【Q&A】AMHが高いのに胚盤胞まで育たない理由は?〜小川 誠司先生【医師監修】

mさん(31歳)

AMHが高いのに、卵が採れません。
2回採卵していますが、出来たとしても胚盤胞凍結までいかない状況です。
刺激法の問題なのでしょうか?
ミトコアを最近飲み始めましたが、自分自身でできることはあるのでしょうか?

東京ARTクリニックの小川 誠司先生に伺いました。

【医師監修】東京ARTクリニック 小川 誠司 先生
2004 年名古屋市立大学医学部卒業。2014 年慶應義塾大学病院産婦人科助教、2018 年荻窪病院・虹クリニック、2019 年那須赤十字病院産婦人科副部長、仙台ART クリニック副院長を経て2023年9月、藤田医科大学東京 先端医療研究センターの講師、2024年4月に准教授に就任。2026年2月から東京ARTクリニックの院長に就任。藤田医科大学客員准教授。日本産科婦人科学会専門医。日本生殖医療学会専門医。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

① AMHが高いのに卵子が採れない原因について
AMHが高いにもかかわらず採卵できる卵子が少ないとのことですが、まず、「卵胞自体が十分に発育していない」のか、「卵胞は発育しているものの、採卵時に卵子を十分に回収できない」のかによって、考えられる原因や対応が異なります。
前者の場合、これまで2回の採卵でいずれもrFSH製剤を使用されているとのことですので、採卵周期開始時のLH値が低いようであれば、LH活性を有するhMG製剤への変更や併用を検討することも選択肢となります。また、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)があり、インスリン抵抗性や耐糖能異常を認める場合には、メトホルミンの併用を検討することもあります。
一方、卵胞は十分に発育しているにもかかわらず卵子の回収率が低い場合には、採卵を決定する卵胞径やトリガーから採卵までの時間を見直したり、hCG製剤とGnRHアゴニストを併用する「ダブルトリガー」を検討したりする方法があります。

② 刺激法の選択が採卵結果に与える影響について
卵巣刺激に対する反応には個人差がありますので、これまでの採卵結果を踏まえて、刺激法や使用する薬剤、投与量などを変更することは選択肢の一つです。
特に、発育した卵胞数、採卵数、成熟卵数、採卵時のホルモン値などを確認し、どの段階に問題があるのかを検討したうえで、次回の刺激法を調整することが重要です。
また、採卵後の受精率が低い場合には、刺激法だけではなく受精方法についても検討する必要があります。通常の体外受精で受精率が低い場合には顕微授精(ICSI)を検討し、ICSIを行っても受精障害を繰り返す場合には、症例によって卵子活性化法の併用を検討することがあります。

③ 胚盤胞凍結まで進まない理由について
今回の結果では未熟卵も回収されており、卵胞発育に対してE2値も低いようですので、卵子の成熟が十分でなかった可能性も考えられます。
顕微授精を行う場合には、卵子の成熟度を十分に評価したうえで実施することが重要です。施設によっては、紡錘体を観察することで卵子の核成熟をより詳細に評価する方法もあります。
また、胚の発育がDay 3頃から不良となる場合には、卵子側だけでなく精子側の要因が関与している可能性も考慮します。精液所見やこれまでの受精・胚発育の状況に応じて、精子DNA断片化などを評価することも選択肢です。
さらに、症例によってはIMSIやPICSIなどの精子選択法を検討することもあります。ただし、これらの方法によってすべての患者さんで胚盤胞到達率や妊娠率が改善することが確立しているわけではありませんので、これまでの治療経過を踏まえて適応を判断することが大切です。

④ ミトコアの効果と適切な使用方法について
ミトコアは、卵母細胞のミトコンドリア機能をサポートし、酸化ストレスを軽減することで、卵子の成熟や受精、胚発育などに良い影響を与える可能性が期待されています。
卵胞が発育して成熟するまでには一定の期間を要するため、使用される場合には、採卵予定の2~3か月前から継続して摂取することをお勧めします。

⑤ ライフスタイルの改善について
特別な生活をする必要はなく、一般的に健康的とされる生活習慣を整えることが基本です。
3食をバランスよく摂る、適度な運動を行う、十分な睡眠を確保する、禁煙する、過度な飲酒を避けるなど、無理のない範囲で健康的な生活を心がけてください。
また、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の方では、特にインスリン抵抗性を認める場合などに、イノシトールの摂取が排卵や代謝機能の改善に有用である可能性が報告されています。ただし、すべての方に必要なものではありませんので、食生活や検査結果なども踏まえて検討されるとよいと思います。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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