【Q&A】クロミッドとレトロゾール、どちらが良い?内田彩香 先生【医師監修】

タンポポさん(36歳)からの質問
2人目を希望していますが、多嚢胞性卵巣症候群と診断されて不妊治療をしております。初めは医師からクロミッドを処方していただき何周期か服用しましたが、毎回内膜が厚くならずにいました。
hMG75注射のみの周期もありましたが、その時は無排卵となりました。医師からは毎回、内膜が薄いと指摘されますが、クロミッドを処方しようとするため、色々と調べて今回はレトロゾールを希望して服用しました。
ただし、レトロゾールだけでは卵胞の発育が悪かったため、生理から11日目(かなり遅め)からhMG75注射を始めました。
多嚢胞性卵巣症候群は低容量の注射しか打てない」とのことでした。D15で左右に卵胞が15mm前後あったのですが、D18日に左の卵胞が消えていました。
医師は「注射で消えることはなく、まだ排卵していない」と言うだけで、なぜ消えたのか聞いても理由を教えてもらえませんでした。仕方なく、そのまま右の卵胞を育てるためD20までに7回の注射をしています。
育ったらhCG注射をする予定だそうです。医師は「生理日を気にせずに、このまま卵胞が育つまで注射をしても問題ない」とのことでしたが、質問してもなかなか納得のいく回答を得られずに不信感が芽生えはじめました。エコーも無駄に多くなり費用もかさみ、毎回ながら「やってみないとわからない」の一点張りです。
D21にまだ卵胞が育っていなければ、注射しても大丈夫なのでしょうか?
病院も変えたいのですが、近くに不妊治療できるクリニックが少なく困っています。
今後の治療も含め、ご助言いただけたら幸いです。よろしくお願いいたします。
東京AMHクリニック銀座の内田先生に教えていただきました。
【医師監修】東京AMHクリニック銀座 院長 内田彩香 先生
東京慈恵医科大学卒業。東京慈恵医科大学附属病院、聖路加国際病院、みなとみらい夢クリニック、アクトタワークリニックを経て、2021年4月に東京AMHクリニック銀座の院長に就任。女性の医師ならではの気遣いや配慮のもと、患者一人ひとりの体の特性やライフスタイルに応じた不妊治療を心がけている。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください

●多嚢胞性卵巣症候群と診断されていることを考慮に入れた上で、クロミッドとレトロゾールのどちらが適切な治療薬となるでしょうか?また、その理由も教えてください。
クロミッドもレトロゾールもどちらも適応になります。第1選択薬としてクロミッドが選択されることが多いです。
クロミッドは古くから使用されており安価ですが、複数の卵胞が発育したり、子宮内膜が厚くなりづらかったり頸管粘液が減少することがあります。レトロゾールは不妊治療での使用では比較的新しい薬になります。クロミッドと違い、子宮内膜や頸管粘液への影響が少ないです。子宮内膜が薄いとのことでしたらレトロゾールは良い適応といえます。
●内膜が薄い状態が続いている原因について、何か考えられる要因はありますか。また、内膜を厚くするための方法や治療薬は何かありますか?
クロミッドを内服されていますのでまずクロミッドの副作用を疑います。その場合レトロゾールに変更します。
また、PFC-FDという治療方法もございます。

●卵胞が消える場合の一般的な理由や、その可能性を教えてください。

排卵、主席卵胞の1個化、卵胞と思っていたものは実は卵胞ではなかった等が考えられます。

●今後注射を続けることにより、卵胞が育つ可能性はどのほどあるでしょうか?また、卵胞が育たない場合の次のアプローチは何になるのでしょうか?

φ15mmと反応があるようなので、育つ可能性はありそうですが育っていない場合は中止を検討したり注射を少量ずつ増やして様子をみるのも良いかと思います。
メトホルミンという内服薬を併用すると卵胞発育が改善することもあります。

●治療を続けてもなかなか結果が出ない場合、一度治療を休むことをお勧めされますか?その理由と、治療を休むとどのような効果があるのかを教えてください。

36歳とのことで、あまり長くあけてしまうのはおすすめしませんが、低用量ピルであるファボワール28やマーベロン28内服を1-2周期挟むと卵胞発育が改善するケースはあります。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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