採卵や移植を重ねながらも、結果に結びつかないまま時間は過ぎていくばかり…。そんな中、主治医以外の医師の診察を受ける機会が増えたことで新しい治療方針と出会い、これまでとは少し異なる選択を経験することになりました。
自分の体に応じた薬との向き合い方や体調管理を意識し始めたYさんと、そばで支えるZさん。お互いを思いやりながら治療と生活のバランスを整えようとしていました。
治療方針の新しい視点と出会う
前回の取材後、Yさんが通うクリニックでは医師体制に変化がありました。
これまでは主治医である院長を中心に治療を進めてきましたが、受診日によっては別の医師が担当することも増え、これまでとは異なる視点の提案を受ける機会も出てきました。
「特に印象的だったのは、遺残卵胞があったときの対応です。いつもは調整周期としてリセットする流れが多かったのですが、E2の値を見ながら採卵できる可能性を判断してみる、という新しい提案があったんです」
最終的にはホルモン値の状態からリセットを選択することになりましたが、「今までそういう提案を受けたことがなかったので、少し驚きました」とYさん。その過程で、カウフマン療法についても改めて検討したそうです。
以前、試してみたいと考えていた時期もあったYさんですが、周期によって採卵できる場合とできない場合があることから「カウフマン療法を行った周期に採卵できる卵が育つともったいない」という主治医の方針で実施には至らなかったそう。今回、別の医師からの提案を受けたことで「一度やってみよう」と前向きに捉え、プレマリンとデュファストンによるリセットに挑戦することになりました。

薬の副作用や相性を再確認した
もともとホルモン剤に体が敏感に反応しやすい体質もあり、プレマリンでは吐き気、デュファストンでは強い眠気が出るなど、やはり副作用には悩まされたYさんでしたが、それでも服用を続け、リセットへ。遺残卵胞が消滅せず再度の調整が必要になりましたが、薬とどう向き合うのかを改めて考えるきっかけになったようです。
調整周期を経て採卵には至ったものの胚盤胞まで育った卵はグレードが低く、途中で萎縮が見られたため凍結はできないまま。その後も採卵回数を重ねましたが、空砲で採卵数ゼロという結果で14回目の採卵を終えました。
無理なく生活を整える
こうした経過の中で生まれたのが「何かを変えないといけないのかもしれない」という思い。主治医に相談したところ「今できることは睡眠や生活習慣を整えること」と助言を受けました。
そこで、4つのルールを決めて生活習慣の改善に取り組み始めたYさん。
「朝は8時15分までに起きる」「夜は22時30分までに布団に入る」「三食、何でもいいので口にする」「ストレッチやヨガを行う」。
完璧を目指すのではなく、小さな積み重ねを「続けられる形で整えていく」ことを意識し始めています。また、体への負担が少ない自然周期だからこそ、連続して採卵できているという実感も。結果だけにこだわるのではなく、自分の体の状態を受け止め、上手に向き合えるようになっているのも大きな変化でした。
体調不良で思うように外出できない時期や、仕事の忙しさが重なる時期もあり、2人で特別な時間を持つ機会は減っていたYさんとZさん。それでも、お互いの体調を気遣いながら過ごす日々は続いています。
「時には一緒にお休みして、ゆっくり過ごすことも大事だと思うんです」
そう語るYさんの言葉からは、無理に前向きさを作ろうとはしない、“自然体の距離感”が伝わってくるようでした。
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