【Q&A】卵管内人工授精の成功率は?~福田雄介先生【医師監修】

しょうこさん (43歳)
保険での人工授精を続けるか、自費の卵管内人工授精に切り替えるか悩んでいます。
先月クリニックで行った腹腔鏡手術の際、精子輸送テストも実施したのですが、私の子宮には輸送能力が無いとのことで、その先生から卵管内人工授精を勧められました。
「少しでも確率が上がるなら是非やろう!」と主人とも話していたのですが、ネットなどで調べたところ、体外受精が保険適用になってからはわざわざ卵管内人工授精を行っている人は非常に少ないことを知りました。
実際、クリニックの先生数名に聞いたところ「自費になって値段が7.8倍になってまでやる意味は無いのではないか」と言われ、さらに大病院でも「実施件数はゼロに等しい」と言われました…。
しかも一度卵管内人工授精を実施したら、二度と保険での人工授精には戻れないということも知り、かなり躊躇してしまっています。

保険での人工授精なら金銭的負担が殆ど無いため、本当に気が済むまでやり続ければ良いと思っていましたが、卵管内人工授精を何回やってもダメだった時に「こんなんだったら無理してでも体外受精1回できたのに!!」と後悔する気がして、とても悩んでいます。
実際のところ、卵管内人工授精は現在ではそんなにマイナーな治療なのですか?
また通常の人工授精と比べてどの程度の有用性なのでしょうか?
間もなく44歳になる私が実施したところで、成功する可能性はゼロに等しいくらい低いものなのでしょうか?

福田ウイメンズクリニックの福田先生に聞いてみました。

【医師監修】福田ウイメンズクリニック 福田 雄介 先生
東邦大学医学部卒業、東邦大学医学部大学院修了。医学博士(東邦大学 平成22年)。米国ペンシルベニア大学生物学教室留学、東邦大学医学部産婦人科学教室講師などを経て福田ウイメンズクリニック副院長に就任。日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医・指導医。日本生殖医学会認定生殖医療専門医。日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

●しょうこさんの年齢と治療歴を考慮すると、卵管内人工授精と通常の人工授精の成功率にはどの程度の差があるのと考えられますか?

子宮の奥、卵管口付近に運動精子を注入する人工授精と卵管内に運動精子を注入する卵管内人工授精では差がないと考えられます。

●「子宮に輸送能力がない」というのは、どのような状態でしょうか?また、この状態での卵管内人工授精がもっとも有効な方法だと考えられますか?

担当の先生がどのような意図で子宮に輸送能力がないと言ったかがわかりませんが、本来は精子が自分で進んでいきます。腹腔鏡手術の際、腹腔内に精子が確認されなければ卵管通過障害(閉塞)を疑います。

卵管内人工授精が現在ではマイナーな治療とされている理由はなんでしょうか?

成功率に差がなく、その割に費用が自費となり、メリットがあまりないからだと思います。

●しょうこさんの年齢と状況を考慮すると、体外受精へのステップアップを考えるタイミングはいつ頃が適切だと考えられますか?

年齢を考えると早い方がいいと思います。また、状況から卵管の通過障害も考えられ、さらに卵管采の状況などから考えるとピックアップ障害も念頭に入れて体外受精を勧めます。体外受精からステップダウンして人工授精する場合は、通常の保険での人工授精を勧めます。

●「卵管内人工授精を行った場合、その後の保険適用の人工授精に戻ることができない」というルールの詳細について教えてください。

この様なルールはないと思われます。保険の適応があれば保険診療(人工授精)は問題なくすることができます。

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