【Q&A】採卵7回、移植3回。数打てば当たるの?~蔵本先生【医師監修】

ゴリエさん(34歳)

年齢34歳、顕微授精です。
これまでに採卵7回、移植3回(4BB、5AB2個、5AB2個)全て陰性でした。
TRIO検査、不育症検査、Th1/Th2、子宮鏡検査、卵管造影検査、CD138検査、銅亜鉛ビタミン検査すべて異常なし。
先生からは「数撃ちゃ当たる。卵の染色体のエラーなので治療を重ねればいずれ出産まで至れる」と言われてます。
ゆくゆくはPGT-Aは必要でしょうか?

蔵本先生に質問してみました。

【医師監修】蔵本ウイメンズクリニック 蔵本 武志 先生 久留米大学医学部卒業、山口大学大学院修了。山口県立中央病院産婦人科副部長、済生会下関総合病院産婦人科部長を経て、1990年オーストラリア・PIVET メディカルセンターへ留学。帰国後、1995 年蔵本ウイメンズクリニック開院。JISART(日本生殖補助医療標準化機関)理事長。久留米大学医学部臨床教授。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
採卵7回、胚盤胞移植3回で妊娠されていない反復着床不全で、PGT-A以外の大体の着床不全の原因検査をされておられるとのことです
が、保険診療内での妊娠を目指したいとのご希望ですので、保険であと3回胚移植は可能です。
まず卵巣刺激法を変えてみます。通常は十分な卵子数獲得を目指し、高刺激法(調節卵巣刺激法:アンタゴニスト法、PPOS法、GnRHアゴニスト法など)を行いますが、上記の方法を既に行っておられたのであれば、採卵数は半分に減りますがやや低刺激法(月経開始3
日目よりクロミッドを1錠/日×10日間+月経開始5日頃よりFSH製剤100~175単位 隔日投与)を行います。
この方法でかえって質の良い卵子が採取されることがあります。また顕微授精になりますが、先進医療でより質の良い精子を回収する
ZyMot法やPICSI法を併用します。さらに培養液を変更します。これらによって保険回数内で妊娠することを目指します。
日本産科婦人科学会のPGT特別臨床研究の結果を見ますと、34歳でしたら約半数の53%が染色体数的異常胚です。正常染色体数も含め
移植可能胚盤胞は約47%です。胚の染色体異常の多くは卵胞内で卵子が減数分裂するときに起こります。また培養中でも起こります。
この異常を防ぐ方法は難しいですが、適切な卵巣刺激を実施する、卵子や胚の取り扱いを丁寧に行い、適切な胚培養を行うことが大事
だと思います。
今のところPGT-Aは全て自費となりますが、保険回数が終ってから考慮したらよいのではないかと思います。あとは、睡眠を十分にと
り3食きちんとバランスの良い食事を摂取し、ストレスケアもされてください。タバコは厳禁です。卵子や精子の染色体異常が増えま
す。また葉酸(1日800µg)、ビタミンDを摂取してください。
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