【Q&A】再手術か採卵か~藤本先生【医師監修】

ラリーさん(42歳)

体外受精自体10年(16回中2回着床)で人工授精も含めて治療歴15年になり、卵もかなり取れなくなっています(50代位の卵の減り数です)。
既に自費なので、あと2回位しかできません。

前の病院で16回体外受精し、2回着床しましたが2回ともに心拍確認する前に大量出血。
1回目の時は救急で病院行くもいつもと違う先生で、赤ちゃんの袋が見えないとのことで薬をやめて1週間後くらいにナプキンにその袋が出て来ました(持って行って確認済み)
これは違う先生の確認ミスで薬をやめたことによって出て来てしまったのでしょうか。

今年になってアート専門の病院に転院して、2個採卵。1つ変性、1つが4CB胚盤胞になり、凍結しました。前の病院では卵を戻す前に半年レルミナを2日おきに飲んで止めてから卵を戻していました。実際、筋腫は少し小さくなり、着床2回目しましたが結局ダメで、その後もダメでした。

今回の先生はそのまま戻す感じの予定ですが、レルミナで4ヶ月開けてもいいとも言われましたが、時間がまたかかるのもあり、どうしたらいいか迷っています。
毎回開けないとダメでしょうか?その分戻す回数も減るので沢山戻した方が確率が高いでしょうか?
レルミナをたくさん飲んでも効果が少なくなるようですが、可能性が高くなるのはどちらでしょうか?
もう一回採卵してから時間を空けた方がいいですか?

【医師監修】さっぽろARTクリニックn24 藤本 尚先生
日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医、臨床細胞学会細胞診専門医。札幌医科大学産婦人科、神谷レディースクリニック 副院長を経て、医療法人社団 さっぽろARTクリニック開院し理事長に就任。2019年5月 医療法人社団 さっぽろARTクリニックn24開院。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

最初に結論を書いておきます。結論としては、ラリーさんのコメントだけではやはり何もわからないと言えます。筋腫や子宮腺筋症の状況、大きさは人によって異なります。また筋腫は大きさだけではなく、その場所によっても妊娠に影響を及ぼすことがあります。確かに理想的には筋腫や腺筋症のない子宮での胚移植が理想ですがすでに3回の手術を行っているラリーさんが再度の手術をすることまた手術をした場合には術後に6か月前後の休む期間が必要になります。レルミナの内服も同様で内服の場合には最低でも3-4か月の内服が必要となります。その分胚移植や場合によっては採卵が遅れることとなります。
卵子は年齢が高くなるほど減少していき、採卵で取れる卵子が減少していくこと、そして卵子の質(妊娠しやすさ)も年齢と共に低下していきます。仮に手術やレルミナで子宮を良い状態にできても、時間がたってしまうせいで結局のところ『3歩進んで、5歩下がる』のような状況になってしまう可能性もあります。その中でも決断をしないといけない訳ですが、そうなってくると過去の経過や今の現状を一番把握している現在の主治医としっかりと話をすることが大事になってくると思います。『1+1=2』は誰に聞いても結論は同じですが、今のラリーさんの状況はきっと100人の先生に聞いても見解が割れる状況になると予想されます。

そして1回目の妊娠の際の質問ですが、これも実際にはよくわかりません。ただ、救急外来でその時点の週数で胎嚢(赤ちゃんの袋)が見えないので流産の診断をして、投薬を中止、胎嚢が見えない流産の場合には、さらにもう少し成長(胎嚢が見えてくる)した後に流産する場合もあるので、救急外来受診の1週間後に袋が出てくる可能性はあります。例えば、救急外来の当日に出血があり、胎嚢が出てきたのであれば、それは子宮内の出血により小さな胎嚢が見えていなかったという可能性はあり得ます。以上から、1回目の妊娠流産時の状況については、あくまでラリーさんの記載している状況からの推測ですが、その際の先生の確認ミスではないと判断します。
以上簡単ですがご質問のお返事とさせていただきます。

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