ぴーさん(38歳)
2回良好胚を移植しても陰性でした。
次の顕微授精ではPICSIをつけたいと考えています。
TRIO検査も可能かと思いますが、費用が高額なこと、エビデンスがないと言われていること、検査により期間が遅れることなどから、夫が肯定的ではありません。
年齢のこともあり焦りや不安を感じています。
2個移植を検討したらよいのか、それともTRIO検査が必須なのか、または採卵前にすべきことがあるのか、教えていただきたいです。
福田ウイメンズクリニックの福田 雄介先生に伺いました。

東邦大学医学部卒業、東邦大学医学部大学院修了。医学博士(東邦大学 平成22年)。米国ペンシルベニア大学生物学教室留学、東邦大学医学部産婦人科学教室講師などを経て、福田ウイメンズクリニックの院長に就任。日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医・指導医。日本生殖医学会認定生殖医療専門医。日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
1. 良好胚移植で陰性が続く原因について、先生のご意見を伺いたいです。
ご年齢(38歳)の患者さんの凍結胚盤胞移植(1個)の妊娠率は全国統計でいくと40%です。確率の可能性がまず第一で次に受精卵以外の原因がある可能性が出てきます。
2. PICSIを次回の顕微授精で使用することについて、先生はどのようにお考えですか?
PICSIは成熟した生死を選別するための技術です。初回の採卵で成熟卵4個のうち胚盤胞が2つできたことからあまり有用ではないと考えます。
3. 2個移植を考えるべきか、そのメリットとデメリットを教えてください。
メリットは確率が上がる可能性がります。もしPGT-Aを行った場合年齢的なところから問題ない胚盤胞の確率は40%程度と言われています。2個移植することでどちらかに問題があってもどちらかが問題なければ妊娠することになります。デメリットは双胎(双子)になる可能性があるということです。双胎妊娠は妊娠合併症のリスクや早産のリスクが高くなります。
4. TRIO検査が必須かどうか、先生の見解をお聞きしたいです。
現在のところ必須ではありませんが、人には着床の窓はあるのは事実であり、それがずれているかを検査するERA検査は、2回移植した方で結果がでなかった人が検査した場合、4割弱の方が着床の窓がずれているといった結果になります。
子宮内の細菌叢を検査するEMMA検査や慢性子宮内膜炎の原因菌の検査であるALICE検査は子宮内フローラ検査と同様に有効であると考えます。子宮内細菌叢や慢性子宮内膜炎は治療することで受精卵以外の原因をなくす可能性はあります。ただ、 SEET法やPICSIと同様にエビデンスははっきりしていませんのでその辺りをしっかり理解して検査を受けるか検討することをお勧めします。
5. 採卵前に行うべき準備や対策について、アドバイスをお願いします。
AMHが6.9と高い値にもかかわらず成熟卵が4個しか取れなかったとこが気になります。卵巣刺激の方法を検討したりする必要があるかもしれません。顕微授精にPICSIを使用するより同じ先進医療の一つではありますがZymot(膜構造を用いた生理学的精子選択術)を進めます。理由はZymotで選別した精子で顕微授精した場合に胚盤胞の染色体正常率が上がるという報告があるためです。