【Q&A】37歳で妊活開始、早めにすべき検査とは~鈴木康夫先生

ふしぎがりさん(37歳)

最寄りの産婦人科に通っています。

不妊治療を始めて半年程度ですが、現時点で精子やAMHなど具体的なデータは得られていません。一般的なペースで治療をしてくださっているのかもしれませんが、私が37歳、夫が42歳とお互いに高齢なので焦りもあり、早めに欲しいと考えています。今後治療を進めるうえで受けるべき検査を教えてください。

今できることは積極的にしたいと考えています。卵子凍結や体外受精、転院も視野に入れています。

高齢で治療をする際のクリニックの選び方や治療の進め方などご意見を頂戴できると助かります。

鈴木レディスホスピタル の院長鈴木康夫先生にお聞きしました

鈴木康夫 先生(鈴木レディスホスピタル)
1990年金沢大学医学部卒業後、国立金沢病院(現・金沢医療センター)産婦人科勤務を経て、1996年に鈴木レディスホスピタル副院長、2008年より院長に就任。高度な不妊治療を行う専門機関として、タイミング法や人工授精などの一般不妊治療から、体外受精・顕微授精などの高度生殖補助医療(ART)まで、患者さん一人ひとりに向き合った丁寧な治療を提供している。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

●37歳(妻)と42歳(夫)での治療開始にあたり、推奨される検査を教えてください。

これから治療されるにあたり女性の卵子備蓄量の指標となるAMHはぜひ調べられるとよいでしょう。AMHは以前と違って対象が体外受精を受けられる方のみならず、一般不妊治療の方でも保険適応となっていますのでお勧めです。

●精子やAMH等、具体的な検査の重要性について教えてください。

・「精子」・・・なかなか妊娠に至らない場合、WHOのデーターでは男性のみに原因が見つかる割合が24%、男性女性双方に原因が見つかる割合が24%と、男性に原因が見つかる割合は延べで半分弱あり精液検査は必須です

・「AMH」・・・女性の卵子は生涯にわたって減る一方で、その減り方も備蓄量も個人差が激しいです。治療を進めていくにあたり卵子がどれだけ蓄えられているか、それによって治療のスピードも変えていかざるを得ない場合があります。その指標としてAMH採血は重要です。

●卵子凍結や体外受精のタイミングについてアドバイスをお願いします。

仕事が多忙で不妊症検査、治療がなかなか困難であるならば卵子凍結の選択もありかもしれませんが、もしそうでなければ失礼ながら、ご年齢からこの先卵子の質の低下、数の減少により妊娠しづらく流産しやすくなり、お産も大変になってきますので、早め早めの治療のステップアップも考慮されるのがよいのではないかと考えます。(ちなみに卵子凍結もかなりポピュラーになってきましたが、受精卵凍結のほうが有利です。)

●高齢での不妊治療における転院やクリニック選びのポイントを教えてください。

タイミングから体外受精をはじめとする高度不妊治療まで、いわゆる守備範囲の広い病院がよいでしょう。

●年齢に応じた治療の進め方や、考慮すべき治療法について教えてください

極力自然に近い妊娠成立を目指すのであれば卵管の通り具合、排卵付近での性交による子宮への精子の侵入具合、排卵の様子などを検査し異常なければタイミング療法からスタートするのですが、上記でお答えしたように年齢とともに自然に卵子の劣化が起こり妊娠を難しくすることがあります。それゆえ失礼ながらご年齢を気になさるのであれば、卵子が有効に使えるうちに、精子と卵子を効率よく出会わせるという観点から早々に体外受精にトライされるのも選択肢の一つとして考慮されても良いのではないかと思います。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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