リンさん(40歳)
1回出産もしており、今回の最初の移植でも稽留流産であったため、着床の窓ズレの可能性は低いと言われていますが、次の移植前にERA検査した方がいいでしょうか。
着床しない原因はやはり染色体異常と考えて回数を重ねるしかないでしょうか。
また、次の移植が陰性だった場合また採卵となりますが、多嚢胞気味の場合は低刺激は向かないでしょうか?
3年前はかなりいい受精卵が凍結できましたが、もう現在は高刺激をしても結局質の良い受精卵があまりとれてない上、卵巣はかなり腫れてしまいます。
できるだけロス時間が短く進められる方法があればと考えてます。最初に妊娠したアンタゴニスト法は費用が高いことと通院しての毎日の注射となるため、現在はほとんどやっていないと言われました。
政井先生にお聞きしました。
鹿児島大学医学部卒業。東京都立府中病院、日本赤十字医 療センター、佐久市立国保浅間総合病院、高崎ARTクリニック 勤務を経て、2014年に佐久平エンゼルクリニックを開院。
既存胚(4BB胚盤胞)の移植前にERA検査をご希望されるようでしたら、先進医療としてERA検査を受けていただき、長野県内であればたしか助成金の対象になるのではないかと思いました。(子宮内膜着床能検査)費用の一部を助成金でカバーするはありかと思います。
今後採卵を検討される場合ですが、施設変更も視野にいれるようでしたら、PGT-A実施施設で検討していただいてもよいかと思います。(いわゆる反復着床不全に該当しますので、PGT-A検査の適応としてはよいかと思います)
当院の場合ですと、PGT-A周期は全て原則PPOS法で採卵を行い、胚盤胞の全胚凍結をめざしますが、そうするとアンタゴニスト周期より多少費用的な負担が少なくは出来るかと思われます。
PGT-Aを検討しない場合ですと、PPOS法で採卵して、全胚盤胞を目指すか(その際にSEET液を確保しておいてSEET法を併用するなど)、もしくは、初期胚と胚盤胞で分割ステージを分けて、先々2段階胚移植にしてみるなど、手数を増やすという意味では高刺激法の方がベターと思います。
相談者様の場合、右からの採卵が主体ですが、刺激をするとそれなりに確保できる印象なので高刺激をオススメしたいと思います。低刺激法でも出来なくはないですが、獲得卵子数が少なくなることで、以後の移植の選択肢が狭まるということは考えられます。
左の卵巣嚢腫については、7〜8cmということであれば、現時点で手術適応と考えてよいと思います。採卵時に左から採れないことを考えると現状で核出術を行っておいてもよいかとは思いますが、先に移植胚を確保しておいて、凍結した後、移植前に核出でもよいかとは思います。腹腔鏡手術+骨盤内の癒着剥離等で着床環境の改善につながる可能性も考えられます。