ななさん(33歳)
8月より体外受精にステップアップしましたが、受精障害なのか1回目は受精さえせず全滅。
2回目はスプリット法をして体外受精で3個中1個受精しましたが、途中で発育停止。顕微授精で4個中3個受精しましたが、凍結出来たのは1つで6日目胚盤胞4ABでした。そちらを自然周期で移植しましたが、陰性でした。
②低AMHでありとても焦っているのですが、クリニックは必ず1周期開けなくてはならず、採卵、移植が思うように出来ません。卵巣の状態によると思いますが、クリニックによっては連続採卵や移植は可能なのでしょうか?
③低AMHの場合でも、高刺激で卵が採れるのであれば高刺激に挑戦したままで良いのか、それとも低刺激で卵を育ててみたほうが胚盤胞率が上がるか教えて頂きたいです。
④精子所見は問題ないと言われていますが、人工授精時調整後の精子運動率が5回中4回は20~30%、総運動精子数100~300万/mlだったことが気になります。現在は運動率が60%程度に改善しているので問題ないでしょうか?泌尿器科の受診もしておらず、もしかしたら卵の問題以外にも精子に問題があるのではないかと不安があります。
高橋敬一先生にお伺いしました。
金沢大学医学部卒業。国立病院医療センター(現・国立国際医療研究センター)、虎の門病院を経て米国ワシントン大学に留学。1996年虎の門病院に復帰した後、1999年千葉市に不妊治療専門『高橋ウイメンズクリニック』を開院。2014年ベストドクター認定(ベストドクターズ社)。2022年10月に開院から累計で妊娠2万例を達成する。
卵巣機能の低下と受精障害についてお悩みなのですね。
受精障害については、2回目で1/3受精しているので、現時点では受精障害とは断言はできません。明確にするには、もう少し体外受精の受精結果を見ないと判断はできないのです。しかし、初回の未受精と、2回目では顕微授精の方が良好な状況だったので、今後は顕微授精を中心に考える方が適当でしょう。
胚盤胞到達率の改善は、詳しい検査結果などがないので明確な対策はこの場ではわかりません。しかし一般論としては、ビタミンD、ビタミンC、亜鉛、銅、タンパク質、コレステロールなどの検査をして、タンパク摂取、運動、ビタミン使用、抗酸化サプリの使用、などが考えられます。
低AMHでも、排卵誘発がマイルドならば、毎月の採卵をすることはあります。ただし、毎月の採卵で、良い卵子がとれるかどうかは不明です。卵巣機能の状態や反応によると思いますよ。もし生理中の小卵胞がたくさんあるときには、高刺激を試す意義は十分あると思います。卵子は多ければ多い程、胚盤胞を得られる可能性も高くなるのですね。
精子の状態は、変動が大きく判断は難しいですが、自然妊娠や人工授精も並行して考えるならば、泌尿器科医の受診も有意義だと思います。
顕微授精の結果ではすでに効果的な結果ですので、精密検査の意義は大きくはないのですが、少しでも改善を期待するならば、精液の酸化ストレスやDNA断片化率などの検査も考慮してもよいと思います。一方、精子の精密検査をせずに、高濃度のマルチビタミンなどをご主人に飲んでもらうという選択肢もあり得ます。
今の状態の原因を明確にすることは困難ですが、試してみる方法は上記のごとくです。
卵巣機能も低下気味ですが、胚盤胞はできているので頑張って下さいね。