【Q&A】PRP療法で妊娠率は改善する?~丸田先生【医師監修】

ありんさん(41歳)

現在通っているARTクリニックには先進医療がありません。

一度目の凍結胚にて稽留流産を経験し、検体を冷凍保管しています。
他のARTクリニックに受診し、流死産検体を用いた遺伝子検査可能でしょうか?
その後2回の胚移植は化学流産してます。

また、一度目の凍結胚移植後に黄体嚢胞になり、左の卵巣萎縮が起きてると言われました。その影響かAMHも1年前と比較し1.93→0.9に下がりました。
調べていく中でPRP療法が卵巣機能改善に有用であると見かけますが、この療法を利用する事でAMHや妊娠率は改善しますか?

丸田先生に聞いてきました

まるたARTクリニック 丸田 英 先生
久留米大学医学部卒業。名古屋大学医学部附属病院 産婦人科を経て、2012年3月より生殖医療専門。2020年3月、まるたARTクリニックを開業。初診から治療終了まで同じ医師が担当することにより、効率的で高い成功率が得られ、何より患者さまの安心へと繋がると考え、診療に臨んでいる。「どんな時も患者さま第一、患者さまご自身の一瞬一瞬を大切に」を目標に掲げ、不妊治療と仕事の両立に理解ある治療スケジュールを導入。また、PRP療法などの最新治療や無料託児所完備等、不妊治療の環境向上にも積極的に取り組んでいる。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

ご苦労のことと思います。41歳のご年齢での不妊治療は、容易ではありませんが妊娠できる年齢です。

稽留流産の検体を用いた遺伝子検査を他のARTクリニックで行うことは可能ですか?

当院では、流産検体を用いた染色体検査は可能です。流産した場合、その原因を知ることは次からの治療戦略を考えるうえで重要な情報になります。
また当院では保存した検体での検査は先進医療で可能ですが、今かかっていらっしゃる主治医の先生に一度相談をされるのがいいかと思います。

ありんさんは黄体嚢胞による左卵巣萎縮を経験後にAMH値が1.93から0.9に下がったとのことですが、これは一般的な現象ですか?

AMHは、経時的に下がるものです。1.93から0.9下がったとのことですが、0.5年~1年経過すれば十分にあり得ると思います。ただ、AMH検査は、検査した直前の状況により影響を受けます。例えば、ピルを内服した直後などでは値は下がります。また検査である以上、誤差もあります。そのあたりを考慮してAMH値を評価したほうが良いと思います。黄体嚢胞とは関係性は薄いと思います。

●PRP療法は卵巣機能の改善に有用とされていますが、これを利用することでAMH値や妊娠率が改善する可能性はありますか?

PRPは、再生医療のカテゴリーに属する治療法です。様々な診療科で用いられている安全な治療法です。簡単に効果を説明しますと、卵巣にPRPを注入すると、一定期間AMHの上昇が期待でき、採卵時の獲得卵子数の増加が期待でき治療における妊娠率に寄与します。PRP投与後、計画的に採卵を行えばより効果のある治療が期待できます。


●黄体嚢胞や卵巣萎縮が再発する可能性と、その予防策について教えてください。

黄体嚢胞は、排卵後起こっている女性であれば、自然に起こっている現象です。卵胞から排卵が起こった後、卵胞の残骸が黄体嚢胞でその黄体嚢胞から黄体ホルモンの分泌が起こり妊娠の維持に関連します。病的な状況ではありませんので心配はいらないと思います。卵巣委縮は、閉経した女性や卵巣機能不全が長期間続いた場合に起こる現象ですいただいたデータだけで判断すると萎縮が起こっているとは考えにくいと思います。

●ありんさんが経験した化学流産について、その原因や今後の対策について先生の見解を教えていただけますか

化学流産の原因は様々ですが、最も大きな原因は、胚の染色体異常です。胚の染色体異常を防ぐ治療は難しいのですが、胚の染色体異常があるかどうかの検査方法はあります。胚の染色体検査を行い、異状ない胚を移植することで妊娠率の向上と流産率の低下が期待できます。

経過や背景、その他の検査データを見てみないと正確なことは言えませんが、PRPで今後の治療が有利に進める可能性は高くなると思います。

 

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