
▶︎胚盤胞培養技術のあるクリニックへ移転すべき?
結婚後、タイミング療法と人工授精3回を行い陰性。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)ぎみと診断され、顕微授精に移行し、採卵20個中4個を胚盤胞凍結しました。1・2回目移植は陰性。その後、ネオセルフ抗体が陽性となり、不育症専門クリニックでアスピリンを処方され、次の移植から服用予定です。次回、4BBと4BCの胚盤胞2個を移植する予定ですが、胚盤胞側の問題や、培養技術の異なる他院への転院も含め、この先どう進めるべきか悩んでいます。

聖マリアンナ医科大学卒業。東京大学大学院修了。2015年にはヨーロッパ生殖医学会において着床に関する研究で、最も権威のあるAwardなど国内外で多数受賞。2020年松本レディースリプロダクションオフィス院長就任。2021年医療法人社団愛慈会理事長就任。2022年JISART理事就任。「患者さん一人ひとりにご納得いただける診断や治療を提供すること」が当院のモットー。
2回の移植で結果が出なかった場合、胚盤胞側の問題である可能性は考えられますか? また、今できる検査があれば教えてください。
松本先生●妊娠に至らない原因は約7割が胚、残り3割の因子の一部はその他とされています。2回とも結果が出なかったことは確率的に十分あり得ることで、特別なことではありません。残り3割の要因として、子宮内の環境や着床のタイミングなどが考えられます。ですから子宮内の環境を調べる検査や、着床に適したタイミングを調べる子宮内膜着床能(ERA)検査などを、順を追って進めていくのが一般的な流れだと思います。なお、アスピリンは流産を防ぐための薬であり、妊娠率そのものを上げる薬ではない点は押さえておいてください。
胚盤胞培養技術は、クリニックによって差があるのでしょうか?
松本先生●培養液や培養士はクリニックごとに異なるため、培養の質に差が出る可能性は否定できません。ただし、今回の結果がそれによるものかどうかは断定できません。凍結胚が残っているなら今のクリニックで続けるのも妥当な判断です。一方で、担当医との信頼関係が築きにくい場合や、培養技術への疑問が拭えない場合は、保険適用の回数にも限りがありますので、転院を検討すること自体は悪くないと思います。
ネオセルフ抗体が陽性で、クリニックからアスピリンを処方され服用しているとのことですが…。
松本先生●実は流産を経験していない方に、自己抗体であるネオセルフ抗体の検査をすることは、あまり一般的ではありません。1つの検査結果だけにあまり引っ張られすぎず、担当医とよく相談しながら丁寧に進めていくことをおすすめします。
今後、4BBと4BCの胚盤胞を2個移植する予定です。
松本先生●2個移植については双子になる可能性や、それによって早産のリスクが高まるなど、お腹の子への影響が大きくなる可能性があります。それらも含めて担当医と相談し、慎重に決められたことであれば、その決定を尊重することが大切です。不安や焦る気持ちはあると思いますが、ストレスをためすぎず、落ち着いて治療に向き合っていただきたいと思います。