Mさん(31歳)
今年の2月に8週目の稽留流産をしました。手術後、タイミングを取ってましたが妊娠しなかったので不妊クリニックで検査したところ、男性不妊で運動率と量も少なめでした。私はプロラクチンが少し高めでお薬をもらいました。
人工授精を2回しましたが妊娠には至らずで、次から体外受精にステップアップする予定です。
妊娠歴(複数選択可)子どもは早めにほしいのですが、体外受精が不安で、特に採卵が怖いです。
男性不妊の改善はできないのでしょうか?運動率が低くても、体外受精になれば可能性は上がるのでしょうか?
ハシイ産婦人科の佐藤幸保先生に伺いました。
京都大学医学部附属病院および高松赤十字病院で体外受精など生殖
●体外受精に不安を感じ、特に採卵に対して恐怖を感じていることに対する対策やアドバイスをお願いします。
採卵時に使用する麻酔はクリニックによって異なるようです。当院では、プロポフォールという静脈麻酔薬を使用して、完全に眠ってもらってから実施しております。浅い麻酔で行う施設もありますので、深めの麻酔にしてもらえるよう担当医に頼んでみたらどうでしょうか。ただ、深めの麻酔をすると採卵後に吐き気などの症状が強く出ることがあります。
●男性不妊(運動率が低い)について、具体的な改善方法や治療法、その効果について教えてください。
精液所見の記載がありませんが、本年2月に流産とはいえ自然妊娠されていますので、それほど悪くないのではないかと推測します。人工授精の累積妊娠率は6回めくらいまでは増加するという報告がありますので、あと数回は人工授精をトライしてもよいのかもしれません。精子の運動率低下の原因が精索静脈瘤であれば、40-70%の症例で手術による精液所見の改善が期待できます。夫に泌尿器科を受診して検査してもらってもよいかもしれません。
●運動率が低い精子でも、体外受精によって妊娠の可能性は上がりますか?
運動率が低い精子でも、体外受精を行えば、人工授精と比べて妊娠の可能性は上がります。運動精子数が極端に少ない場合でも顕微授精を行えば妊娠が期待できます。
● Mさんの状況において、体外受精以外にも適用可能な不妊治療法はありますか? また、その理由や期間、成功率等についても教えてください。
夫が泌尿器科で治療して精液所見の改善がみられればタイミング療法にステップダウンすることは可能でしょう。精液所見の改善が期待できないのであれば、人工授精あるいは体外受精しかありません。人工授精での妊娠率は1回あたり10%程度に過ぎませんが、6回めくらいまでは累積妊娠率の増加が見込めますので、あと数回はトライしてもいいかもしれません。体外受精の妊娠率は胚移植1回あたり30%程度で、人工授精より高い成功率が期待できます。