まずは情報や知識をインプット。そのうえで治療方針の相談を

相談者 :あやさん(28歳)
▶︎8周期目の妊活、タイミング法で授からず妊活8周期目で授かることができていません。通院して1周期を終え、「タイミング法で様子を見よう」と医師から話がありました。基礎体温は二相に分かれているので排卵はしているとのこと。子宮内に異常はなく、子宮内膜の厚さもあるという診断でした。排卵のタイミングに合わせて通院を4回していますが、尿検査では排卵の反応は出ませんでした。時間も費用も限りがあるので、検査や治療を進めて、不妊の原因、今後すべきことを教えていただきたいです。
【医師監修】内田クリニック 内田 昭弘 先生
島根医科大学医学部卒業。同大学の体外受精チームの一員として、1987 年、島根県の体外受精による初の赤ちゃん誕生に携わる。1997 年に内田クリニック開業。生殖医療中心の婦人科、奥様が副院長を務める内科、大阪より月1 回来院の荒木先生による心理カウンセリングとサポート体制が充実している。

あやさんは検査や治療を進め、次のステップに進みたいようです。

内田先生● まずは、あらゆる原因の可能性を考えて検査をすることだと思います。でもその前に、ご夫妻がどのような検査や治療法があるのか情報を得ておくこと。その知識をもって担当の先生と今後の治療方針を決められるといいですね。自分たちの知識がないと、言われるがまますぐに体外受精に進むようなことにもなりかねません。自分たちがどうしたいのかを言えるようにしておくことは、とても大切なことです。

基礎体温が二相になっていても、尿検査で排卵反応が出ないのは?

内田先生●基礎体温表が二相に分かれているのなら排卵をしているのは間違いないので、それは気にしなくてもいいと考えます。反応がなかったのは検査の時期によるもので、排卵後に検査をしていたのかもしれないですね。
尿検査は、尿の比重、つまり尿の濃い薄いでホルモンレベルが変動します。比重が低い(薄い)と検査に表れないこともありますので、基礎体温表をつけていて排卵があることがわかっているなら尿検査はしなくても、排卵と思われる前後にタイミングを取ることです。

時間と費用の制約があるなかで、不妊の原因を早く知りたいようです。

内田先生●当院の場合、初診から2カ月の間で基本検査をします。まず排卵があるかを見ながら周期変化を調べるのをベースとして、それに合わせて卵管の検査、子宮内膜症の検査、AMH検査、抗精子抗体の検査、精液検査、内科的な検査で貧血があるのかなど全身状態も診ます。制約があるご夫妻であればなおのこと、情報を集め、検査や治療を進めていくことです。
たとえばタイミング法を継続すると言われたら、「いつごろから次のステップに進んでいくのでしょうか?」と聞いてみましょう。また、検査をして必要な治療があれば、「どれくらいの時期から治療になりますか?」と聞いてみるのもありです。
定義上、通院して1年以内は不妊症と診断をつけない施設もあり、その場合、1年経過してから次のステップに進むことも考えられます。それに納得できなければ、早めに検査をし、必要であれば治療をしたいということを伝えましょう。「まだですよ」と言われたら、転院して同じことを伝えてみるのも一つの選択です。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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