【Q&A】良好胚少ない場合の治療方針について〜稲垣 誠先生【医師監修】

RYさん(42歳)

不妊治療を1年4ヶ月行っています。
採卵を全部で9回行いましたが、良好胚は4AAの1つだけです。
4AAを移植し、陽性反応は出ましたが、胎嚢確認前に流産となりました。
採卵数の平均は5個くらいです。

受精率は高いですが、胚盤胞まで到達しません。
なかなか移植に進めないので、初期胚で移植の方がいいのでしょうか?

年齢的に毎月採卵をしたいのですが、主治医からは「卵巣を休めるため」と言われ、一周期空けてます。毎月採卵は難しいのでしょうか?
今後の治療はどのように進めていけばよいか、ご意見よろしくお願い致します。

いながきレディースクリニックの稲垣 誠先生に伺いました。

【医師監修】いながきレディースクリニック 稲垣 誠 先生
1994 年、浜松医科大学医学部卒業。浜松医科大学医学部附属病院、鹿児島市立病院、聖隷沼津病院などで産婦人科医の経験を重ね、2012 年、不妊治療専門施設「いながきレディースクリニック」を開院。「お一人ひとりに寄り添いながら、それぞれの患者さまに合った最適な治療を心がけています」

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

【質問1】胚盤胞到達率を上げるための具体的な方法を教えてください。
正直に申し上げて、胚盤胞到達率を確実に上昇させる方法は、ありません。ただ、これまで行ってきた治療内容等を丁寧に振り返って、胚盤胞到達率の上昇が期待できる変更点や調整法があれば、主治医の先生と相談しながら検討してみたらいいのではないでしょうか。

【質問2】このような場合、初期胚での移植が適していると思われますか?
初期胚の移植は、検討に値すると思います。ただし、保険診療の下では移植回数に制限がありますから、どの胚を胚移植に供するかの判断には慎重になるべきだと思います。一般論として、胚盤胞移植のほうが初期胚移植に比べて妊娠率は高いとされていますから、原則としては良好胚盤胞であれば胚盤胞移植、良好胚盤胞が獲得できなければ初期胚移植が検討されるでしょうか。

【質問3】年齢を考慮した場合、毎月の採卵は可能でしょうか?
当院では採卵計画の検討の際、採血を実施してホルモン値による卵巣状態の判断をして採卵計画の可否を判断しています。患者さまの年齢に関係なく、卵巣のコンディションが良好であれば採卵計画とし、そうでない場合はキャンセルして時周期以降に期待するようにしています。

【質問4】卵巣を休める必要性とその期間について、詳しく教えてください。
繰り返し卵巣刺激を行うと、排卵誘発剤に対する反応性が低下する場合があります。そういう場合に休養周期を検討しますが、以下の理由から3周期;約90日の休養が「理想的」と私は考えます。(実臨床で3周期の休養期間を設定することはあまり多くありませんが)

原子卵胞から始まる卵胞の発育は、
原子卵胞 → 一次卵胞 → 前胞状卵胞 → 胞状卵胞 → グラーフ卵胞
と発育して排卵に至ります。

このうち排卵誘発剤、すなわちゴナドトロピンに反応するのは前胞状卵胞以降の卵胞です。一般的に前包状卵胞から胞状卵胞に発育するのに65日間を要し、その後約20日間をかけて排卵前卵胞に発育するとされています。したがって、卵巣を充分にリフレッシュして、排卵誘発剤の影響を受けていない卵胞が発育できるようになるには、およそ3周期程度を要ると考えられます。理論的には上述のようになりますが、実際には一周期程度の休養で排卵誘発剤に対する感受性は改善することも多いので、あくまでも参考程度にご理解いただければいいと思います。

【質問5】今後の最適な治療方針について、先生のご提案をお願いします。
相談者さまの年齢と、不妊治療の経過からすると胚移植が保険で実施できるのは最大であと2周期ということになると思います。43歳の誕生日を迎えるまでに少なくとも良好胚を獲得することが必要不可欠だとすると、時間的猶予はあまり残されていないのではないでしょうか。一周期一周期が大変貴重で大切ですから、卵巣のコンディションとともに慎重な判断をするべきでしょう。具体的にどの方法が推奨されるかということまでは、いただいた情報に限りがあるため判断することは困難ですが目標をなるべく具体的に設定し、その実現のために最善とされるプロセスを取れるような方法を、通院されている医療機関の皆様とよくご相談されるのがよろしいかと思います。

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