治療してきたことでさらに深まった信頼感

楽しい時もつらい時も、これからもずっと 同じ歩幅で歩いていきます。

治療を一心に頑張るヒナさんと、 いつも温かく見守るダンナさん。 昨年末から治療をお休みして 今は、心と体を休めながら 二人の時間を大切に過ごしています。

お互いに相手を思い 不妊治療をすることに。 タイミング療法から開始

感情表現が豊かでニコニコ明るいヒナさん( 31 歳)と、どんな時もヒナさんを優しく受け止める包容力のあるダンナさん( 29 歳)。

二人は大学時代にアルバイト先で出会い、付き合い始めました。

卒業して、お互い故郷に戻ってからも遠距離恋愛を続け、5年前に結婚。

「よくある話ですが、初めは夫婦二人の時間を楽しんで、それから子どもをつくろうと考えていました。

欲しいと思えばすぐにできると思っていたんです」(ヒナさん)

しかし、そろそろ……と思ってから1年が過ぎても、赤ちゃんはできませんでした。

原因を調べたほうがいいかなと思いつつも、病院嫌いなヒナさんは検査を受けることを躊躇していました。

そんな時、ダンナさんが「僕に原因があるかもしれないから調べる」と言い出してくれました。

「ヨメさんが悩んでいるのは、そばで見ていてわかりましたから。

一歩を踏み出すために、検査を受けたほうがいいかなと思ったんです」(ダンナさん)

ダンナさんの優しい気持ちに、〝彼にそんな思いはさせたくない〞と思ったヒナさん。

病院嫌いも吹き飛び、「私が行きます!」と答えていました。

結局、検査は二人で一緒に行くことに。

ひと通りの検査を受けた結果、特に問題は見つかりませんでした。

そして、まずはタイミング指導から始めることになりましたが、妊娠しないまま1年が過ぎました。

「半年が過ぎた頃に、医師から人工授精へステップアップする提案があったのですが、その時は進めませんでした。

原因もわからないままだったので、自然に授かるのではという気持ちがあったんです」(ヒナさん)

そんなヒナさんに、ステップアップを切りだしたのはダンナさんのほうでした。

「親戚が小さな2人の子どもを連れて遊びに来たんです。

それで、ヨメさんが子どもたちと楽しそうに遊んでいる姿を見て、やっぱり子どもが好きなんだな、なんとかして自分の子どもを抱かせてあげたいなと思ったんですよね」(ダンナさん)

ヒナさんも嫌いだった病院に慣れてきたこともあり、何か新しいことを、と考えていたところでした。

そしてステップアップ。

1回目の人工授精の後着床しかかっているという手応えを得られました。

結果的には、妊娠には至りませんでしたが、もう少しのところまでいったという結果に期待は高まります。

次はうまくいくかもしれない―― 。

ヒナさんは すぐに自分から「もう一度人工授精をします!」と医師に言ったといいます。

思わぬ展開で 体外受精にステップアップ しかし採卵がうまくいかず…

その後、人工授精を3回行ったものの、妊娠には至りませんでした。

二人は、4回目を行う前に、「これでダメだったら体外受精にステップアップしよう」と決めていて、それは医師にも伝えていたはずでした。

ところが「これでダメだったら」の部分を医師が聞きもらしてしまったのか、人工授精3回目が終わった後、体外受精に向けた注射が始まってしまいました。

その後、誤解があったことがわかりましたが、「ここまで来たらやるしかない」と、そこで体外受精への気持ちを固めたというヒナさん。

予定より少し早かったものの、体外受精へ進むことになりました。

「それから、体外受精に向けて初めての採卵をしたのですが、卵胞の中が空っぽだったんです。

卵巣の中の血流が悪くて、卵胞に栄養が届いていないということでした。

それで、血流をよくするために病院で遠赤外線治療を受けたり、普段の生活でもできるだけ体を温めるようにしていました。

卵子が育ちますように、と祈りながら……」

そのかいあってか、2回目の採卵では1個採れました。

しかし、すぐに体外受精で移植するも、着床せず。

3回目、4回目はまた空胞……。

「2回続けて空胞だったこの時は、かなり落ち込みました。

私の体はどうなっているの?

ダンナさん、パパにしてあげられなくてごめんね、と」(ヒナさん)

いつもとても明るく、赤ちゃんを授かるためにひたむきに努力をしているヒナさん。

でも、普段明るく振る舞っている反面、気持ちが折れた時は深く深く落ち込んでしまいます。

そんな時、ダンナさんは特別なことはせず、そっとヒナさんに寄り添います。

「はじめは、気持ちの切り替えをするために二人で出掛けたりしていたんです。

でも特別なことをすると、余計に落ち込んでしまうことがわかって。

それよりも、ただただ一緒にいて、普段どおりの生活をするほうが気持ちが休まるんだということに気がつきました」(ダンナさん)

ヒナさんの気持ちの揺れにしっかり向き合って、見つめていてくれるダンナさん。

その温かさに包まれて、気持ちを立て直し、ヒナさんは5回目の採卵に望みます。

今度は5個採卵でき、受精卵が5個できました。

今度こそ、今度こそ、赤ちゃんを授かれるかもしれない……。

そして、いったん卵を凍結して子宮の状態を整え、昨年 11 月に移植。

しかし、陰性という悲しい結果が出ます。

「あまりにもショックで、医師の話は途中から何も聞こえなくなっていました。

次回はいつにと話されていたのかもしれないのですが、耳に入ってきませんでした。

看護師さんが声を掛けてくれるのを振り切って、診察室を飛び出していました」(ヒナさん)

また新たな気持ちで スタートする日まで 体も心も休養中

2年間頑張ってきましたが、二人はここでいったん治療をお休みすることにしました。

今は、心も体も休養中。

「ヨメさんは、思い詰めるとまわりが見えなくなるところがあるんです。

そうなると、ますます自分を追い詰めてしまう。

だから一度休んで、まわりを見渡してみるのもいいんじゃないかと話しました」(ダンナさん)

治療がうまくいかなかった時、悲しくて、悔しくて、不安なヒナさんの気持ちを、いつも優しく受け止め、寄り添ってくれたダンナさん。

今は温泉に行ったり、おいしいものを食べたりして、二人の生活を楽しんでいます。

また最近、注射や薬でちょっと疲れてしまった卵巣や子宮を整えるために、漢方薬を始めたそう。

「今はゆっくり体を整えています。

そして、まだいつになるかはわかりませんが、時期が来たら、病院に預けている卵ちゃんを迎えに行きたいと思っています」(ヒナさん)

 

付き合って5年、結婚して5年の ヒナさんご夫婦。10年経った今 も、お互いに気持ちは出会った 頃のままだそう。「そういえば、 ケンカはほとんどしないですね」 とお二人。お互いを信頼し、思 いやり、寄り添いあっています。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。