【Q&A】ショート法とアンタゴニスト法、どちらがいい?~政井先生【医師監修】

たまさん(40歳)

前回の採卵では良好胚も取れているため、誘発方法としては年齢的にも前回と同じくショート法をおすすめされました。アンタゴニスト法は第一子を妊娠できたため変えてみるか悩んでます。
また医師からはショート法ならゴナールFからレコベルに変えても良いかもと提案がありました。薬剤を変えても採卵できる卵子の質は大きく変わらないでしょうか?

また、もし採卵できても今まで10個良好胚を移植し、最初の1個しか着床しなかったことが気になってます。年齢的にも全て染色体異常の可能性もありますし、まだやっていない検査にth1th2があります。

ただ私の病院では検査はしていないため、やるとしたらステロイドを内服するということだそうです。本来ならタクロリムスを内服した方がよいですか?th1th2は治療とセットで検査する病院しかなさそうです。
やれることは「数を打つ」ことでしょうか?

政井先生にお聞きしました。

【医師監修】佐久平エンゼルクリニック・東京大森エンゼルクリニック 政井 哲兵 先生
鹿児島大学医学部卒業。東京都立府中病院、日本赤十字医療センター、佐久市立国保浅間総合病院、高崎ARTクリニック 勤務を経て、2014年長野県佐久市に、佐久平エンゼルクリニックを開院。2025年東京都品川区大森に、東京大森エンゼルクリニックを開設。
日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医。
日本生殖医学会認定 生殖医療専門医。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください

タクロリムス経口内服法については、先進医療として実施可能ですが、現在日本国内で4施設(都内3か所、山梨県内に1か所)という状況です。必ずしも一般医療まで浸透しているものではなく、あくまでも研究段階のものという位置づけになるかと思います。当院でも積極的に進めるスタンスは取っていない状況です。

●ショート法とアンタゴニスト法について

どちらの方法でも数がしっかりとれて、良好胚が得られれば、どちらがよいというものではないです。大きな違いとしては、ショート法→トリガーがにHCG必要=OHSSのリスクがある、アンタゴニスト法→トリガーにGnRHアゴニスト(点鼻)が使用可能=仮に卵胞数が多く育った場合にOHSSを回避できるという違いはあります。
また、自費診療の場合、アンタゴニストの場合はHCG+GnRhaのダブルトリガーも可能なので、回収率を上げられる可能性もあります。(当院では上記理由でアンタゴニストを第1選択にしています)

●自己注射のゴナールエフ、レコベルのちがい

基本的にはどちらも効果的にはほとんど同じですが、ゴナールエフの方が若干調節性に富みます。レコベルは体重と直近のAMHの値で投与量が決まり、採卵まで一定量で進むため、途中で単位数を変更するができない(する必要がない)のが特徴です。

●Th1/Th2の検査について

こちらもタクロリムスと同じく、一般医療としてのエビデンスがまだ少ないため、どこの病院でも一律に行っているわけではなく、仮に基準値を外れた場合にそれがどの程度妊娠に影響するのか?や、その後の治療法をどうしたらよいのかという定まった見解がない状況です。(当院では積極的に行ってはいないが希望者は可能というスタンス取っております)

●今後の治療へのアドバイスについて

もし、PGT-Aをやっていない、または今後実施の可能性がある場合は、反復着床障害で唯一エビデンスがはっきり示された検査にはなるかと思いますため、積極的に検討されてもよいかと思います。

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