人工授精6回目以降に潜在性高プロラクチンが判明してしまい……

人工授精にトライしている途中で判明した「高プロラクチン血症」 。 治療前と治療後では妊娠にどう影響するのか、 福田先生にお話を聞いてみました。

福田 勝 先生 順天堂大学医学部・同大学 院修了。米国カリフォルニア 大学産婦人科学教室留学 後、順天堂大学医学部産婦 人科学教室講師を経て、 1993年福田ウイメンズクリ ニック開院。「患者さんの意 向に応えるのがプライベート クリニック」という考えは開 院当時から変わらない。型に はまらず、オーダーメードで 治療に臨むという方針は、 高い技術を持つ福田先生だ からこそ実現できること。

ドクターアドバイス

迷いがあるなら、まだトライを。 自分自身が納得することが大切。
さくらさん(パート・33歳)からの投稿 Q. 今まで8回人工授精をしました。 人工授精で成功する人は6回くらいまでに妊娠するようですが、 私は6回目が終わってから、潜在性高プロラクチンが判明。 それから ※ ルグリドを飲んでいますが、飲む前の6回は無視し、 まだ2回目と考えて、あと4~5回人工授精をする意味がありますか? 
※テルグリド:プロラクチン分泌を抑制する働きを持つ薬。

高プロラクチン血症とは

まず高プロラクチン血症という疾患について伺いたいのですが……。
福田先生 高プロラクチン血症とは、脳下垂体から分泌されるプロラクチンというホルモン(乳腺刺激ホルモン)が過剰に分泌されている疾患です。
昼間のうちは正常なのに、睡眠時になると数値が高くなる場合は、さくらさんのように「潜在性高プロラクチン」と呼ばれています。これは、ホルモンの負荷試験をやって初めてわかるもの。基礎値は正常だけど、負荷をかけると反応が強く出る。このような方を潜在性であると診断します。
原因はどんなことが考えられているのですか?
福田先生 高プロラクチン血症の原因には、薬の副作用や下垂体腫痬、まれに甲状線機能低下症などがありますが、原因が不明なケースがほとんどです。
そのままにしておくと悪い影響を与えてしまうのでしょうか。
福田先生 プロラクチンが高くなることで※ 分泌のバランスが乱れるので、排卵障害着床不全を引き起こしてしまう場合があるんです。
※内分泌:人間の体で合成される生理活性をもつホルモンが血液中に放出されること。

初期検査の重要性

さくらさんはすでに人工授精を6回やったあとに、この疾患が判明したということですが……。
福田先生 この相談で僕が一番気になるのはそこですね。ホルモンに関する検査は、不妊治療に入る前に受ける基本的な検査の一つ。結果が出ないから途中でするというものではなく、僕は最初に検査を行って、判明した場合はそれに対する治療をきちんとしてから、不妊の治療に入ります。
そうなんですね。さくらさんが通っているクリニックでは、やり方が少し違うのかもしれません。ではやはり、判明する前の6回の人工授精は無駄だったということですか。
福田先生 確かに順番は違いますが、無駄ということはないと思いますよ。できるだけ良いホルモン環境に整えてから人工授精をすることがベストですが、潜在性高プロラクチンがあっても妊娠されている方はいます。不妊原因の大きなウエイトを占めているものでもないんですね。

ステップアップのタイミング

もしかしたら、さくらさんは人工授精を8回して結果が出なかったので「潜在性高プロラクチンだったから」という理由で自分で納得したかったのかも……。8回のトライという数字、どう思われますか?
福田先生 以前は6〜8周期、人工授精をやって結果が出なかったら体外受精を考えていましたが、今は不妊治療のスピードが結構早まってきています。だいたい5周期くらいトライしたら、次のステップを提示する施設が多いのではないでしょうか。
このまま続けてもかまわないと思いますが、人工授精の難しいところは、体外受精などと違って受精しているのか、受精するけれども着床しないのか、わからないということ。いい精子を子宮の中に入れるということが限度な方法なんですね。
1〜3周期で妊娠される方もいますが、結果が出ないようだったら、他の手段を使える施設であればステップアップを提示するのが自然だと思います。
では、これからどのような方針を立てたらいいのでしょうか。
福田先生 さくらさんは迷っているようですね。悔いがあり、体外受精にステップアップすることに抵抗を感じているのかもしれない。不妊治療というのは、患者さんが十分納得してやっていかなければいけないもの。僕たち医師はデータなどをもとに、治療を提示をする立場です。強引に「次へ進みなさい」とは言えませんよね。テルグリドを飲まれているということですから、このままあと3〜4周期続けて結果を求めてもいいのではないでしょうか。
潜在性高プロラクチンの判明前、そして判明後の人工授精トライは意味がないわけではないんですね。
福田先生 ご自身が納得することに大きな意味があると思います。試さないで、このままずっと心に引っかかっていたら、後悔が残りますよね。年齢的にも少し余裕がありますので、担当医に希望を伝えて、本当に自分が納得する形で治療に臨んでください。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。