【Q&A】2個移植のリスクは?~福田雄介先生【医師監修】

はにわさん (28歳)
2回目の移植周期に入るのですが、2個胚移植を検討しております。
1回目で5AA胚移植しましたが流産ということになり、次回は凍結している4AA胚の2個移植を希望しています。良好胚の2個移植のリスクはありますでしょうか?
また、凍結している卵のほとんどが顕微授精でグレードは4AAが多いのですが、多嚢胞性卵巣症候群であることから、凍結している卵がすべて染色体異常の可能性はあるのでしょうか?

福田ウイメンズクリニックの福田先生に聞いてみました。

【医師監修】福田ウイメンズクリニック 福田 雄介 先生
東邦大学医学部卒業、東邦大学医学部大学院修了。医学博士(東邦大学 平成22年)。米国ペンシルベニア大学生物学教室留学、東邦大学医学部産婦人科学教室講師などを経て福田ウイメンズクリニック副院長に就任。日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医・指導医。日本生殖医学会認定生殖医療専門医。日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

●はにわさんの良好胚2個移植について、先生はどのような見解をお持ちですか? また、2個移植に伴うリスクについて詳しく教えてください。

リスクとしては双胎妊娠(双子)になった場合のことが第一に考えられます。単胎妊娠に比べて早産のリスクや、分娩方法が帝王切開になるリスクなどが上がります。また、妊娠中の母体への負担から妊娠高血圧症候群などのリスクも上がります。早産になった場合の子供へのリスクも考慮する必要があります。以上を考えると移植回数がまだ1回のはにわさんに良好胚2個移植は周産期リスクが高いと思います。

●多嚢胞性卵巣症候群のはにわさんが凍結している卵のほとんどが顕微授精で4AAのグレードを持つ場合、これらの卵がすべて染色体異常を 持つ可能性はあるでしょうか?

現在は染色体異常、正常ではなく染色体の数の変化がある、なしで表現します。
多嚢胞性卵巣症候群であることで染色体の数の変化がある可能性は高くなることはありません。年齢相当と考えるのが一般的です。

●はにわさんの状況を鑑みて、染色体異常の検査や PGT-Aなどを推奨されますか?

文献にもよりますが、28歳の方の良好胚盤胞の染色体の数の変化がない確率は70-80%です。よってPGT-Aを積極的に勧めはしません。また、PGT-Aの適応は2回以上の流産または移植不成功なので、はにわさんは現在のところ適応はありません。ただ、今後流産を繰り返す場合、流産が染色体の数の変化によるものなのか、そうでないのかは検査をすることで次の移植に向けての情報になりますので検査することを勧めます。その検査の結果、両親から引き継がれる可能性がある場合は両親の染色体検査を検討します。

●流産を経験していることを考慮に入れると、次回の移植に向けて何か特別な準備や検査が必要ですか?

おそらくすでに甲状腺ホルモンなどは検査されていると思います。現在の状況からは体調を整えて残っている良好胚を1個移植することを勧めます。

多嚢胞性卵巣症候群なのでおそらく月経不順がありホルモン補充下の胚移植を行っていると思われます。もし、排卵に合わせた胚移植を行っているのであればホルモン補充下の胚移植を勧めます。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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