とうふさん (29歳)
現在29歳で、1年近く不妊治療をしています。
顕微授精1回で17個の胚盤胞を凍結できたのですが、これまで3回移植して(3回目は2個移植)全てかすりもしない陰性でした。子宮鏡検査やTRIO検査、夫婦染色体検査もしていて、全て異常はありませんでした。
まだ一度も着床したことがないため、この先妊娠できるか不安です。
多くの受精卵が胚盤胞まで育って凍結できても、胚の問題ということもあるのでしょうか?
子宮側の問題だとしたら、ほかに受けた方がいい検査はあるのでしょうか?
ARTクリニックみらいの村田先生にお話を伺いました。
ARTクリニックみらい 院長 村田泰隆 先生
1994年 名古屋大学医学部卒業後、安城更生病院にて産婦人科全般に従事。1998年 名古屋大学付属病院にて、周産期・不妊症を専門に診療および研究。2003年 名古屋大学医学部大学院卒業後、IVF大阪クリニック・なんばクリニックにて4年にわたり体外受精年間1500周期以上の臨床経験を積む。2007年 竹内病院トヨタ不妊センター長、2010年 エンジェルベルクリニック不妊センター長を経て、2016年 ARTクリニックみらい開院。7年間で約5,500例を妊娠出産に導く。個々の背景や将来の家族計画に合わせた治療を信条としている。医学博士。日本産科婦人科学会専門医。日本生殖医学会認定生殖医療専門医。
1994年 名古屋大学医学部卒業後、安城更生病院にて産婦人科全般に従事。1998年 名古屋大学付属病院にて、周産期・不妊症を専門に診療および研究。2003年 名古屋大学医学部大学院卒業後、IVF大阪クリニック・なんばクリニックにて4年にわたり体外受精年間1500周期以上の臨床経験を積む。2007年 竹内病院トヨタ不妊センター長、2010年 エンジェルベルクリニック不妊センター長を経て、2016年 ARTクリニックみらい開院。7年間で約5,500例を妊娠出産に導く。個々の背景や将来の家族計画に合わせた治療を信条としている。医学博士。日本産科婦人科学会専門医。日本生殖医学会認定生殖医療専門医。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
●とうふさんへ
これまで妊娠を目指して一生懸命に努力されてきたこと、 本当に素晴らしいことです。ただ、 3回続けて移植が陰性であったこと、 特に17個もの胚盤胞を凍結できたにもかかわらず結果が出ていな い状況に、不安や戸惑いを感じられていることでしょう。しかし、 これまでの取り組みが全く無駄だったわけではありません。 これまで得られた情報を基に、次の一歩を考えていきましょう。
これまで妊娠を目指して一生懸命に努力されてきたこと、
以下、いただいたご質問にお答えします。
●
採卵数や受精数の記載がないため、正確な発育‘率’ はわかりませんが、 17個もの胚盤胞を凍結できたという結果は非常に優秀です。 一般的に胚盤胞まで到達する割合は20~40% 程度とされていますので、 とうふさんの結果は通常より良いのではないでしょうか。 胚の形態や発育速度に関する情報があれば、 さらに詳細な評価が可能です。
●これまでの移植が全て陰性だった場合、 胚の質に問題がある可能性はありますか?
これまで4つの胚盤胞を移植しましたが、 いずれも胚質に問題があった可能性も考えられます。 胚盤胞であっても、実際に赤ちゃんまでたどり着く胚は、 一般的に3〜4個に1個です。 胚のもつポテンシャルはひとつひとつ異なりますが、 今回17個もの胚盤胞が得られましたので、 能力の高い赤ちゃんになる力をもつ胚が含まれている可能性は高い と言えます。これまで試した4つのうち、 1つぐらいは赤ちゃんになれる胚があってほしいところですが、 妊娠は、胚だけでなく、受け手の子宮、 母体のすべての条件が整ってはじめて成立します。 子宮や母体の環境はその時々で常に変化しており、 すべてが同時に整わなかった「偶然の不運」 であった可能性もあります。環境を整えながら、 焦らず粘り強く治療を続けることをお勧めします。
●胚の質を評価するために推奨される検査方法は何がありますか?
バイオインフォマティクスを用いたさまざまな胚質評価の研究が進 んでいますが、現時点で実際に活用されている主な方法は『 形態評価』です。タイムラプス培養を行っている場合、 受精から分割の過程を経時的に観察できるため、 より多くの情報をもとにより妊娠に近い胚を予想できます。 AIを活用した妊娠予測モデルも開発が進んでおり、 現在発展途上です。また、PGT-A( 着床前胚染色体異数性検査)も選択肢の一つですが、 メリットデメリットがあり、 とうふさんのような若い方でのメリットは限定的です。 慎重に判断する必要があり、担当医とよくご相談ください。
●子宮側の問題が考えられる場合、 受けるべき検査は何がありますか?
子宮側に限らず、胚以外の要因として、 すでに確認済みのものも含まれると思いますが、 以下の点に関して再確認してみてはいかがでしょうか。
・内分泌状態:甲状腺機能やインスリン抵抗性の有無
・子宮や子宮内膜の状態:内膜症や腺筋症の有無、 子宮内膜の厚みや形態について
・卵管の状態:水腫や炎症の有無
・免疫機能:外から来たものを排除する拒絶、受け入れる寛容、 この免疫のバランスに関する研究や治療も進んでいます。 保険適応外となりますが、 原因不明不妊の追加検査として役立つ可能性があります。 担当医と相談してみてください。
・内分泌状態:甲状腺機能やインスリン抵抗性の有無
・子宮や子宮内膜の状態:内膜症や腺筋症の有無、
・卵管の状態:水腫や炎症の有無
・免疫機能:外から来たものを排除する拒絶、受け入れる寛容、
●これからの妊娠に向けた治療方針や改善策について
とうふさんの年齢や胚盤胞の数を考えると、最終的に妊娠・ 出産に至る可能性は高いと考えます。当方の経験でも、 10個以上の良好胚盤胞が得られた若い方であれば、 ほとんどの方が最終的に妊娠・出産に至っています。 3回続けて結果が出ないことは辛いですが、 以下のことを検討してみてください。
・生活習慣の再確認: 多嚢胞性卵巣症候群の背景にインスリン抵抗性がある場合、 食事や運動療法、適切なサプリメントが有効な場合があります。
・保険適応外の治療: PRP療法など、 適応の有無については担当医と相談してください。
・辛抱強い移植の継続: 多くの胚盤胞があることは大きな希望です。 子宮や母体の環境を併せて整えながら移植に臨んでください。
・サポートの活用:夫やカウンセラーの支援を得て、 ひとりで悩まず、前向きに治療に取り組みましょう。
・保険適応外の治療: PRP療法など、
・辛抱強い移植の継続:
・サポートの活用:夫やカウンセラーの支援を得て、
とうふさんにはまだ多くの可能性が残されています。