【Q&A】胚盤胞にならない…刺激法見直すべき?~西川先生【医師監修】

ゆさん (40歳)

なかなか胚盤胞にならずどうしたら良いか悩んでいます。
初めのクリニックでは2回連続採卵凍結ゼロ。転院し、初期胚移植を勧められて3回目となる採卵で初期胚移植しましたが、結果は陰性で、その時の余剰胚も凍結できませんでした。4回目の採卵で2個胚盤胞になりましたが、どちらも初期流産し、その後7回目まで採卵しても凍結ゼロが続いています。

基本的に刺激法の変更なく、低AMHではあるもののホルモン値も良く反応しているからと高刺激のままです。5.6回目は4〜5個採れて2個正常受精し、桑実胚や胚盤胞一歩手前で凍結できず。7回目においてはゴナールエフ225〜375単位を毎日と併用でクロミッド1錠ずつ内服(いつもは内服なしのゴナールエフの単剤)。
卵胞の数はいつもより倍程増えて10個以上確認でき、9個採れましたが、成熟卵は1個で未熟卵は1個、変性卵が7個という結果でした。

今まで変性卵がこんなに割合を占めることはなく、医師からも「理由はわからない」と言われました。
次も採卵ですが、方法は同じとのことで、このまま採卵を繰り返すしかないのか、転院して刺激方法を変えた方がよいのか悩んでいます。
年齢も40歳、低AMHなので簡単ではないのは理解しています。妊娠するためには今後どのように治療を進めていけばよいでしょうか?このような場合では、どのような刺激法が向いていると考えられますか?

採卵は休みなく連続採卵しており、医師からは問題ないとのことですが卵巣が疲れてしまっていないか心配です(右の卵巣が遠く経腹採卵中。)
変性卵が多くなるのは、どのような理由からでしょうか?

菊地先生に聞いてきました

【医師監修】メディカルパークみなとみらい 院長 菊地盤 先生
1994年順天堂大学医学部卒業。その後、順天堂大学産婦人科の専任准教授、順天堂大学医学部附属浦安病院リプロダクションセンター長を経て、2019年にメディカルパーク横浜院の院長に就任。2024年にメディカルパークみなとみらいの院長に。
順天堂大学医学部産婦人科客員准教授。日本産科婦人科学会専門医。日本生殖医学会生殖医療専門医。日本婦人科内視鏡学会技術認定医。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいているため、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください

①変性卵の割合が高くなる理由について教えてください。

残念ながら、ご年齢による影響は否めません。保険診療では移植の回数に制限はあるものの、その移植に必要な採卵術には回数制限はありません。それは、ご相談者さんのように、なかなか良好胚が得られない方が多いためでもあります。

②40歳で低AMHの際に適した刺激法を教えてください。

AMHはひとつの基準となりますが、あくまでその方の大きな傾向と考えていただいた方が良いと思われます。AMHが低値の方でも、月経周期によっては期待できる採卵数は変動しますので、月経開始時の超音波の所見によっては、個数が多めに見込める場合もあり、その場合は刺激を強めにすることも考慮いたします。

③採卵の連続による卵巣への影響を教えてください。

大きな問題はないと思われますが、精神的なストレスはさまざま悪影響があるかもしれません。40代とのことですし、難しいかもしれませんが、なるべくストレスを発散できるような何かを検討いただくことも選択肢だと思います。

④刺激法の変更が必要な場合、その基準を教えてください。

上述のように、AMHである程度、刺激法の選択は可能ですが、やはり月経開始時の超音波所見で最終的に判断し、その周期に見合った刺激法を選択するのが良いと考えます。

⑤妊娠を目指すための治療方針についてアドバイスをお願いします。

ご高齢での治療はなかなか結果が出ず、苦しい時期をお過ごしかとはお察しします。あくまで確率論ではありますので、簡単には申し上げられず、誠に申し訳ございませんが、これまでの治療で流産とはいえ、妊娠はされていたわけですから、チャンスはあると思われます。よって、これまでの治療である程度の成果があったとも考えられますので、ご担当の先生とご相談いただくとよいと考えます。
お役に立てれば幸いです。

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全記事、不妊治療専門医による医師監修

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