【Q&A】膠原病数値が高いと妊娠は難しい?~小川誠司先生【医師監修】

mameさん(37歳)

不育症の検査後に膠原病専門の病院で再検査して、数値が5120になっていました。ただ、症状は何もなく、数値以外は炎症も何も問題なしです。そのことをARTクリニックにお伝えしたら「次の移植はアスピリンとステロイドを低量で服用する」と言われました。

数値が高いことで妊娠ができないのか、また出産までが難しいのかと不安でなりません。移植前から何かできることがないのかと色々調べてますが、何も見つかりません。
早くても移植は7月になりますが、移植前に何かできることはありますか?それと、私の状況で妊娠出産は可能でしょうか?

小川誠司先生に教えていただきました。

藤田医科大学 羽田クリニック 小川 誠司 先生
2004 年名古屋市立大学医学部卒業。2014 年慶應義塾大学病院産婦人科助教、2018 年荻窪病院・虹クリニック、2019 年那須赤十字病院産婦人科副部長、仙台ART クリニック副院長を経て2023年9月、藤田医科大学東京 先端医療研究センターの講師、2024年4月から准教授に就任。自費で最新の医療を受けられるという併設の羽田クリニックで患者さん一人ひとりの思いをかなえるべく診療も行っている。日本産科婦人科学会専門医。日本生殖医療学会専門医。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

●現在の膠原病の数値について、妊娠や出産にどの程度の影響を及ぼし、どのようなリスクがあるのか、具体的に教えてください。

膠原病の専門病院にかかられているとのことですが、何らかの膠原病の診断はすでについていらっしゃるのでしょうか。「数値が高い」ことそのものよりも、膠原病の病態(活動性)が問題となります。膠原病の種類によっては、流産リスクが高まるだけでなく、妊娠されることによって、膠原病の病状が悪化する場合があります。そのため、しっかりと精密検査をされた上で、病状が安定した状態で移植に進まれることをお勧めします。

●mameさんが提案されたアスピリンとステロイドの低量服用は、妊娠に対してどのような効果を発揮しますか?

古くから反復流産患者に対して、抗核抗体の検査は実施されてきましたが、その意義については明確な結論が出ていないのが現状です。最新の国内からの研究報告では、反復流産の患者様であっても、抗核抗体の有無で、生児獲得率は変わらないと報告されています。したがって、抗核抗体高値だけで、アスピリンとステロイドを使用する十分な根拠はありません。まずは膠原病の正確な診断と活動性を評価し、必要であればその上で適した薬剤による治療を行うことが望ましいと思います。

●移植を前に、妊娠成功率を高めるための具体的な生活習慣改善や治療方法について、アドバイスをいただけますか?

葉酸ビタミンDをはじめとする妊娠、出産に必要な栄養素をサプリメントで補っていらっしゃることは非常に良い取り組みです。一方で、BMIが27とやや高めであることから、食生活を見直し、適度な運動を取り入れることで妊娠成功率の向上に繋がる可能性があります。

●mameさんが妊娠出産を成功させるために、今後どのような治療方針を立てると良いか、先生の視点からの提案をいただけますか?

抗核抗体が高値の場合、他の自己抗体も陽性であることも少なくありません。不育症との関係が指摘されている自己抗体を網羅的に検査し、もし陽性であれば、アスピリンやヘパリン等を検討されると良いと思います。
抗核抗体が高値というだけで、妊娠できないということはありません。実際に膠原病を抱えながらも、無事に妊娠、出産されている方は数多くいらっしゃいます。膠原病を精査されて、治療が必要でないという判断であれば、自信を持って移植に進んでいただければ良いと思います。
>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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