【Q&A】2人目の妊娠に向けた治療方法の選択肢は?~佐藤幸保先生【医師監修】

さっちゃんさん(33歳)

1人目は体外受精にステップアップするとすぐに妊娠できました。
2人目もすぐに出来ると思っていましたが、30代前半で良好胚を3つ戻しても妊娠をしません。
3年前の通院時とは変わって、「クリニックの方針(全国的な流れと聞いている)で、ホルモン補充周期法から自然周期法での移植に切り替えた」との説明を受け、全て自然周期法で戻しましたが、妊娠には至りませんでした。
年齢のことも鑑みると、少数派に入っていると思います。

2個移植を目指して、4回目の採卵をしましたが凍結卵は1つ。それも良好胚なので、2個戻しではなく1個だけ戻します。

保険適用も折り返しになり、いよいよ後がなくなってきた感じもします。
1人目がホルモン補充周期で妊娠したため、デメリットも承知のうえホルモン補充周期で戻す予定です。
あと、初めてSEET法も行います。

この選択で妊娠に至らなかった場合、他にどのような方法が考えられますか?

ハシイ産婦人科の佐藤幸保先生に伺いました。

【医師監修】ハシイ産婦人科 佐藤幸保 先生
京都大学医学部附属病院および高松赤十字病院で体外受精など生殖医療を担当。患者さんそれぞれのニーズに応じて、個別化した不妊診療を提供することをモットーにしている。
資格:産婦人科専門医、生殖医療専門医、周産期専門医・臨床遺伝専門医

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

ホルモン補充周期と自然周期の違いについて、詳しく教えてください。

<ホルモン補充周期>
ホルモン剤を投与し子宮内膜を人工的に整えて凍結融解胚を移植する方法です。エストロゲン製剤で子宮内膜を厚くし、引き続きプロゲステロン製剤を併用することで成熟させた子宮内膜に凍結融解胚を移植します。
 ・メリット・・・移植日を調整しやすい。
排卵のタイミングを気にしなくてよい。
通院回数が比較的少なめになる。
 ・デメリット・・・ホルモン剤を長期間使う必要がある(妊娠が成立した場合には妊娠8週頃まで投与)。
妊娠高血圧症候群や癒着胎盤などのリスクが自然周期より高い可能性がある。
<自然周期>
自身の自然な排卵に合わせて適切な時期に凍結融解胚を移植する方法です。排卵誘発剤を使用することもあります。エコーや血液検査で卵胞と血中ホルモンの変化を見ながら排卵日を予測し、それをもとに凍結胚移植日を決定します。
 ・メリット・・・体内のホルモン・リズムを利用するので、薬の使用量が少なくてすむ。
妊娠高血圧症候群や癒着胎盤などのリスクがホルモン補充周期より低い可能性がある。
 ・デメリット・・・排卵のタイミングに合わせるため、通院回数が増える。
排卵がずれると移植日が変わり、キャンセルになることもある。

SEET法の効果と期待される妊娠率について、先生の意見をお聞かせください。

2-3回以上良好な胚盤胞を移植しても、着床しない女性(反復着床不全)を対象とした治療で、妊娠率を高める可能性が報告されています。先進医療で、エビデンスレベルがそれほど高くないこともあり、当院では採用しておりません。

良好胚移植で妊娠に至らない場合、他に考えられる要因はありますか?

形態良好ではあるが、胚側に染色体異常などの問題が反復している可能性が高いです。子宮側の原因も否定できないが、さっちゃんさんの場合、第1子を無事に妊娠・分娩されているので、その可能性は低いと考えます。

1個だけ胚を戻す際のメリットとデメリットについて教えてください。

メリットは双胎リスクが低いこと(移植後に受精卵が分割することがあるので0とはいえない)、デメリットは2個移植に比べ妊娠率が低いことです。

今後の治療方針として、先生でしたらどのような提案をされますか?

子宮側の原因としてビタミンD不足や子宮内フローラ異常などの可能性が報告されております。SEET法と同様エビデンスレベルは高くないが、当院ではこれらの検査を採用しており、異常があればそれらを治療してから胚移植しています。
まとめとしまして、
若年者で形態良好胚盤胞を3回移植しても妊娠されない、さっちゃんさんのような方は、当院でもおられます。おそらく胚側に染色体異常などが反復している可能性が高いと考えてはおりますが、子宮側に原因がある可能性も否定はできません。ただ、子宮側の原因については現在の医学ではほとんど解明されておらず、治療法も確立しておりません。

当院では、このような反復着床不全の方に対して、以下のような治療を試しておりますが、いずれもエビデンスレベルが高くはないことをご承知下さい。

①血中ビタミンD濃度を測定し、不足があれば補充を行う。
②子宮内フローラ検査を行い、異常があれば、抗生剤や乳酸菌製剤で治療する。
③胚移植周期に漢方製剤を併用する(胚移植前に温経湯、胚移植後に当帰芍薬散)
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全記事、不妊治療専門医による医師監修

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