採卵にともなう麻酔の効き目など不安と緊張でいっぱい

検査や治療の処置は、病院や患者さんによって違い、不安なもの。 そこで、採卵時の麻酔をはじめ、治療にともなうストレスについて 久保みずきレディースクリニックの石原先生にお聞きしました。

石原 尚徳 先生 高知医科大学卒業。神戸大学医学部大学院修了。兵庫県立成 人病センター、兵庫県立こども病院の勤務を経て、2008年よ り久保みずきレディースクリニック美賀多台診療所副院長。不 妊治療から周産期・小児医療まで、地域に根ざした総合的なサ ポート態勢が整う同クリニックで、副院長として精力的に活動す る。A型・さそり座。多忙な日々のストレス解消法は、なんとデー タ整理。患者さんの名前と治療経過を照合して、妊婦さんが増 えた月はにんまり。「私も人ですから患者さんの結果に一喜一憂 します。妊娠する患者さんが増えると素直に嬉しいですよ」。

ドクターアドバイス

〝妊娠する〞という前向きな心で、 薬の副作用や痛みを乗り越えて。

なおさん(主婦・年齢秘密)からの投稿 Q.今日の診察で採卵日が決まりました。不安と緊張で胸が痛いです。 痛いのは嫌なので、麻酔すると聞いて少し安心しましたが、 静脈麻酔とはどんなものなのでしょうか? インターネットで調べると、 意識がうっすらあったという人や、眠っている間に終わったという人など 人によって効き方が違うものなのですね。麻酔なしで採卵する人も いるのだから、怖がってはいけない! と自分に言い聞かせています。

採卵時の麻酔について

先生は採卵時に麻酔をされていますか?
石原先生 はい。基本的には静脈麻酔を使っています。
痛みがなく、眠っていますが自分で呼吸している麻酔です。
麻酔は難しいと聞きますが。
石原先生 そうですね。麻酔には知識と経験が必要だと思います。
麻酔が深すぎると呼吸が止まりますし、逆に浅すぎると患者さんが動いたり、目を覚ましたりしてしまいます。
麻酔の効き方は人によって違うんですよ。
患者さんの体の動きや脈の状態で、その時の麻酔のレベルがどのくらいかを感じ取りながら、薬の量を少しずつ調整するようにしています。
安定剤など、他の薬を常用されていると、麻酔が効きにくいこともあります。
ただ、効きにくい人には薬の量を少し増やせるので大丈夫ですが、反対に効きすぎる人には注意が必要ですね。
麻酔から目が覚めるまでの時間はどのくらいですか?
石原先生 最近の薬はどんどんよくなっていて、プロポフォールなら採卵後、すぐ目が覚めます。
実際は、採卵後も院内でゆっくりしてもらいますので、院内にいる時間としては3〜4時間ぐらいですね。

無麻酔の採卵について

無麻酔で行う施設もあるようですね。
石原先生 ありますね。無麻酔、もしくは鎮痛剤だけというところもあります。
ただ、卵を1個だけ採卵するのであれば、1回の穿刺でなんとか我慢できるのでしょうが、複数の卵を採卵する場合は、何回か穿刺が必要になります。
もちろん、5個ある卵のうち、2個が重なっていれば、1回の穿刺で採ることもできます。
しかし、採卵の針は細いので、針先がぶれやすく、針が超音波の画面から消えてしまいそうなことがあるんです。
しかも、刺している間に卵巣の位置も変わってきますから、どうしても刺す場所を何回か変えないと、卵が採れないという患者さんが多いですね。
1つの卵巣で1回だけ刺したらいいというわけではないんですね。
だから、そのたびに患者さんに痛みで動かれると、血管や腸を刺したりする危険性にもつながります。
医療的な合併症を回避するという意味でも、麻酔は必要だと感じています。

「痛い」という情報に惑わされる

検査や採卵前に不安を感じている人は多いようですが。
石原先生 採卵については、「すぐに麻酔をするので心配しないでくださいね」と伝えています。
実際に採卵で患者さんが痛みを感じることはありません。
ただ、子宮卵管造影については、初診から数回で受ける基本検査なので、「先生、痛いんでしょう?」と必ず聞かれます。
インターネットなどでは「痛い」という情報ばかりだから、先入観としてそう思っている人は多いですね。
実は、卵管に問題がなければ、軽い圧迫感ぐらいで済むはずなんです。
なかには「もう終わったんですか?」という人もいます。
残念ながら、「大きな痛みを感じる人は、卵管が詰まっていたり、卵管が細いなど、卵管に問題があるんですよ」と説明しています。
不妊原因で最も多いのは卵管の因子ですから。

不妊治療への取り組み方

不妊治療にストレスを感じている人に、アドバイスをお願いします。
石原先生 子宮卵管造影や採卵にともなうストレスは、麻酔などで対処できると思うんです。
検査や処置の痛みは一時的なもので、それが終われば基本的に終わりですから。
それよりも、治療の経過にストレスを感じている人のほうが多いのではないでしょうか。
不妊治療は妊娠するまで、日々ストレスになりがちです。
残念ながらうつ状態になる人もいらっしゃいます。
まずは、カウンセリングをうまく利用してほしいです。
うちのクリニックでも、カウンセリングを受けることができます。
そして次に大切なのは、ご本人の心の持ち方です。
「どうして私は妊娠しないの?」と、いつもネガティブに考えてしまうことは心身によくありません。
不妊治療は医療ですから、薬の副作用や痛みをともなうこともあります。
それを妊娠という目標に向かって、少しでもポジティブにとらえることが大事だと思います。
つまり「目的のためには、何をしなければならないのか?」を私たちと一緒に考えてほしいと思います。
また、ストレスを感じたら、体を動かしたり、ご主人と気分転換したり、思いきって1ヶ月間、治療を休む、ということも一つの方法かもしれません。
自分なりの解消法を見つけてください。
そして、一人で悩まずに、不安な時はどんなことでも私たちに遠慮なく聞いてください。
ちゃんと納得できる情報を得て、目標に向かってほしいと思います。

キモチのコトの最新記事

>全記事がドクター編集!

全記事がドクター編集!

不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。