【Q&A】卵が育たないのは不眠のせい?~藤本先生【医師監修】

てらさん(43歳)

2022年時点では、採卵は1個ずつしか採れないものの胚盤胞まで育ち、凍結できることが多かったのですが、ここ最近はFSHが高い周期が多くなり、卵胞が育たず、運良く採卵できても空砲が多いという状態です。

基礎体温は低温期が高いことが多く、そのような周期は卵胞が育たないように感じます。
睡眠をしっかりとらないと卵胞が育たないと聞きますが、眠れないと卵胞が育たないというのは本当なのでしょうか?

寝付きが悪く眠れないことが多く、一時期はメラトニンを処方され飲んでいましたが効きません。
身体がとても疲れている時や睡眠不足の時ほど眠れませんが、日中電車で座っている時やソファで横になっている時、またクリニックの待ち時間などはすぐにウトウトしてしまいます。
こま切れの睡眠や日中の短い昼寝でも卵胞が育つことは期待できますか?

睡眠と卵胞の成長は関連があるのでしょうか?
また、このような場合の対策はありますか?

【医師監修】さっぽろARTクリニックn24 藤本 尚先生
日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医、臨床細胞学会細胞診専門医。札幌医科大学産婦人科、神谷レディースクリニック 副院長を経て、医療法人社団 さっぽろARTクリニック開院し理事長に就任。2019年5月 医療法人社団 さっぽろARTクリニックn24開院。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

睡眠と卵胞発育への影響について明確に関連を示唆するデータはありません。ただし、著しい睡眠不足は決して良い影響を与えないであろうことは想像できます。そのため、やはり著しい睡眠不足に関しては、心療内科や精神科を受診した上で入眠剤や睡眠薬を使うなどの対策をとることで、仮に卵胞発育に影響はなくても日々の生活を健やかに過ごすことが出来るようになるはずです。睡眠薬などの薬と妊娠を心配する方もいますが、基本的には予定生理日(体外受精なら妊娠判定日)までは投薬は問題ありません。つまり妊娠が分かった時点で薬をやめれば問題ないということになります。

そして卵胞発育ですが、やはり一番影響を受けるのは卵巣予備能になります。AMH:0.02未満、FSHが40~97となると厳しい言い方になりますが、閉経に近い状態といえます。なかなか毎周期の卵胞発育を望めない状況です。そのため、何とか育ってきた周期での挑戦となります。

もともとは毎周期、排卵があるものが、たまに排卵しない周期がまじるようになり、そのうちめったに排卵しなくなり、そして排卵しなくなる、、。
AMHとFSHの値からはめったに排卵しなくなる時期にかかっているものと思われます。この状況は睡眠不足が原因で起こっている状況ではなく、卵巣機能の低下に起因する可能性の方が高いと思います。そのため、もっと卵が育つようにという対策は無いという状況です。

あまりいい話というかお返事は書けませんでしたが、睡眠不足は日々の生活はもちろん、精神的にも様々な悪影響を及ぼすことにもなるので、適切な医療機関での診察を受けて対策を立てることをお勧めします

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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