【Q&A】39歳、低刺激の方がいい?~高橋敬一先生【医師監修】

さきさん(39歳)

これまでに採卵5回、胚移植6回行うもhCGは毎回かする程度です。今年8月と10月の2回の採卵では卵子も採れ、成熟卵であるものの1個も胚盤胞に到達していません。サプリや鍼灸にも通っています。精子も問題ないと言われています。
次は低刺激法を提案されています。今より採卵数が減るのに胚盤胞まで到達するだろうかと不安です。

①低刺激法を試すと良いのでしょうか?他に試すと良い刺激方法はありますでしょうか?
②年齢的に顕微授精の際に卵子に負担がかかり胚盤胞まで育たないなどあるのでしょうか?
③IgA血管炎にてアドナを内服しています。皮膚科では問題ないと言われていますが、アドナや血管炎が卵子に影響を与えていることはあるのでしょうか。
④不育症の検査にて凝固系に異常が見つかり、妊娠したら低容量アスピリンを内服することが決定しています。凝固系に異常がある人は子宮内膜の厚さがあっても血流が悪いと聞いたことがあります。胚の染色体異常もあると思いますが、血流が悪いために着床もしにくいのではと考えてしまいます。低容量アスピリンを生理後や移植前などから内服するのは良くないのでしょうか?

田舎のため、不妊治療専門病院は限られており、PGT-Aができる病院はありません。

高橋敬一先生にお伺いしました。

【医師監修】高橋ウイメンズクリニック 高橋 敬一 先生
金沢大学医学部卒業。国立病院医療センター(現・国立国際医療研究センター)、虎の門病院を経て米国ワシントン大学に留学。1996年虎の門病院に復帰した後、1999年千葉市に不妊治療専門『高橋ウイメンズクリニック』を開院。2014年ベストドクター認定(ベストドクターズ社)。2022年10月に開院から累計で妊娠2万例を達成する。
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直近の2回の採卵で、胚盤胞ができずにお困りなのですね。

①低刺激法を試す意義はあります。ただし、低刺激法で胚盤胞になる確率が上がるとは言えないので、「別の方法を試してみる」という意味が強いと思います。
他にも理由があるかもしれませんので、それについては担当医に確認するほうが良いでしょう。一般的には、採卵数が多い方が赤ちゃんを得られる可能性が高くなります。

②顕微授精が卵子に負担がかかる可能性はありますが、過去には体外受精で胚盤胞にならず、顕微授精のみ胚盤胞になったことがあるので、さき様の胚では必ずしも顕微授精が負担となる方法とは言えません。

③アドナは特に卵子への悪影響はないと推測されます。

④凝固系は変動しますので、1回しか測定していないならば、再検査で確認してもよいと思います。子宮内膜の血流が悪いかどうかは明確ではありません。また個々人の測定は困難です。あまり気にしないでよいと思います。低用量のアスピリンの使用はまだ明確ではありません。移植前に使用すると、炎症が抑えられて着床が妨げられる、との考えもあるのです。妊娠してからの低用量アスピリンの使用法はおかしな方針ではないですよ。

⑤PGT-Aでは、正常胚が増えるものではありません。胚盤胞が少数の場合には、PGT-Aでお子さんを得られる確率が上がるのではなく、「流産率が下がる」意義に限られます。現時点ではPGT-Aの意義は少ないのでPGT-Aにこだわる必要はないと思います。

⑥現時点での方針は、如何に良い胚盤胞を得られるかに注力することが重要でしょう。ビタミン剤の量は十分でしょうか?市販サプリでは不十分量であることが多いです。痩せ気味ですのでこれ以上は痩せないようにご注意ください。タンパク質やコレステロールは低くないでしょうか?細胞膜はリン脂質とコレステロールでできています。十分にタンパク質をとり、血流改善の運動も入れて下さいね。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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