【Q&A】胚盤胞移植後の着床障害の原因と対策について〜高橋 敬一先生【医師監修】

カナさん(41歳)

これまでの採卵で1回あたり10個以上採れていますが、正常受精が7〜8個程度、胚盤胞まで進んだものが2個でした。
これまで合計で4個の胚盤胞を授かっていますが、全て着床しないか化学流産です。
(一度、2個同時移植をしています)

年齢を考えると、卵子は採れている方であり、胚盤胞までの確率もそんなにおかしくはないそうですが、考えられる原因は何でしょうか?
少しでも確率を上げる方法はないでしょうか?

高橋ウイメンズクリニックの高橋 敬一先生に伺いました。

【医師監修】高橋ウイメンズクリニック 高橋 敬一 先生
金沢大学医学部卒業。国立病院医療センター(現・国立国際医療研究センター)、虎の門病院を経て米国ワシントン大学に留学。1996年虎の門病院に復帰した後、1999年千葉市に不妊治療専門『高橋ウイメンズクリニック』を開院。2014年ベストドクター認定(ベストドクターズ社)。2022年10月に開院から累計で妊娠2万例を達成する。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

なかなか良い結果が出ずにお悩みなのですね。
41歳で胚盤胞移植を行っている場合、まず最も多い原因は、子宮側の異常よりも胚の質や染色体異常なのです。採卵数は比較的多く、胚盤胞も得られていますが、4個の胚盤胞で妊娠継続に至っていません。この経過は、必ずしも「着床障害」と断定できるものではなく、年齢に伴う胚側の問題が大きいのです。
しかし、子宮内の状態も確認する必要があるでしょう。子宮鏡検査でポリープの再発、粘膜下筋腫、子宮内腔の変形がないかを確認します。

次に、慢性子宮内膜炎(CD138)検査や子宮内フローラ検査も選択肢になります。
着床前診断(PGT-A)は流産予防という意味では有意義ですが、保険との併用はできません。
「着床の窓」のERA検査は、反復着床不全については、明確に有効性が確立してはいないので、子宮鏡、慢性子宮内膜炎、子宮内フローラなど子宮内腔に影響する検査を優先してよいと思います。

治療方針としては、採卵、化学的妊娠をしていることは大きな強みです。41歳では、できるだけ良好胚を確保し、移植のチャンスを増やすことが基本になります。

精子運動率が低いとのことですので、精子DNA損傷検査、酸化ストレス評価、生活改善、抗酸化療法、場合により精子選別法の工夫も検討します。

生活面では、身長152.5cm、体重63kgですのでBMIは約27です。糖尿病検査、体重調整、筋肉量の維持、十分なたんぱく質、高用量のマルチビタミンなど、適度な運動は有用です。卵子の染色体異常を大きく変えることは難しいですが、卵質の改善や血流改善、栄養面の充実などの土台を良くすることは期待できます。

まとめますと、カナさんの場合は、年齢に伴う胚側の要因を第一に考えつつ、子宮鏡、慢性子宮内膜炎、子宮内フローラ、全身状態、精子側の精密評価を順番に確認するのがよいと思います。胚盤胞が複数できていることは大きな希望ですので、良好胚の確保と丁寧な移植を続ける方針で如何でしょうか。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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