【Q&A】精子選別しても胚が育たない~高橋敬一先生【医師監修】

あっこさん(39歳)

先月採卵2個、ふりかけ法で培養し、2個とも6日胚盤胞で凍結しました。
今月採卵4個、1個はサイズが大き過ぎて異常ではないかとの疑いで廃棄となり、他3個はIMSIで培養しましたがすべて6日目で成長中止となりました。
精子の検査結果は2回とも大きく変化ありません。
IMSIを使ってより良い精子を選んでいるのに、結果はふりかけ法より悪いです。考えられる原因は何でしょうか?
またふりかけ法で凍結できた2つの胚盤胞は染色体異常の可能性が高いでしょうか?

【医師監修】高橋ウイメンズクリニック 高橋 敬一 先生
金沢大学医学部卒業。国立病院医療センター(現・国立国際医療研究センター)、虎の門病院を経て米国ワシントン大学に留学。1996年虎の門病院に復帰した後、1999年千葉市に不妊治療専門『高橋ウイメンズクリニック』を開院。2014年ベストドクター認定(ベストドクターズ社)。2022年10月に開院から累計で妊娠2万例を達成する。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください

IMSI法は、日本では先進医療としてデータを取っている状況です。IMSI法での成績が、ふりかけ法より良くなかったことは別に不思議なことではありません。
様々な意見はありますが、当クリニックでは、ふりかけ法で受精している状態で、ICSIやIMSIをするメリットはあまりないと考えています。IMSIの意義自体はまだ明確ではなく、IMSIの意義に否定的な論文もたくさんあるのです。

「IMSIではふりかけ法よりも良い精子が受精する」という考えは正しくはありません。IMSIはICSIよりも良いかもしれません。一方、ふりかけ法でも、より良い精子が受精するのであって、おかしな精子は受精しません。ふりかけ法でも、人間の目での選択よりも、自然の摂理として機能的に良い精子が選ばれて受精している、とも言えるのです。ICSIやIMSIは見た目の良い精子を選んでいるだけであって、機能的に良い精子を選んでいるのではないのです。したがって、ICSIやIMSIは、ふりかけ法よりも機能的に良くない精子を選んでいる可能性もあるのです。実際に、受精をするならば、ふりかけ法での受精卵の妊娠率が高いのですね。「ICSIやIMSIの胚盤胞形成率や妊娠率が、ふりかけ法よりも良い」のではないのです。
したがって今回の結果は不思議なことではないのですね。

またふりかけ法の胚盤胞が染色体異常の可能性が高いとも言えません。むしろICSIやIMUSIの染色体異常が高い可能性もあるのです。
採卵時の卵子が大きい場合には、染色体が2倍であるなどの異常が高くなるようです。

現状では、子宮内の状態が悪くなければ、年齢による胚の染色体の問題が最も妊娠の可否にかかわります。良い卵子を採卵して、胚盤胞を丁寧に胚移植する方針になると思いますよ。頑張ってくださいね。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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