【Q&A】43歳、流産5回でも自然妊娠を目指したい~宇津宮先生【医師監修】

ありささん(43歳)
化学流産2回、初期流産2回、中期中絶1回と妊娠できても出産までたどり着けません。
抗リン脂質抗体症候群による不育症の診断を受けています。今回11月に胎児の全前脳胞症が原因で中期中絶しました。
来年からまた妊活再開しようと思ってますが「今回は染色体異常なしの全前脳胞症で遺伝子の問題だからまた繰り返す可能性がある」と言われました。
来年の妊活からは不妊治療はせず自然妊娠目指していこうと思ってますが不安です。できることなどどんなことでもいいのでアドバイスいただきたいです。

宇津宮先生に、お話しを聞いてきました。

【医師監修】セント・ルカ産婦人科 宇津宮 隆史 先生 熊本大学医学部卒業。1988 年九州大学生体防御医学研究所講師、1989 年大分県立病院がんセンター第二婦人科部長を経て、1992年セント・ルカ産婦人科開院。国内でいち早く不妊治療に取り組んだパイオニアの一人。開院以来、妊娠数は 9,500 件を超える。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
不妊治療は患者さんの希望する程度によると思います。
ありささんはその点と年齢がキーポイントです。年齢はもう体外受精は私費範囲で、経済的に不利です。
全前脳胞症は非常に複雑な疾患です。染色体異常から遺伝子レベルまでの遺伝病、また突然変異といろいろな原因があり、その症状も全く外見は正常な人から無脳児レベルまであります。
まずありささんが積極的に検査、治療を望むならご夫婦の染色体・遺伝子検査を行い、何か変化が見られたら(親に遺伝子変化が見られたら)着床前検査(PGT)を行うことです。遺伝子変異が見られ、全前脳胞症のPGTを申請すればおそらく議論になるでしょう(認可されるか否か先行きは不明です)。これらの行程はすべて私費になると思います。また、遺伝専門医のいる施設を探さねばなりません。
ありささんは「できるだけ自然に・・」と思っているのでPGTはないと思います。すると両親に遺伝子変化がない自然妊娠なら全前脳胞症の自然再発は経験的に4-5%と言われています。それをどう考えるか、でしょう。
流産は抗リン脂質抗体症候群のためでしょうか。全前脳胞症のためかもしれません。このように大変複雑ですが、ありささんは今後は自然妊娠を目指すとのことですので、それもよいと思います。
毎日を楽しく過ごしましょう。このような困難を乗り越えてこられたご夫婦ですからこちらから何もアドバイスすることはないと思います。お二人で楽しめる機会をたくさん作りましょう。
>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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