたということは異常があるということでしょうか。
伊藤先生 卵管は卵子が通る道。
妊娠するために重要な部位なので、子宮卵管造影検査は不妊治療をする方にとって欠かせないものになります。
1〜2分で終わる簡単な検査ですが、結果によってはその後の治療方針が変わってくる重要な検査といえるでしょう。
もし、卵管采の周囲に造影剤が留まっていたとしたら、癒着が考えられます。どの程度のプーリングか不明ですが、癒着が強く疑われるようでしたら次の検査・治療が必要になってくると思います。

FTカテーテル

それはどのようなものですか?
伊藤先生 卵管采に問題が考えられるようでしたら、当院では腹腔鏡による検査・治療をご提案しています。
これはお腹に小さな穴を開けて、そこから腹腔鏡を挿入して調べる施術ですが、詳しい病状をみることができるうえ、軽い癒着であればその場で癒着を剥離することができます。
また、卵管の根元周辺に癒着があるかもしれない場合は、FT(卵管鏡下卵管形成術)が適応になります。
子宮内に細いカテーテルを挿入し、内視鏡で見ながらバルーンを卵管に通して卵管の通過性を回復させる施術です。
癒着の状態がかなりひどい場合は体外受精という選択になることもありますが、腹腔鏡やFTで改善できる状態でしたら、自然妊娠も可能になります。
みか5さんはとても心配されているようですが。
伊藤先生 異常がないのに検査をすることへの緊張で卵管がキュッと締まってしまい、造影剤が通らないという方もいます。
そのまま詰まっているという診断を受け、その後再検査をしてみたらちゃんと通っていたということも。
そのようなケースもあるので、きちんと診断するためにはやはり腹腔鏡やFTを受けられるといいのではないでしょうか。
子宮卵管造影検査を受けると卵管の通過性がよくなるので、その後2〜3カ月は妊娠しやすくなる方もいます。
次のステップはそれから考えられてもいいと思いますよ。
対処法はいろいろあるので、あまり深刻に考えず、前向きに治療を続けていただきたいと思います。
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