夫婦ともに異常なし人工授精の先の検査、選択肢は……?【医師監修】

【医師監修】秋山 芳晃 先生 東京慈恵会医科大学卒業。東京慈恵会医科大学附属 病院、国立大蔵病院に勤務後、父親が営んでいた産 科医院を継ぎ、不妊専門病院として新たに開業。O型・ やぎ座。患者さんにベストな治療をするためには自分 が健康であることが大切、と考え、先生自身も人間ドッ クでの検診や食生活の管理などを心がけている。秋山レディースクリニック
よんこさん(30歳)からの投稿 Q.2004年に結婚。自己流でタイミングを合わせていまし たが妊娠せず、一度の転院を経て、現在人工授精2回目 終了。精液の数値が若干少なかったのですが、医師から は自然妊娠できる範囲だと言われました。原因を探るた めの検査はありますか? また、人工授精の先にはどん な選択肢があるのでしょうか。以前から治療がストレスで、 もうやめたいとも考えています。

不妊検査では全ては分からない

よんこさんは2008年、最初に訪れた病院で子宮がんとクラミジアの検査、精液検査、2009年に転院した病院では子宮卵管造影検査、生理中のホルモン検査などをして、特に問題は見つからなかったということですが、他に原因を探るためにできる検査はありますか?
秋山先生 原因をお知りになりたいという気持ちはよくわかります。
検査としては他には抗精子抗体の測定が考えられます。
これは、精子をブロックしてしまったり、受精を邪魔してしまう抗体がないか調べる検査ですね。
また、腹腔鏡でおなかの中を実際にのぞいて、子宮内膜症や卵管の癒着の有無などを確認するという方法も考えられます。
しかしながら、妊娠できないご夫婦の 30 %は、一般不妊治療で原因のわからない原因不明不妊であるとも言われていますので、原因を究明してその異常に対して治療を行うという考えが必ずしも通用しない場合もあります。
特によんこさんのように不妊期間が比較的長い患者さんの場合、どこかに問題がある可能性はあるが検査ではわからない、という可能性も念頭におきながら治療を行っていく必要があるかもしれません。

年齢に合わせた治療方針

では今後、よんこさんはどのような治療方針を立てればいいのでしょうか。
秋山先生 人工授精を2回行ったということですが、このままあと2〜4回は続けられてみたらいかがでしょうか。
よんこさんの年齢を考えると、1回の人工授精で約 15 %程度の確率で妊娠が期待できると思います。
またその際、排卵誘発剤を使用して排卵する卵の数を増やすことによって、若干の妊娠率の向上が得られます。
それで結果が出なければ、原因を探る意味でも次のステップアップを考えるという方針でよいのではないでしょうか。
よんこさんは今、治療に対して強いストレスを感じていらっしゃるようですが……。
秋山先生 今までの経過を踏まえ、ある程度割り切って積極的に治療を続けて、人工授精でうまくいかなければ体外受精も……という考え方もあるでしょうし、一度立ち止まってもう一度ご夫婦で今後のことをよく相談していくという選択肢もあると思います。
まだ年齢的には余裕があるので、あせらずに一度治療をお休みして、リフレッシュされてみてもいいかもしれません。
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